中国が外国企業の再投資促進へ新政策 7部門が連携強化
中国が、外国資本による再投資を後押しするための新たな政策パッケージを打ち出しました。複数の政府部門が連携して制度や金融面を整えることで、2025年以降の外国投資を安定的に引き付ける狙いがあります。
7部門が合同で打ち出した新たな外資政策
今回の措置は、国家発展改革委員会(NDRC)、財政部、自然資源部、商務部、中国人民銀行、国家税務総局、国家外貨管理局という7つの部門が共同で発表した通達としてまとめられています。中国の外資政策に関わる主要部門が横断的に関与している点が特徴です。
通達は、外国資本による再投資や新規投資を後押しするため、次のような分野を幅広くカバーしています。
- 外国投資企業による新会社設立手続きの簡素化
- 投資プロジェクトの実施に対する支援の強化
- 企業ごとのニーズに合わせた金融商品・サービスへのアクセス拡大
- 投資情報報告の試行プログラムの導入
- 当局間の情報共有の促進
- 外資誘致を評価する仕組みや指標の改善
こうした制度面の見直しを通じて、外国企業が中国市場で得た利益を再び現地に投資しやすい環境づくりを進めるねらいです。
それぞれ役割が異なる7部門がなぜ組むのか
NDRCの国際経済研究所で副所長を務める劉悦氏は、7部門の役割分担と連携の意味を次のように説明しています。各部門は担当分野こそ違うものの、相互に補完し合う関係にあり、協調することでマクロの政策目標と企業の具体的なニーズの両方に応えやすくなるという見方です。
通達の中で想定される主な役割は次の通りです。
- 国家発展改革委員会(NDRC):外資戦略の策定や大型プロジェクトの審査・認可
- 財政部と国家税務総局:税制優遇など財政・税務面での支援策の設計
- 自然資源部:用地の配分や柔軟なリース条件の提示
- 中国人民銀行と国家外貨管理局:国境を越える資本の流れや外貨決済の管理
- 商務部:投資促進の政策運用やデータの取りまとめ
劉氏は、中央レベルと地方レベルの双方で調整を進めることが重要だと指摘しています。需要側と供給側の両面から施策を重ねることで、外資企業にとって実感のある制度改善につなげていく考えです。
需要サイド:設備更新と消費財買い替えが追い風に
需要サイドでは、中国が進める大規模な設備更新と、古くなった消費財を新しい製品に買い替える全国キャンペーンが、すでに市場の活力を高めているとされています。こうした動きが、新たな製品や技術を持つ外国企業にとっても商機になっているという見方です。
さらに、今年前半(2025年上半期)の輸出パフォーマンスが堅調だったことも、外資企業にとって追い風となりました。輸出を通じて、中国に進出した外国企業も中国企業も、グローバル市場への展開と国際的なプレゼンス拡大の機会を得ているとされています。
供給サイド:投資だけでなく「統合」と共同開発が鍵
一方の供給サイドでは、外国企業と中国企業の連携をどこまで深められるかが、長期的な成功にとって重要なテーマになっています。劉氏は、外国企業は単に資本を投じるだけでなく、研究開発や製造、イノベーションの面で現地パートナーと統合していくことが望ましいと強調します。
その具体例として、ある米国自動車メーカーが中国の部品サプライヤーと協力し、インテリジェント制御システムを共同開発したケースが紹介されています。このシステムはその後、米国市場向けの車種に搭載され、消費者から高い評価を受けたとされています。単なる生産拠点としてではなく、共同開発のパートナーとして中国企業と組むことで、新しい競争力を生み出せることを示す事例といえます。
データで見る外資の動き:2025年1〜5月
商務部の公式データによると、2025年1〜5月に中国で新たに設立された外資系企業は2万4千社を超え、前年同期比で10.4%増加しました。これは、外国投資家の間で中国市場への信頼が高まりつつあることを示すものと受け止められています。
また、実際に利用された外資のうち、ハイテク分野が3割超を占め、外資導入の主な牽引役になっています。研究開発集約型やデジタル関連など、付加価値の高い分野が焦点になっている点も特徴です。
日本やアジアの企業にとっての論点
今回の外資再投資促進策は、日本を含むアジアの企業にとっても無関係ではありません。中国市場をどう位置付けるかを考えるうえで、次のような視点が問われています。
- どの分野で現地パートナーとの共同開発やイノベーションを進めるか
- 税制優遇や金融支援など、利用可能な政策メニューをどう見極めるか
- 中央政府の方針と地方政府の実行状況をどうモニターするか
- 中国市場向け投資と、グローバル市場展開をどう両立させるか
こうした論点は、実際に中国で事業を行う企業だけでなく、サプライチェーンやテクノロジーの動向に関心を持つ私たちのような読者にとっても、国際ニュースを読む際の重要な手がかりになります。
外国企業の再投資をめぐる中国の新たな政策パッケージは、2025年以降のアジア経済や国際ビジネスの流れを考えるうえで、注目しておきたい動きだといえるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








