米国株は米欧通商合意後もまちまち ダウ反落、ハイテクとエネルギーが支え
米国株式市場は現地時間8日(月)、米欧通商合意の発表を受けて取引を終えました。ダウ平均は小幅安となる一方、S&P500とナスダックは小幅高となり、主要3指数はまちまちの展開となりました。
主要3指数:ダウは反落、ナスダックは続伸
8日月曜日の米株式市場では、投資家が米欧通商合意の内容を見極めるなか、指数ごとに方向感が分かれました。
- ダウ工業株30種平均:44,837.56(前日比 -64.36、-0.14%)
- S&P500種指数:6,389.77(前日比 +1.13、+0.02%)
- ナスダック総合指数:21,178.58(前日比 +70.27、+0.33%)
S&P500はわずかながら上昇しましたが、構成する11セクターのうち8セクターが下落するなど、相場全体としてはやや弱含みのムードが残りました。
セクター別:不動産と素材が下落、エネルギーとITが支え
セクター別では、不動産と素材関連が売られました。一方で、エネルギーと情報技術(IT)が上昇し、指数を下支えしました。
- 不動産セクター:-1.75%
- 素材セクター:-1.44%
- エネルギーセクター:+1.15%
- 情報技術(テクノロジー)セクター:+0.77%
金利動向への警戒感から金利に敏感な不動産株が売られた一方、資源価格の動きやAI関連投資への期待が、エネルギーやハイテク株を押し上げた格好です。
米欧通商合意:関税は「脅しの30%」から15%へ
今回の相場の背景には、前日の日曜日に発表された米国と欧州連合(EU)による通商合意があります。この合意により、多くのEUからの輸入品にかかる関税は15%に引き下げられることになりました。これは、ドナルド・トランプ米大統領が当初示していた30%の関税案から大きく和らいだ水準です。
市場では、「最悪の事態」は避けられたとして安堵感が広がる一方、依然として関税水準は高く、企業のコスト増や貿易フローへの影響を慎重に見極める必要があるとの見方もあります。
AIチップを巡る大型契約でテスラが上昇
ハイテク関連では、とくにテスラが3%高と強い動きを見せました。同社は、韓国のサムスンから先端AI(人工知能)チップを調達する約165億ドル規模の契約を公表しており、AI関連インフラへの積極投資が評価された形です。
半導体大手のエヌビディアとブロードコムも、それぞれ約1.5%上昇しました。アップル、アマゾン、メタもプラス圏で終えた一方、マイクロソフトとアルファベット(グーグルの持株会社)は小幅安となりました。AIやクラウドを巡る競争が続く中で、銘柄ごとに取引材料の違いが意識されています。
今週の焦点:雇用指標とビッグテック決算
投資家は、今週発表される米経済指標と企業決算に神経をとがらせています。労働市場の強さや景気の持続性を占ううえで、以下のデータが注目されています。
- 求人件数(JOLTSなど)
- 民間部門の雇用者数
- 新規失業保険申請件数
同時に、S&P500採用企業のうち150社超が今週決算を発表する予定です。なかでも、AIやクラウド投資を牽引する大型ハイテク企業の決算スケジュールが注目されています。
- 水曜日:メタ(Meta)とマイクロソフトの決算発表
- 木曜日:アマゾンとアップルの決算発表
市場は、各社がAI関連投資やデータセンター整備にどの程度の資金を投じるのか、その見通しや経営陣のコメントに敏感に反応しそうです。
FRB会合:9月の利下げ観測にヒントは出るか
米連邦準備制度理事会(FRB)は、火曜日から2日間の日程で金融政策会合を開始し、水曜日に結果を公表する予定です。市場では、今回の会合で政策金利は据え置かれるとの見方が大勢を占めています。
一方で、投資家がより注目しているのは、FRBが声明や記者会見を通じて「9月の利下げ」の可能性にどの程度言及するかという点です。インフレ鈍化のペースと雇用の持ち直し具合しだいでは、利下げ開始時期のシナリオが大きく組み替わる可能性もあります。
投資家にとっての3つのチェックポイント
今回の米国株の動きを踏まえ、今後を見通すうえで押さえておきたいポイントは次の3つです。
- 通商リスクは一歩後退:米欧通商合意で、関税30%という最悪のシナリオは回避されたものの、15%の関税は企業収益への重しとなり得ます。
- AI・半導体関連への資金シフト:テスラとサムスンのAIチップ契約に象徴されるように、市場の関心は引き続きAIインフラ関連銘柄に集まっています。
- FRBと雇用指標が次の方向性を決める:今週の経済指標とFRB会合の結果しだいで、「9月利下げ」シナリオや株式市場のリスク選好度が大きく揺れる可能性があります。
2025年も終盤に差しかかるなか、米国株市場では景気の持続力と金融政策の行方、そしてAI関連投資の熱量という3つのテーマが交錯しています。短期的な値動きだけでなく、こうした中長期のテーマを意識しながらニュースを追うことが、これからの投資判断や世界経済の理解につながりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








