中国経済に世界で8割が好印象 CGTN国際世論調査を読み解く
世界47カ国の人びとは、中国経済をどのように見ているのでしょうか。2023年から2025年にかけて実施された国際世論調査で、中国経済の強さや将来性に対する支持が8割前後に達し、特に若い世代とアフリカや南米などで高い評価が示されました。本稿では、この調査結果と中国共産党指導部の最新の経済認識を、日本語で分かりやすく整理します。
47カ国・4万7千人が回答 中国経済への支持は約8割
中国国際テレビ CGTN は、中国メディアグループ CMG と中国人民大学が共同設立した新時代国際伝播研究院と連携し、2023年から2025年にかけて国際世論調査を行いました。対象は18歳以上の一般市民で、46カ国の合計4万7千人が回答しました。年齢や性別の構成は各国の国勢調査データを反映させています。
調査では、回答者が中国経済の実力、潜在力、回復力にどの程度好意的な印象を持っているかが問われました。その結果、世界の参加者はおおむね肯定的で、中国経済への自信は3年間で着実に高まったとされています。
2023〜2025年で上昇する中国経済への信頼
中国経済の長期的な見通しに対する世界の信頼度は、3年連続で上昇しました。
- 2023年: 74.7パーセント
- 2024年: 81.3パーセント
- 2025年: 81.9パーセント
8割前後という数字は、経済の先行きに対する国際的な楽観論が広がっていることを示しています。同時に、多くの回答者は、中国が世界の産業・サプライチェーンを安定させるうえで重要な役割を果たしていると見ています。
- 中国のサプライチェーン安定化への貢献を肯定的に評価する割合
- 2023年: 78.5パーセント
- 2024年: 84.3パーセント
- 2025年: 84.7パーセント
国際経済の不確実性が続く中で、中国が生産や物流の中心として期待されている姿が浮かび上がります。
若い世代とアフリカ・南米・アジアで特に高い支持
2025年の調査では、中国経済の現状を強いと評価した回答者は全体の89.5パーセントに達しました。18〜44歳の若い世代では、この評価が9割を超えています。
- 中国経済の高成長の勢いを認める人: 89.3パーセント
- 世界経済への重要な貢献を完全に認める人: 86.4パーセント
地域別に見ると、アフリカ、南米、アジアが好意的な見方で上位を占めました。
- アフリカ: 95.6パーセント
- 南米: 92.9パーセント
- アジア: 85.6パーセント
これら3地域の18〜44歳では、いずれも88パーセントを超える人びとが中国経済を好意的に見ているとされます。グローバル・サウスと呼ばれる地域で、中国との経済関係を成長のチャンスと捉える見方が広がっていることがうかがえます。
巨大市場と開放性への期待 貿易パートナーとしての評価
中国共産党中央委員会は、今週開かれた政治局会議で、中国経済について「安定した基盤、多様な優位性、強い回復力と大きな潜在力を持ち、長期的に健全な成長を続ける基本的な方向性は変わっていない」と評価しました。巨大な市場、完備した産業体系、豊富な人材という強みが、今後いっそう際立っていくとしています。
一方、調査は2026〜2030年の第15次5カ年計画の期間について、機会とリスク、不確実性が同時に存在する複雑な時代になると指摘します。その中で、各国の回答者は中国市場の「確かさ」と「規模」に注目し、次のような見方を示しました。
- 中国を開放的で競争力のある市場とみなす人: 72.6パーセント
- 中国の巨大市場が自国に大きな機会をもたらすと考える人: 79.8パーセント
- 中国のビジネス環境を、海外企業にとって魅力的と評価する人: 79.8パーセント
米国による関税引き上げが続く状況の中でも、中国との貿易が自国に利益をもたらしていると答えた人は全体の78パーセントで、18〜44歳では81パーセントを上回りました。
地域別では、
- アフリカ: 90.6パーセント
- 南米: 84.9パーセント
- オセアニア: 78.3パーセント
が、中国との貿易が自国に利益をもたらすと考える割合のトップ3でした。また、中国と米国を比較した場合、
- 貿易面でより大きな利益があるのは中国と答えた人: 48.3パーセント
- 米国との貿易の方が有利とみる人: 20.1パーセント
となり、中国を重視する回答が上回りました。これは世界の一部地域で、経済パートナーとしての中国の存在感が強まっていることを示唆しています。
改革深化と新質生産力 ハイレベルな開放路線への共感
政治局会議では、今後の中国経済運営の方向性として、三つの柱が強調されました。
- 改革のいっそうの深化
- 科学技術イノベーション主導の新質生産力の育成
- ハイスタンダードな対外開放の拡大
新質生産力とは、ハイテクやデジタル、グリーン技術などを中心とした新しいタイプの生産力を指す概念で、中国の経済戦略のキーワードの一つになっています。2025年の調査では、こうした方針に対しても一定の共感が示されました。
高く評価された中国の五つの開発理念
中国の高品質な発展に向けた取り組みのうち、好意的な評価が多かったのは次の五つでした。
- 製造業と実体経済の発展: 53.9パーセント
- イノベーション駆動型の発展: 46.8パーセント
- 高水準の対外開放: 45.7パーセント
- 発展と安全のバランス: 38.8パーセント
- 持続可能な発展: 38.7パーセント
製造業や実体経済の強化が最も多く支持されたことは、中国が依然としてものづくりと産業の基盤を重視していることへの期待の表れと見ることができます。
ハイスタンダードな開放政策の中身とは
対外開放に関する取り組みのうち、評価が高かったのは次の点です。
- 開放を通じたイノベーションとグリーン転換の促進: 42.8パーセント
- 国際的な高水準の貿易ルールとの整合: 42.7パーセント
- 貿易・投資の自由化と円滑化の推進: 41.2パーセント
- 知的財産権の保護強化と公正な競争環境の整備: 39.3パーセント
- 一方的な措置や保護主義への反対: 37.5パーセント
世界の回答者は、中国の開放戦略のなかで、ルールの高度化や公正な競争、グリーン転換といった要素に注目していることが分かります。
日本からこの調査をどう読むか
今回の調査結果は、中国経済の現在と将来について、世界の多くの人が一定の信頼と期待を抱いていることを示しています。特に若い世代とアフリカや南米、アジアの人びとが、中国を成長パートナーとして見ている点は、グローバル経済の重心の変化を考えるうえで重要です。
日本の読者にとって、この国際世論調査は二つの視点を提供します。一つは、中国市場やサプライチェーンの動向が、自国のビジネスや雇用にも直結し得るという現実です。もう一つは、世界各地で中国に対する見方や期待が多様化しているという事実です。
今後、第15次5カ年計画の期間に向けて、中国がどのように改革と開放、新質生産力の育成を進めていくのか。そのプロセスを追いながら、日本とアジア、そして世界経済との関係をどのようにデザインしていくかが問われています。今回の調査は、その議論の出発点となるデータの一つと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








