新疆の鉄道港で中欧貨物列車が1万本突破 世界の物流に何が起きている?
2025年の国際物流を象徴する動きとして、中国西北部・新疆ウイグル自治区の鉄道港を経由する中欧(中央アジア)貨物列車の本数が、年初からの累計で1万本を超えました。中国と欧州・中央アジアを結ぶこの鉄道ネットワークは、世界のサプライチェーンの安定にどのような意味を持つのでしょうか。
新疆の2大鉄道港、中欧貨物列車が1万本超え
中国鉄路ウルムチ局集団有限公司によると、中国西北部のアラ山口(Alashankou)とホルゴスという新疆ウイグル自治区の2つの主要な鉄道港を通過した中欧(中央アジア)貨物列車の本数が、2025年の年初から今週月曜日までの累計で1万本を突破しました。
この本数は、同期間に中国全体で運行された中欧貨物列車のうち、半数以上を新疆経由が占めることを意味します。同社は、これらの列車が「世界のサプライチェーンの安定と円滑な運営を力強く支えている」としています。
- 対象期間:2025年年初から今週月曜日まで
- アラ山口・ホルゴス経由の中欧貨物列車:合計1万本超
- 全国の中欧貨物列車に占める割合:5割超
アラ山口:21か国へつながる陸のゲートウェイ
アラ山口(Alashankou、アラタウ峠)は、新疆ウイグル自治区に位置する国際鉄道港で、中国と欧州・中央アジアを結ぶ重要な玄関口となっています。
- 運行ルート数:中欧(中央アジア)貨物列車のルートが124本
- 到達国:ドイツ、ポーランドなど21か国
- 2025年の取り扱い貨物量:977万トン超(前年同期比3.7%増)
貨物量が前年同期比で3.7%増加していることからも、アラ山口を経由する国際貨物の流れが着実に拡大していることが分かります。
ホルゴス:中央アジアと欧州を結ぶ新たなハブ
新疆ウイグル自治区のもう一つの主要鉄道港であるホルゴスも、中欧貨物列車の重要な結節点として存在感を高めています。
- 運行ルート数:89本
- 到達地域:18か国・46の都市や地域
- 2025年の取り扱い貨物量:796万トン(前年同期比20.3%増)
とくに注目されるのは、貨物量の伸び率です。ホルゴスを通過した貨物は前年同期比20.3%増と、アラ山口を大きく上回るペースで拡大しています。中央アジア方面との結び付きが強まる中で、ホルゴスのハブとしての役割は今後さらに高まる可能性があります。
なぜ中欧貨物列車が注目されるのか
中欧(中央アジア)貨物列車は、中国と欧州・中央アジアを結ぶ「陸の回廊」として、国際物流の中で存在感を増しています。今回の新疆ルートの動きが注目される背景には、次のようなポイントがあります。
- 海上輸送に比べてリードタイム(輸送にかかる時間)が短い
- 航空輸送よりもコストを抑えやすい
- 天候や一部海上ルートの混雑などの影響を比較的受けにくい
- 自動車部品や機械、日用品など、多様な貨物をコンテナで安定的に運べる
こうした特徴から、中欧貨物列車は、サプライチェーンの多様化やリスク分散を図りたい企業にとって、海運・空運を補完する選択肢として位置づけられています。
世界のサプライチェーンへの意味
新疆の2つの鉄道港を経由する列車が、中国全体の中欧貨物列車の半数以上を占めているという事実は、中国西北部がアジアと欧州を結ぶ物流の要衝として機能していることを示しています。
とくに、世界的に物流の混乱や輸送コストの変動が続く中で、陸路の安定した貨物輸送能力は、企業や各国経済にとって重要な「保険」の役割を果たします。新疆経由の鉄道ネットワークは、こうした観点からも世界のサプライチェーンの強靱性を高める一要素になっているといえます。
日本やアジアの企業にとっての視点
欧州向けの製造拠点や販売網を持つ日本やアジア各地の企業にとって、中国と欧州・中央アジアを結ぶ鉄道ルートの動きは、今後の物流戦略を考えるうえで無視できないトピックです。
- 欧州向け輸出のルート多様化の一つとして鉄道をどう位置づけるか
- 中国西北部を経由する際のリードタイムやコスト、通関手続きの動向
- 環境負荷や脱炭素の観点から、陸路輸送をどう評価するか
企業ごとに事情は異なりますが、「海運一辺倒」ではなく、複数のルートと手段を組み合わせる発想が、地政学リスクや物流リスクへの備えとして一層重要になりつつあります。
これから注視したいポイント
今回明らかになった数字は、2025年の国際物流の一断面にすぎません。今後、次のような点が注目されます。
- 新疆経由の中欧貨物列車の本数・貨物量の増加がどこまで続くか
- デジタル化や通関の簡素化など、国際鉄道輸送を支える制度面の整備
- 環境負荷の低減やエネルギー効率向上に向けた取り組み
アラ山口とホルゴスを通過する列車が積み上げる「1万本」という数字の裏には、アジアと欧州を結ぶ新しい物流の風景があります。国際ニュースとしての動きを追いながら、自分たちの仕事や暮らしとのつながりを一度考えてみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
Xinjiang railway ports see over 10,000 China-Europe freight trains
cgtn.com








