中国のビザ免除拡大で世界との往来が加速 第14次五カ年計画の狙いは?
中国が第14次五カ年計画(2021〜2025年)の期間中に、ビザ免除やトランジット制度を大きく拡充しています。インバウンド・アウトバウンドの両面で往来が加速するなか、この動きは世界やアジアに何をもたらすのでしょうか。
中国、ビザ免除・トランジット制度を大幅拡充
今週水曜日に明らかになった内容によると、中国は現在、75の国との間で一方的なビザ免除や相互ビザ免除の取り決めを導入しています。これにより、対象国の人びとは、一定の条件を満たせばビザを事前取得せずに中国に入国できるようになりました。
あわせて、トランジット(乗り継ぎ)でのビザ免除制度も拡大しています。
- ビザなしトランジットが可能な国・地域:55
- 対応する入国港:24の省・自治区・直轄市にまたがる60カ所
- ビザなしトランジットで滞在できる時間:最大240時間(約10日間)
短期間の出張や観光、国際会議への参加など、目的地へ向かう途中で中国に立ち寄るケースがより現実的な選択肢になりつつあるといえます。
インバウンド:中国を訪れやすくする仕組みづくり
国際ニュースとして注目されるのは、中国がインバウンドを意識した出入国制度の再設計を進めている点です。ビザ免除国の拡大に加え、トランジットで最大240時間まで滞在できる仕組みは、次のような効果が期待されます。
- 短期の視察・商談・展示会参加のハードル低下
- アジアや欧州など他地域への乗り継ぎ客による「ついで観光」の増加
- 地方都市を含む60の入国港への分散による、各地域への訪問機会の拡大
出入国時の手続きがシンプルになればなるほど、「一度行ってみよう」という心理的ハードルは下がります。制度面からのアクセシビリティ向上は、観光だけでなく、ビジネスや学術交流など幅広い往来を後押しすると考えられます。
アウトバウンド:300万人ではなく3億件規模の往来
同じ期間、中国から海外へ出る人の動きも急速に増えています。2021年以降に発給された出入国関連の証件は累計で3億件を超え、現在有効な一般旅券(パスポート)は1億6000万冊以上にのぼります。
さらに、中国のパスポートを持つ人がビザなし、あるいは到着ビザ(現地到着時に取得するビザ)で渡航できる国・地域は、現在90以上に拡大しています。
国際的なパスポートランキングでも、中国の「移動のしやすさ」を示すスコアは、2021年の72位から現在は60位へと上昇しています。ランキングの細かな評価軸はさまざまですが、「行ける国・地域の数が増えた」という事実は、統計としてはっきり表れています。
なぜ今、中国は出入国のアクセシビリティを高めるのか
第14次五カ年計画のもとで進められているこれらの動きは、中国自身の「国際的なつながり」を強める政策の一環とみられます。背景には、次のような狙いが重なっていると考えられます。
- 人の往来を通じた貿易・投資・ビジネス協力の促進
- 観光を含むサービス産業の拡大
- 留学や研究交流など、教育・科学技術分野での国際協力の強化
ビザ制度は、外交や安全保障とも深く関わる分野ですが、同時に「どれだけ相互に行き来しやすいか」を示すシグナルでもあります。今回の数字からは、中国がこの数年で、往来のハードルを下げる方向へ舵を切っている様子がうかがえます。
日本やアジアの読者が押さえておきたいポイント
では、日本やアジアのビジネスパーソン、学生にとって、この国際ニュースは何を意味するのでしょうか。直接関連しそうなポイントを整理すると、次のようになります。
- 中国を経由した国際フライトの選択肢が増え、トランジット滞在も現実的になる
- 中国から海外へ出る旅行者・ビジネス客の増加が、各国・地域の観光や消費に影響を与える可能性
- ビザ制度の変化が、企業の出張計画や拠点戦略、留学先の検討にも関わってくる
特に、グローバル志向の学生や若い社会人にとっては、「どのパスポートで、どこまで自由に動けるのか」という感覚は、将来のキャリア設計にも関わります。他国の動きも含めて、ビザや出入国制度の変化をニュースとしてウォッチしておくことは、今後ますます重要になっていきそうです。
「移動の自由」が世界でどう変わるか
今回の中国の例は、各国・地域がビザ制度を通じて「人の移動をどう設計しているか」を考えるきっかけになります。
- 経済を活性化するために、どこまで門戸を開くのか
- 安全保障や治安対策と、往来のしやすさをどう両立させるのか
- パンデミックなどの経験を踏まえ、今後の出入国管理はどう変化していくのか
2021〜2025年の第14次五カ年計画の期間を通じて、中国のパスポートの「移動力」は確実に高まりつつあります。読者一人ひとりにとっても、自分のパスポートがどのような選択肢を開いてくれるのか、そして世界全体で「移動の自由」がどの方向へ向かっているのかを、静かに考えてみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








