米中が関税猶予の延長協議 ストックホルム高官会談の中身とは
スウェーデンのストックホルムで行われていた米中の高官級貿易協議が火曜日に終了し、両国は一部の追加関税について90日間の「関税猶予(タリフ・ポーズ)」をさらに延長する方向で協議を続けることで一致しました。世界経済の先行き不透明感が強まるなか、米中の対立激化を避ける姿勢を示した動きとして注目されています。
ストックホルム高官協議のポイント
今回の協議は、ジュネーブやロンドンでの会合に続き、両国の「二国間経済・貿易協議メカニズム」の枠組みで行われました。中国側はHe Lifeng副首相が代表を務め、商務省のLi Chenggang副部長らが参加。米国側はScott Bessent財務長官が率いました。
協議後、Li副部長は「双方の共通認識に基づき、米国側の相互関税のうち24%部分の停止措置と、中国側の対抗措置について、その継続的な延長を引き続き推進していく」と説明しました。具体的な延長期間には触れませんでしたが、米側当局者は、追加の90日延長案が選択肢の一つだとしています。
90日延長案は、トランプ米大統領が以前から示してきた構想でもあり、今回の協議結果を踏まえ、最終的には大統領の判断が鍵を握るとみられています。Bessent財務長官はワシントンに戻り、協議内容を詳しく報告する予定です。
また、両国はこの既存の協議メカニズムを通じて、今後も対話を継続していくことを改めて確認しました。
「関税猶予」が意味するもの
現在の「関税猶予」は、米中双方が応酬的に引き上げてきた追加関税の一部について、発動を一時停止している措置です。対象は、米国側の24%の追加関税部分と、それに対抗する中国側の措置とされています。
ストックホルムでの協議は、とりわけトランプ氏が4月に導入した「三桁関税」、すなわち100%を超える高率関税の再発動を避けることを主な目的としていました。こうした関税が再び全面的に課されれば、
- グローバルなサプライチェーン(供給網)の分断
- 企業コストや商品価格の急騰
- 金融市場の混乱と投資マインドの悪化
といった連鎖的な影響が懸念されていました。今回、猶予措置の延長に向けて協議を続けると確認したことで、少なくとも短期的には貿易環境の安定が期待できる状況になりつつあります。
双方が強調する「安定」と「ウィンウィン」
He副首相はストックホルムで記者団に対し、安定的で健全かつ持続可能な米中の経済・貿易関係は、両国の発展目標に資するだけでなく、世界経済の成長と安定にも貢献すると強調しました。さらに、互恵とウィンウィン(相互利益と共存共栄)の重要性を繰り返し訴えています。
Li副部長も、今回の議論について「踏み込んだ、率直で建設的なものだった」と評価し、両国とも米中経済関係の安定を守ることの重要性を十分に認識していると述べました。
米側当局者は、協議を通じて中国側の課題や優先順位を「これまでよりもよく理解できた」と話しており、双方の認識ギャップを埋める一歩になったとの見方も出ています。Duke Kunshan UniversityのJohn Quelch副学長は、中国の国際メディアCGTNのインタビューで、両国が関税だけでなく、非関税障壁や輸出規制の調整に伴う「痛点」と経済的影響をより深く理解しつつあると指摘し、今回の協議を「非常に心強い」と評価しました。
次の90日と「8月12日」までのタイムライン
Bessent財務長官は、今後およそ90日後をめどに、再び米中高官が集まり協議を行う可能性が高いとの見通しを示しました。これは、現在の関税猶予期間が90日単位で設定されていることと歩調を合わせた動きです。
関係者によると、現行の猶予措置には8月12日という期限が設けられています。それまでに両国が延長で合意できなければ、自動的に追加関税が「元の三桁水準」に戻るリスクがあります。一方でQuelch氏は、協議が「もう一度の90日延長」へとつながる可能性が高いとの見方を示しており、市場もその行方を注視しています。
日本と世界への意味
米中の関税をめぐる動きは、日本を含むアジアの企業や投資家にとっても無縁ではありません。部品や素材の多くが米中間を経由して流通しているとされるなか、
- 製造コストや販売価格の見通し
- 為替や株式市場の変動
- サプライチェーンの再編計画
など、多くの判断が米中関係の安定性に左右されます。今回の「関税猶予延長に向けた合意」は、根本的な対立がすべて解決したわけではないものの、拙速なエスカレーションを避ける「安全弁」として、一定の安心感をもたらしていると言えます。
今後の90日で、両国がどこまで具体的な妥協点を見いだせるのか。読者としては、関税や輸出規制といったニュースを単なる外交カードとして見るのではなく、自身の働き方やビジネス、投資にも直結するテーマとして、継続的にフォローしていく必要がありそうです。
Reference(s):
China, U.S. agree to seek further tariff pause after Stockholm talks
cgtn.com








