インドネシアとペルーが通商協定CEPAに合意 米国19%関税の中で南米開拓へ
インドネシアとペルーが8日、ジャカルタで通商協定「包括的経済連携協定(CEPA)」に合意しました。東南アジア最大の経済規模を持つインドネシアが、南米市場への本格的な足掛かりを得た形で、アメリカによる19%関税という逆風の中での一手としても注目されています。
ジャカルタで首脳会談 CEPA署名を見届ける
インドネシアの首都ジャカルタでは8日、ペルーのディナ・ボルアルテ大統領が大統領宮殿を公式訪問し、儀仗隊と両国の国歌演奏で迎えられました。その後の首脳会談の場で、両国は通商協定となる包括的経済連携協定(CEPA)に署名しました。
インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は、会談後の発言で次のように強調しました。
- この協定により市場アクセスが拡大し、両国の貿易活動が活発になること
- 通常であれば数年かかる交渉を、インドネシアとペルーは14か月でまとめたこと
ボルアルテ大統領の今回の訪問は、プラボウォ大統領が昨年11月にリマを訪れ、APEC Leaders’ Meetingに出席したことへの往訪という位置づけでもあります。首脳同士の相互訪問を通じて、政治・経済両面での関係強化が進んだ形です。
背景にあるアメリカの19%関税
今回のインドネシア・ペルーCEPAは、アメリカとの関係という文脈でも見ておく必要があります。最近、アメリカのドナルド・トランプ大統領は新たな取り決めに基づき、インドネシアからの輸入品に19%の関税を課す措置を導入しました。
インドネシアにとっては、主要輸出先の一つであるアメリカ市場でのコスト増が現実味を帯びる中、輸出先を多角化する必要性が高まっています。こうした状況で、南米のペルーとの間で市場アクセスを広げる通商協定をまとめたことには、次のような狙いが透けて見えます。
- アメリカ一極に偏らない輸出市場の確保
- 南米を含む新興市場への橋頭堡づくり
- 関税リスクを分散し、中長期的な貿易安定を図ること
インドネシアの貿易相もボルアルテ大統領の訪問前に、この経済協定によってインドネシア製品が中南米市場に入りやすくなると説明しており、政府として南米の新たな需要を開拓する意思を明確にしています。
2024年の貿易額と協力分野
インドネシア貿易省のデータによると、2024年のインドネシアからペルーへの輸出額は3億2,940万ドル、ペルーからインドネシアへの輸出額は1億4,960万ドルでした。まだ規模は大きくはないものの、今回のCEPAはこの数字を押し上げる役割を期待されています。
プラボウォ大統領によれば、両国は通商の枠を超え、次のような幅広い分野で協力を強化することで一致しました。
- 防衛
- 違法薬物対策
- 食料安全保障
- エネルギー
- 水産業
- 鉱業
資源や食料、治安といった分野は、どちらの国にとっても国家の安全保障と直結するテーマです。貿易の数字だけでなく、こうした分野での相互協力がどこまで具体化するかも今後の注目点となります。
南南協力の一例としてのインドネシア・ペルー関係
今回のニュースは、日本の読者にとっても次のような点で意味があります。
- 新興国同士の連携強化:インドネシアとペルーという新興経済が、先進国だけに頼らない関係構築を進めていること。
- 通商リスク分散の動き:アメリカの関税措置を背景に、インドネシアが輸出市場の分散を急いでいること。
- 中南米市場の存在感:日本から見ると距離のある中南米が、アジアの国々にとっても重要なパートナーになりつつあること。
国際ニュースを追う上では、大国間の動きだけでなく、こうした新興国同士の通商協定がどのように世界の貿易地図を塗り替えていくのかも、今後の重要な視点となりそうです。
インドネシアとペルーのCEPAが、どの程度実際の貿易拡大や産業協力につながるのか。発効後の貿易統計や、具体的な共同プロジェクトの動きを見守る必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








