中国国際サプライチェーン博覧会閉幕 6000件超の協力合意が示すもの
世界のサプライチェーンに関心を持つ企業や投資家にとって、見逃せない動きです。北京で日曜日に閉幕した第3回「中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)」では、6,000件を超える協力合意や提携意向がまとまり、中国を軸にした新たなビジネスネットワークが広がりました。
6000件超の協力合意 狙いは短期売上ではなく「長期的な関係」
今回のサプライチェーン博覧会は5日間にわたり開催され、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)が主催しました。中国国内外から合わせて1,200社が出展し、オンラインとオフラインを合わせた来場者数は21万人を超え、前年から5%増加しました。
主催者によると、会期中にまとまったのは「協力合意・提携の意向」が6,000件以上。とはいえ、主眼はその場での成約額ではなく、関係づくりに置かれています。
CCPITの李興乾・副会長は閉幕記者会見で、次のように強調しました。
「私たちが追いかけているのは、短期的な会場での取引額ではありません。重視しているのは、長期的で互いに利益をもたらすパートナーシップです。今年は評価指標そのものを見直し、出展企業や来場者がパートナーや解決策、応用シナリオを見つけやすくなるようにしました。」
「売上至上主義」から「関係性重視」へのシフトは、地政学リスクや供給網の分断が話題になるなかで、安定した協力関係をどう築くかという各国企業共通の課題とも重なります。
商談件数は4倍、新製品・新技術は152件に
ことしのCISCEでは、出展企業と専門来場者との間で、狙いを絞ったビジネスマッチングが24,000件行われました。これは前年の4倍という規模です。
また、博覧会の場を活用して発表された新製品・新技術・新サービスは合計152件と、前年から67%増加しました。単なる展示会ではなく、新しいソリューションの「お披露目の場」としても存在感を高めていることが分かります。
出展者は、サプライチェーンの上流から下流まで、4万2,000社以上の企業と新たなビジネス関係を築いたとされています。素材、部品、組み立て、物流、サービスまで、サプライチェーン全体を縦につなぐことを意識した場づくりが進んでいると言えます。
国際色が濃くなるCISCE 参加国・地域は75に拡大
第3回となる2025年のCISCEでは、国際化の進展も数字で示されました。海外からの出展企業の割合は、第1回の26%から今年は35%へと上昇。出展企業全体のうち、65%以上が「フォーチュン・グローバル500」に名を連ねる企業、もしくは各分野のリーディング企業です。
参加する国と地域の数も、初回の55から2025年は75へと拡大しました。米国、欧州連合(EU)、日本の企業からも存在感のある参加があったとされ、サプライチェーンをめぐる対話の場として、地理的にも業種的にも幅広いプレーヤーを巻き込みつつあります。
日本企業にとっても、調達先や販売先、技術パートナーを世界規模で探す上で、こうした「サプライチェーン専門」の国際イベントが持つ意味は小さくありません。
「中国につながらずして世界につながることは難しい」
李副会長は、博覧会の意義について「中国の包括的なサプライチェーン能力と生産力を示す窓口だ」と位置づけました。その上で次のようにも述べています。
「中国は世界のサプライチェーンにおいて重要な位置を占めています。中国につながらずして、世界につながることは難しいのです。」
製造業の集積やインフラ、周辺産業の厚みなどを背景に、中国が世界の供給網の中で引き続き大きな役割を担っている、というメッセージです。各国企業がリスク分散やサプライチェーン強靭化を模索するなかでも、「完全に切り離す」という発想ではなく、「どうつなぐか」「どう組み合わせるか」に軸足を移す動きも見えてきます。
次回に向けた動きも加速 すでに102社・機関が参加表明
主催者によると、すでに第4回CISCEへの出展を決めた企業・機関は102に達しており、前年から50%の増加となっています。今回の結果を見て、来年以降の博覧会をサプライチェーン戦略の一部として組み込む動きが広がっていることがうかがえます。
CISCEが継続的なプラットフォームとして定着していけば、単年ごとのイベントというより、「毎年ここで世界のサプライチェーンの潮流を確認する」という性格が強まっていく可能性があります。
日本の読者が押さえておきたいポイント
今回のニュースから、日本のビジネスパーソンや学生が押さえておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
- 中国発の国際博覧会に、米国・EU・日本を含む多くの国と地域の企業が集まり、サプライチェーン協力の場として活用している。
- 重視されているのは、その場の取引額よりも、長期的なパートナーシップや共同開発、供給網強靭化につながる関係づくりである。
- マッチング件数や新製品発表数の増加は、サプライチェーンをめぐる競争と協力が同時に加速していることを示している。
- 中国が世界のサプライチェーンで引き続き大きな役割を果たしているというメッセージは、今後の事業戦略やキャリアプランを考える際の前提条件の一つになりうる。
通勤時間やスキマ時間にニュースを追う読者にとっても、この種の国際博覧会の動きは、世界経済の「空気感」をつかむヒントになります。どの企業がどこにつながろうとしているのか。そうした視点でCISCEのようなイベントを眺めると、ニュースが次の行動や議論につながりやすくなります。
Reference(s):
China's supply chain expo closes with over 6,000 cooperation deals
cgtn.com








