AI時代でも代替できない人間のつながり 国連80周年でGlobal Shapersが提言 video poster
AI(人工知能)が仕事やキャリアを奪うのではないか――。そんな不安が世界で広がるなか、「本物の人間的なつながりはAIには決して代替できない」と語る若いリーダーがいます。World Economic Forum(世界経済フォーラム)傘下の若者コミュニティ「Global Shapers」のメンバーで、Curidaosityの創業者でもあるFan Hongyi(ファン・ホンイ)氏です。
2025年、国際社会は国連(国際連合)創設80周年を迎えました。その記念の場でFan氏は、AI時代だからこそ、人と人とのつながりをどう守り、育てていくのかが未来を左右すると訴えました。
AIが仕事を奪う不安の中で語られたメッセージ
国際ニュースを見ていると、生成AIや自動化技術が「ホワイトカラーの仕事を置き換える」といった見出しが目立ちます。Fan氏は、こうしたAIの進歩がもたらす不安を正面から認めたうえで、次のようなポイントを強調しました。
- 高度なAI技術が多くの業務をこなせるようになり、人々の間で「自分の仕事は残るのか」という不安が広がっていること。
- それでもなお、温かさや共感、信頼に支えられた「本物の人間的なつながり」は、AIには本質的に置き換えられないこと。
- だからこそ、技術そのものだけでなく、人と人との関係性をどう豊かにするかに目を向ける必要があること。
AIに何ができて、何ができないのか。その線引きを考えることは、これからの働き方や学び方を考えるうえで、避けて通れないテーマになっています。
Global ShapersとFan Hongyi氏とは
Fan氏が所属するGlobal Shapersは、World Economic Forumと連携する若者コミュニティで、世界各地の都市を拠点に、社会課題に取り組む若い世代が集まるプラットフォームです。国際ニュースの舞台裏で、こうした若者たちが対話を重ね、プロジェクトを進めています。
Fan氏は、その一員であると同時にCuridaosityの創業者でもあり、テクノロジーと人間のつながりの在り方をテーマに活動してきました。AIに詳しい世代でありながら、「つながり」という一見アナログな価値をあえて前面に出している点が印象的です。
国連80周年と「より平和で持続可能で互いにつながった世界」
国連創設80周年の記念の場で、Fan氏は国連の役割についても言及しました。国連がこれまで、より平和で、持続可能で、互いにつながった世界を築くうえで重要な役割を果たしてきたと評価したうえで、その意義を次のように位置づけています。
- 戦争や対立を防ぎ、対話の場を提供してきたこと。
- 気候変動や貧困といった地球規模の課題に、国境を超えて取り組む枠組みをつくってきたこと。
- 人と人、地域と地域を「つなぐ」国際協力の場として機能してきたこと。
ここで重要なのは、国連が担ってきたのが単なる制度や合意の枠組みではなく、「世界中の人々を結びつけるネットワーク」としての役割だという視点です。Fan氏が語る「本物の人間的なつながり」は、国際機関のあり方とも重なっています。
なぜ「本物のつながり」はAIで代替できないのか
では、Fan氏がいう「authentic human connection(本物の人間的なつながり)」とは、どのようなものでしょうか。記事を読む私たちの生活に引きつけて考えると、次のような要素が含まれていると考えられます。
- 共感:相手の背景や感情を想像し、自分ごとのように受け止める力。
- 信頼:時間をかけたやり取りのなかで、「この人になら任せられる」と思える関係。
- 責任:困っている相手に対して、「自分も何かしよう」と行動で応える姿勢。
- 変化し続ける関係性:人生の節目や失敗、葛藤を共有しながら、少しずつ深まっていく関係。
AIは膨大な情報を処理し、人間らしい会話を模倣することはできます。しかし、失敗しながら学び、葛藤しながら決断し、ときに傷つきつつも、それでも人と向き合おうとする「生身の経験」そのものは、AIには持ち得ません。
Fan氏のメッセージは、AIの能力を過大評価しすぎず、同時に人間が持つ「不完全さ」や「迷い」こそが、深いつながりを生む源泉なのだという視点を思い起こさせます。
仕事の世界で求められるスキルのシフト
AIが業務の一部を担うようになるほど、逆に人間ならではの力が問われていきます。Fan氏の発言を踏まえると、仕事の現場でとくに重要度が増すのは、次のようなスキルだと考えられます。
- コミュニケーション力:異なる背景を持つ人と対話し、誤解を解きながら合意をつくる力。
- コラボレーション:一人では解決できない課題に、チームやコミュニティで取り組む力。
- 倫理観と判断力:AIをどう使うか、どこまで任せるかを、人間の側で考え続ける姿勢。
- 創造性:データには現れにくいニーズを読み取り、新しい問いやアイデアを生み出す力。
国際ニュースの現場でも、外交や開発援助の現場でも、これらのスキルはすでに不可欠になっています。AIが支えてくれるのは、あくまでその土台部分であり、人と人を結びつける最後の一線は人間が担う、というのがFan氏の姿勢です。
若い世代と国際機関への示唆
Global Shapersの一員として、Fan氏はとくに若い世代に向けて次のようなメッセージを投げかけているように見えます。
- AIについて学び、使いこなすことから逃げるのではなく、むしろ積極的に理解を深めること。
- 同時に、家族や友人、職場、地域コミュニティとの関係を大事にし、「本物のつながり」を意識的に育てること。
- オンラインとオフラインの両方で、対話の場を増やし、違いを超えて協力する経験を重ねること。
国連の80年を振り返ることは、国際機関の歴史を学ぶだけではなく、「人類はどうやって協力してきたのか」という、より根源的な問いと向き合うことでもあります。AIが社会の基盤となりつつある今、その問いはいっそう重みを増しています。
読者への問いかけ:あなたにとっての「本物のつながり」とは
国際ニュースは、時に遠い世界の出来事のように感じられます。しかし、AIと人間の関係、国連が目指してきた「より平和で持続可能で互いにつながった世界」というテーマは、私たち一人ひとりの仕事や暮らしと直結する話題でもあります。
Fan Hongyi氏が国連80周年の場で語った「authentic human connection」は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- AIに任せることが増えるほど、私はどんな場面で人との対話や関係を大事にしたいだろうか。
- オンライン中心の生活の中で、「本物のつながり」を感じる瞬間はどこにあるだろうか。
- 自分の仕事や学びを通じて、より平和で持続可能な世界づくりにどう関わることができるだろうか。
AIの進歩を恐れるか歓迎するかという二択ではなく、「AIと共存しながら、人間らしいつながりをどう守り、広げていくか」。その視点こそが、これからの時代を生きる私たちにとっての鍵になりそうです。
Reference(s):
Authentic human connection can't be replaced by AI: Global Shapers
cgtn.com








