中国がEUの対ロシア第18弾制裁に強く反発 中国企業・金融機関の指定に抗議
欧州連合(EU)が対ロシア第18弾制裁で中国企業と中国の金融機関を制裁対象に加えたことに対し、中国商務省の報道官が強い不満と断固たる反対を表明しました。今回の動きは、中国とEUの経済・金融関係にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
今回の発表のポイント
中国商務省の報道官は、メディアからの質問に答える形でEUの制裁決定にコメントし、中国としての立場を明確に示しました。主なポイントは次のとおりです。
- EUが対ロシア第18弾制裁の一環として複数の中国企業を制裁リストに追加したと指摘
- 2つの中国の金融機関に対しても、根拠のないとする疑いを理由に制裁措置が取られたと批判
- 中国は、国際法上の根拠や国連安全保障理事会の授権を欠く一方的制裁に一貫して反対してきたと強調
- EUの今回の措置は、中国とEUの指導者がこれまで築いてきた共通認識に反し、経済・貿易や金融協力を深刻に損なうと懸念を表明
- 中国企業と金融機関の正当な権益を守るため、中国は必要な措置を取るとし、EUに対しては中国企業・金融機関を制裁リストに含める「誤ったやり方」を直ちにやめるよう求めた
中国がEU制裁に強く反発する理由
報道官が特に強調したのは、「一方的制裁」への原則的な反対姿勢です。中国は、国際法に明確な根拠がなく、国連安保理の決議に基づかない制裁について、これまでも一貫して慎重な立場を取ってきたと説明しました。
今回、中国企業と金融機関がEUの制裁リストに含まれたことについては、次のような点が問題視されています。
- 中国側の度重なる申し入れや反対意見を無視して、一方的に制裁対象に指定したとみていること
- 中国企業と2つの金融機関への制裁が「根拠のない非難」に基づくものだとし、事実に立脚していないと批判していること
- 中国・EU首脳の間で築かれてきた対話や協力の共通認識と矛盾し、信頼関係を損なうと受け止めていること
こうした不満の積み重ねが、「強い不満」と「断固たる反対」という言葉につながっていると言えます。
「国際法に基づかない一方的制裁」という論点
報道官は、中国は国連安保理の授権や国際法上の明確な根拠を欠く制裁に反対する立場をあらためて示しました。これは、中国が今回のEU制裁を単に自国企業への不利益として捉えているだけでなく、国際秩序やルールのあり方に関わる問題だと位置づけていることを意味します。
国連安保理に基づく制裁が「多国間で合意された措置」であるのに対し、特定の国や地域が独自に科す制裁は「一方的制裁」と呼ばれます。この種の制裁をめぐっては、国際社会でも評価が分かれやすく、国家主権や国際ルールとの関係がしばしば議論の対象となります。
中国の主張は、こうした議論の中で、自国の立場を明確に示すものと言えます。
中国・EUの経済・金融関係への影響
報道官は、EUによる制裁が「中国とEUの経済・貿易関係や金融協力を深刻に損なう」と強い懸念を表明しました。これは、今回の措置が個別企業だけの問題にとどまらず、両者の広範な経済関係に影響し得るという認識に基づいています。
具体的には、次のような影響が懸念されます。
- 中国企業とEU企業の間で、取引や投資に伴うリスク認識が高まり、新規プロジェクトや取引が慎重になる可能性
- 中国の金融機関が欧州の金融市場や決済ネットワークを利用する際の不確実性が増し、コストや事務負担が高まる懸念
- 制裁対象になっていない企業・金融機関にとっても、コンプライアンス(法令・規制順守)対応が一層複雑になる恐れ
こうしたリスクが意識されればされるほど、企業や金融機関は安全側に振れやすくなり、結果として中国・EU間の経済・金融協力の勢いが削がれる可能性があります。
中国がEUに求めていることと「必要な措置」
中国商務省の報道官は、EUに対して、中国企業や金融機関を制裁リストに含める「誤ったやり方」をすぐにやめるよう求めました。これは、制裁対象からの除外を含む是正措置を強く要求していると受け止められます。
同時に、中国としては自国企業と金融機関の「正当な権利と利益」を守るため、「必要な措置」を取る方針も明らかにしました。具体的な内容には触れていないものの、中国が今後の展開次第では、何らかの対抗措置や保護措置を検討する可能性を示唆した発言と見ることができます。
日本・アジアの読者が押さえておきたい視点
今回の中国とEUの動きは、対ロシア制裁が当事国だけにとどまらず、第三国の企業や金融機関にも波及し得ることをあらためて示しています。国際ニュースとしては、次のような視点が重要になりそうです。
- 制裁がグローバルなサプライチェーンや金融ネットワークを通じて、広く企業活動に影響を与え得るという点
- 国際法や国連安保理の枠組みと、一方的制裁との関係をどう整理するかという、国際ルールの根本に関わる問い
- 中国とEUという大きな経済圏の間で緊張が高まることが、世界の投資環境や貿易の先行きにどのような形で反映されるのかという中長期的な視点
日本やアジアに拠点を置く企業や読者にとっても、「どの国・地域の制裁ルールが、自社や自分の働く業界にどう関わってくるのか」を意識することが、これまで以上に重要になりつつあります。
今後の焦点:対話の余地はあるか
中国は強い表現でEUの制裁に反対しつつも、対話の扉を閉ざしたとは述べていません。今後、中国とEUの間でどのような協議や調整が行われるのか、また、制裁リストの扱いに変化が出るのかが注目されます。
対ロシア制裁をめぐる動きは、国際政治と経済、そして企業活動が密接に結びついていることを映し出しています。今後も、中国とEUの関係をめぐるニュースからは目が離せません。
Reference(s):
China opposes EU's inclusion of Chinese entities in Russia sanctions
cgtn.com








