中国で新設外資企業が増加 ハイテク投資がけん引【国際ニュース】
2025年上半期(1〜6月)、中国で新たに設立された外資系企業の数が前年同期比11.7%増の3万14社に達しました。一方で、実際に流入した海外からの直接投資(FDI)額は約4230億元(約589億ドル)と、前年より15.2%減少しています。この「企業数の増加」と「投資額の減少」が示す意味を整理します。
この記事のポイント
- 新設の外資系企業は3万14社で11.7%増加
- FDI総額は約4230億元と15.2%減少
- 製造業よりもサービス・ハイテク産業への投資が目立つ
- スイス、日本、英国、ドイツ、韓国、ASEAN諸国からの投資が増加
- 中国市場では「量より質」の外資誘致が進んでいる可能性
新設外資企業は増加、でも投資額は減少
中国商務省の公式データによると、2025年上半期に中国で新たに設立された外資系企業は3万14社でした。これは前年同期比で11.7%の増加となり、中国市場に参入する海外企業の数自体は引き続き増えていることを示しています。
一方で、同じ期間の実際のFDI額は約4230億元と、前年より15.2%減少しました。企業数が増えているにもかかわらず投資額が減っているという構図からは、1件あたりの投資規模が小さくなっている、あるいは投資の審査や選別が厳しくなっている可能性がうかがえます。
どの分野に投資が集まっているのか
分野別に見ると、中国への外資は「どこに」向かっているのかがよりはっきりします。
- 製造業:投資額は約1090億元
- ハイテク産業全体:投資額は約1280億元
- 第3次産業(サービス業):投資額は約3060億元
サービス分野の投資額が最も大きく、とくに電子商取引(EC)サービスは前年同期比127.1%増という急拡大を記録しました。ECのほか、医薬品、航空宇宙製造などのハイテク分野も、海外資本の受け皿として存在感を増しています。
これらの数字からは、低コスト製造拠点としての役割だけでなく、デジタル経済や先端技術分野の市場として中国を位置づける動きが強まっていることが読み取れます。
スイス、日本、欧州、韓国、ASEANからの投資が増加
国・地域別では、いくつかの先進国やアジアの経済圏からのFDIが増加しています。
- スイス:前年同期比68.6%増
- 日本:59.1%増
- 英国:37.6%増
- ドイツ:6.3%増
- 韓国:2.7%増
- ASEAN諸国:8.8%増
いずれも自由港経由の資金を含む数字とされています。全体のFDI額は減少しているものの、こうした国や地域からの投資は増えており、中国市場を重視する動きが続いていることがうかがえます。
日本の読者が押さえたい3つの視点
日本の企業や投資家にとって、今回のデータからどのような示唆が得られるでしょうか。ここでは主に3つの視点を挙げます。
1.「数」は増え、「質」が問われる局面に
新設の外資系企業数は増えている一方で、FDI総額は減少しています。このことは、中国に進出する企業が、より限定された分野やスケールでの展開を選んでいる可能性を示します。大規模投資よりも、特定のニッチ市場や技術分野に集中する「選択と集中」の傾向が強まっているとも考えられます。
2.ハイテク・サービスでの協力余地
EC、医薬品、航空宇宙製造などのハイテク産業やサービス分野に外資が集まっていることは、日本企業にとっても協力や競争の舞台がこれらの分野に移りつつあることを意味します。製造業一本足ではなく、デジタルサービスや研究開発、アフターサービスなどを含めたビジネスモデルがより重要になっていきそうです。
3.地域・パートナーの多様化
スイスや欧州各国、韓国、ASEAN諸国など多様な国と地域からの投資が増えていることは、中国市場をめぐる国際的なビジネスネットワークが一段と複雑化していることを示します。日本としても、自国と中国との二国間関係だけでなく、第三国を含む多国間のサプライチェーンや共同プロジェクトの可能性を視野に入れる必要があります。
量から質へ、外資との付き合い方が問われる
2025年上半期のデータを見ると、中国では外資系企業の「数」は増えながらも、投資額は全体として減少し、ハイテクやサービスなど特定分野への集中が進んでいます。これは、中国側が外資誘致の「質」を重視しつつあることに加え、海外企業側も投資のリスクとリターンをより慎重に見極めていることの表れと考えられます。
日本の読者にとって重要なのは、「中国に投資するか、しないか」という二者択一ではなく、「どの分野で、どのパートナーと、どのリスクを取りに行くのか」という問いです。今回の統計は、その判断材料の一つとして、中国市場の変化を冷静に読み解くきっかけを与えてくれます。
Reference(s):
China sees rise in new foreign firms, high-tech investment gains in H1
cgtn.com








