米国株、FRBの利下げ見送りでまちまち ダウ安・ナスダック高
米国の金融政策と株式市場の関係が、今年7月の米連邦準備制度理事会(FRB)会合後のニューヨーク市場で改めて浮き彫りになりました。利下げ見送りを受けた米国株は、主要3指数で明暗が分かれています。
米国株はまちまちに ダウ安・ナスダック高
FRBが7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置いたあとの現地時間水曜日、米国株式市場はまちまちの展開となりました。
- ダウ平均株価:前日比171.71ドル安(-0.38%)の44,461.28で終了
- S&P500指数:7.96ポイント安(-0.12%)の6,362.9
- ナスダック総合指数:31.38ポイント高(+0.15%)の21,129.67
S&P500構成銘柄のうち、11セクターのうち8セクターが下落しました。素材セクターが-1.99%、不動産セクターが-1.43%と下げを主導した一方、公益事業セクターは+0.69%、情報技術セクターは+0.43%と上昇しました。
FRBは7月会合で利下げ見送り 9対2で金利据え置き
FOMCは、内部に意見の割れを抱えながらも、政策金利となるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを4.25〜4.5%に据え置くことを決定しました。採決は9対2で、据え置き支持が多数となりました。
FF金利は、金融機関同士が一晩だけ資金を貸し借りする際の金利ですが、住宅ローンや企業向け融資など、幅広い金利に影響を与える中核的な指標です。パウエルFRB議長は、関税政策が今後インフレ率を押し上げるかどうかを見極めるため、当面は金利を据え置く余地があるとの考えを示しました。
こうした決定は、ドナルド・トランプ米大統領からの利下げ圧力や、一部のFOMCメンバーの反対意見がある中で行われており、金融政策をめぐる政治的・内部的な緊張感もにじんでいます。
2人の理事が「利下げ」を主張 1993年以来の複数反対票
今回の会合では、金融規制を担当するボウマン副議長(監督担当)とウォラー理事の2人が決定に反対し、利下げを主張しました。インフレはすでに抑制されつつあり、労働市場にも軟化の兆しが見えるとして、両氏はより早い金融緩和が必要だと判断しています。
単一の政策決定で複数のFRB理事が反対に回るのは1993年以来とされ、FRB内部で見解の違いが表面化した形です。市場にとっても、今後の金融政策が一本調子ではなく、データ次第で方向が変わり得ることを示すシグナルとなりました。
強い成長率と慎重なFRB 経済指標はポジティブ
同じ水曜日に米商務省が発表した統計によると、米国の第2四半期(4〜6月)の実質経済成長率は年率換算で3%となり、市場予想の2.3%を大きく上回りました。景気の底堅さを示す結果ですが、それでもFRBは直ちには利下げに踏み切りませんでした。
「予想以上の成長」と「慎重な利下げ姿勢」が同時に存在することで、市場は「景気は強いが、金融緩和ペースは急がない」という複雑なメッセージを受け取る格好となっています。
S&P500セクターで見える「守り」と「攻め」
セクター別では、景気敏感とされる素材・不動産が大きく売られた一方で、ディフェンシブ(守り)の色合いが強い公益事業セクターや、成長期待の高い情報技術セクターには買いが入りました。
この動きは、投資家が景気の先行きに完全な安心感を持ちきれていない一方で、長期的な成長分野には資金を配分し続けていることを示していると見ることができます。
主力ハイテク株も明暗 半導体株が上昇
個別銘柄では、主力ハイテク株の動きも分かれました。アップル、テスラ、アマゾン、メタは小幅な下落となる一方、エヌビディアとブロードコムといった半導体関連銘柄はそろって約2%上昇しました。マイクロソフトとアルファベット(グーグルの親会社)も小幅高となっています。
金利の先行きに不透明感が残るなかでも、半導体やクラウド、人工知能(AI)関連など、一部の成長テーマには引き続き資金が向かっている構図がうかがえます。
今回の動きから読み取れる3つのポイント
今回の米国株とFRBの動きから、投資家が押さえておきたいポイントを3つに整理します。
- 1.FRBは「利下げ急がず」の姿勢を維持
インフレ再加速のリスクや関税政策の影響を慎重に見極める姿勢が続いており、景気指標が強くても即座の利下げにはつながっていません。 - 2.FRB内部で見解の分岐が拡大
複数の理事が利下げを主張したことで、今後の会合でもデータや情勢次第で議論が割れる可能性があります。市場も「一枚岩ではないFRB」を前提に動く必要があります。 - 3.指数は小動きでも、セクターと個別株で差が拡大
主要指数の変動は限定的でしたが、素材・不動産の下落と半導体株の上昇など、銘柄選別の動きがより鮮明になっています。
米国の金融政策は世界の資本市場に大きな影響を与え、日本を含む各国の投資家や企業にとっても無視できない要因です。利下げのタイミングをめぐるFRB内の議論と、市場の反応を追うことは、今後の投資やビジネスの判断材料として引き続き重要になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








