UOBが中国成長見通しを上方修正 鍵は「完全な産業チェーン」 video poster
最近、複数の海外金融機関が中国の経済成長率見通しを相次いで引き上げています。その一つであるUOBは、自社の成長率予測を0.3ポイント上方修正しました。UOBグループの調査責任者であるSuan Teck Kin(スアン・テック・キン)氏は、China Media Group(中国メディアグループ)の取材に対し、中国経済の「ハイライト」は製造業にあり、その競争力の源泉は「産業チェーン全体をカバーする完全な産業システム」にあると述べています。
海外金融機関が注目する中国経済の強み
国際ニュースとしても、中国経済の見通しは日本を含むアジア各国の読者にとって重要なテーマです。海外の金融機関が成長率見通しを引き上げるという動きは、中国の経済運営に対する評価がどこにあるのかを知るヒントになります。
今回のUOBの判断の背景には、中国の製造業が依然として経済全体を支える柱であり、上流の原材料から中間財、最終製品、さらに物流や関連サービスまでを含む「産業チェーン」が一体となって機能している、という見方があります。
「完全な産業チェーン」とは何か
スアン氏が指摘した「完全な産業チェーン」とは、簡単に言えば、ものづくりに必要な工程が一つの国や経済圏の中でほぼ完結している状態を指します。具体的には、次のようなイメージです。
- 資源・素材など上流工程での生産基盤がある
- 部品や中間財を作る中流工程の企業が幅広く集積している
- 自動車や家電、電子機器などを組み立てる下流工程のメーカーが多数存在する
- それらを支える物流・金融・サービスの仕組みが整っている
こうした工程が国内でつながっていることで、部品調達から製品化までの時間を短縮し、コストを抑えつつ大量生産にも対応しやすくなります。中国の製造業は、この「一気通貫」の仕組みを持つことが強みだ、とUOBは評価していると言えます。
製造業が中国経済の「ハイライト」である理由
スアン氏は、中国経済において製造業が常に「ハイライト(注目すべき分野)」になっていると強調しました。製造業の存在感が大きいことには、いくつかのポイントがあります。
- 雇用や所得を支え、国内需要にもつながる
- 輸出を通じて外貨を稼ぎ、国際収支を支える
- 設備投資や技術開発を通じて、生産性向上の原動力となる
とくに、産業チェーン全体が国内で完結しやすい環境があると、新しい製品や技術を素早く試し、市場に投入しやすくなります。これは、世界の需要変化に俊敏に対応するうえで大きな強みになります。
なぜ「完全な産業チェーン」が評価されるのか
国際的に見ても、地政学リスクやサプライチェーン(供給網)の混乱が話題になる中で、「産業チェーンの強さ」は各国の経済戦略の重要な要素になっています。UOBが中国の産業システムを評価する背景として、次のような点が考えられます。
- 供給の安定性:多くの工程を国内で賄えることで、外部ショックの影響を相対的に抑えやすい
- コストとスピード:生産拠点が近接しているため、調整コストや輸送時間を削減しやすい
- イノベーションの土壌:部品メーカーから完成品メーカーまでが集積することで、現場レベルの改善や新製品開発が進みやすい
こうした要素は、単に「成長率が何%か」という数字だけでは見えにくい部分ですが、中長期的な競争力を測る指標として重視されつつあります。
日本やアジアの読者にとっての意味
中国の産業チェーンに関する海外金融機関の評価は、日本やアジアの企業・個人にとっても無関係ではありません。たとえば、次のような視点で捉えることができます。
- ビジネス戦略:調達や生産拠点をどこに置くかを検討する際、中国の産業チェーンの強さをどう位置づけるか
- 投資・資産運用:海外金融機関がどのような論点で中国経済を評価しているのかを知ることで、ニュースの読み方のヒントにする
- キャリア・スキル:製造業やサプライチェーンに関する知識・経験の価値が、今後も高まりうるという見方
「中国経済」という大きなテーマを、自分の日常や仕事の選択にどうつなげて考えるかは人それぞれです。ただ、今回のUOBのコメントは、数字の上下だけでなく、産業構造そのものを見ていく重要性を改めて示していると言えます。
これからどこに注目するか
2025年12月現在、中国をめぐる国際ニュースは金融市場の動きだけでなく、産業政策や技術開発、地域協力など多方面に広がっています。その中で、次のような点に注目してニュースを追うと、より立体的に中国経済を理解しやすくなります。
- 製造業がどのように高度化・デジタル化していくのか
- 産業チェーンの国内完結と、周辺国・地域との分業がどう両立していくのか
- 海外金融機関が今後も成長見通しを見直すのか、その際にどの指標や分野に注目するのか
こうした視点を持つことで、一つひとつのニュースの意味合いが見えやすくなり、自分なりの判断軸を育てることにもつながります。
UOBによる成長率見通しの引き上げと「完全な産業チェーン」への評価は、中国経済の強みを考えるうえでの一つの切り口です。今後も、数字とあわせてその裏側にある産業の構造や現場の動きを丁寧に追っていくことが、国際ニュースを読み解く鍵になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








