米国の関税が1934年以来の高水準に イェール大研究が警鐘
2025年12月現在、米国の関税政策が世界経済に与える影響が改めて注目されています。今年7月末に公表されたイェール大学の研究によると、米国の輸入品にかかる平均的な実効関税率が1934年以来の高水準に達し、家計や雇用に大きな影響を与える可能性が示されています。
米国の関税率、1934年以来の水準に
イェール大学のBudget Labは、2025年7月31日までのデータをもとに、米国に輸入される品目全体にかかる平均的な実効関税率を18.3%と推計しました。これは1934年以来、約90年ぶりとなる高い水準です。
ここでいう実効関税率とは、名目の関税率だけでなく、実際に課された関税額と輸入額の関係から算出した指標です。つまり、企業や消費者が最終的にどれだけの関税負担をしているかをよりリアルに映し出す数字だといえます。
家計への影響:年間2,400ドルの負担増
今回の関税引き上げは、米国の消費者にとっても無視できない負担となる見通しです。Budget Labの推計によると、2025年の平均的な米国世帯の年間支出は、関税の影響で2,400ドル増えるとされています。
とくに影響が大きいとされるのが衣料品と靴です。
- 短期的には、靴の価格が40%、衣料品が38%上昇する可能性
- 長期的にも、靴の価格は19%、衣料品は17%高止まりするとの試算
衣料品や靴は日常生活に欠かせない必需品です。所得の低い世帯ほど、こうした価格上昇の影響を強く受ける可能性があります。
成長率と雇用への打撃
関税の影響は、家計だけでなくマクロ経済にも及ぶと見込まれています。イェール大学の研究では、高関税が続いた場合、米国の実質GDP成長率は2025年と2026年のそれぞれの年に、毎年0.5ポイント押し下げられると予測しています。
雇用への影響についても、次のような見通しが示されています。
- 2025年末までに失業率が0.3ポイント上昇
- 2026年末までには、失業率の上昇幅が0.7ポイントに拡大
関税によって輸入品の価格が上がると、企業の調達コストも増えます。採算が悪化した企業が投資や雇用を抑制すれば、その影響が失業率の上昇として表れる可能性があります。
トランプ米大統領の大統領令とは
こうした関税の引き上げは、政策面の動きとも密接に結びついています。米国のドナルド・トランプ大統領は、7月末の木曜日に、69の貿易相手との関税率を変更する大統領令に署名しました。
この大統領令は、2025年8月7日に発効する予定とされており、対象となる経済からの輸入品に対して、新たに10〜40%の関税を課す内容です。この動きに対しては、世界各地から批判の声が上がりました。
世界と日本にとっての意味
米国は世界最大級の消費市場であり、その関税政策は、直接・間接を問わず各国の企業や家計に影響を与えます。米国の成長率が鈍化すれば、輸出や投資を通じて世界経済全体の勢いが削がれる可能性があります。
日本企業にとっても、米国向けの輸出や、米国市場を経由したサプライチェーンがコスト増に直面するリスクがあります。また、米国の消費減速は、グローバルな需要全体の冷え込みにつながる可能性があります。
これから何を注視すべきか
2025年も残りわずかとなるなかで、今回のイェール大学の試算は、関税政策が経済に与える影響を考えるうえで重要な警鐘となっています。
- 米国の実際の成長率と失業率が、試算どおりに推移するのか
- 関税の負担が、どの程度まで企業から消費者価格へ転嫁されるのか
- 米国の貿易相手国・地域が、どのような対抗措置や調整策を取るのか
日本を含む各国の政策当局や企業は、米国の関税動向とその経済的影響を慎重に見極めながら、自国経済への波及をできるだけ抑える対応が求められます。
Reference(s):
U.S. consumers hit with highest tariffs since 1934, Yale study finds
cgtn.com








