中国のデジタルインフラが世界トップ水準へ 第14次五カ年計画の成果を整理
中国の第14次五カ年計画(2021〜2025年)の期間中、デジタルインフラが世界トップ水準の規模と技術レベルに達しつつあることが明らかになりました。本記事では、国家データ局の劉烈宏(Liu Liehong)局長が記者会見で示した数字を手がかりに、中国のデジタル経済の現在地を日本語で整理します。
5G基地局と「計算力」で世界上位に
劉局長によると、中国は第14次五カ年計画期間中にデジタルインフラ整備を加速し、2025年6月末時点で次のような規模に達しています。
- 5G基地局:455万局(4.55 million)を整備
- ギガビット級ブロードバンド利用者:2億2600万件(226 million)に到達
さらに、中国全体のコンピューティングパワー(計算能力)は世界第2位の水準にあり、経済・社会のデジタル化を支える強力な基盤になっているとされています。
デジタルインフラ投資がICT産業と新ビジネスを牽引
こうしたデジタルインフラへの投資は、単なる設備整備にとどまらず、情報通信技術(ICT)産業全体の需要を押し上げ、産業チェーン(サプライチェーン)を広く刺激していると説明されています。
劉局長は、投資拡大によって次のような新しいビジネスや産業分野が成長していると指摘しました。
- オンラインショッピングなどの電子商取引
- 遠隔授業・オンライン教育
- 遠隔診療(テレメディシン)
- 「5G+工業インターネット」に代表されるスマート工場や産業デジタル化
高速通信と大容量の計算資源がそろうことで、これまで実現が難しかったサービスやビジネスモデルが現実のものになり、デジタル経済の裾野が広がっている構図です。
農村にも広がる「スマホ経済」 所得向上に寄与
都市部だけでなく、農村地域にも5Gネットワークや電子商取引が広がり、農業とデジタルが結びついている点も、今回の説明で強調されました。
具体的には、農村での5Gネットワーク整備とネット通販の拡大により、農産品をオンラインで販売したり、スマートフォンで市場相場や栽培技術の情報を得たりすることが容易になっています。その結果、農民の所得向上や生活の質の改善に、携帯電話が重要な役割を果たしているとされています。
半導体・OS・AI特許など「基盤技術」での前進
デジタルインフラの整備と並行して、いわゆる「カギとなるコア技術」でも成果が出ていると報告されています。
- 統合回路(集積回路、IC)の開発が加速
- 国産オペレーティングシステム(OS)の普及が進展
- HarmonyOSエコシステムに属する機器が11億9000万台を突破
- 人工知能(AI)関連の特許で、中国が世界全体の60%を占める
インフラだけでなく、その上で動くOSや半導体、AI技術などの「基盤」を自前で強化していく姿勢が数字にも表れているかたちです。
急拡大するデータ産業 2024年に市場規模5.86兆元
中国のデータ産業も、この数年で大きく拡大しています。国家データ発展研究院のまとめでは、2024年時点で次のような状況になっています。
- データ関連企業数:全国で40万社超
- データ産業の市場規模:5.86兆元
- これは第13次五カ年計画(2016〜2020年)期末と比べて117%の増加
今後も高い成長が続くと見込まれており、データの収集・加工・分析・活用といった一連のビジネスが、デジタル経済の重要な柱になりつつあります。
第14次五カ年計画の「総仕上げ」へ 何が見えてくるか
第14次五カ年計画は2021〜2025年の期間を対象としており、2025年12月現在、その最終段階に入っています。今回示された実績は、次のようなポイントを浮かび上がらせます。
- 5Gやコンピューティングパワーなど、インフラ面で世界上位の規模に到達
- オンラインサービスや「5G+工業インターネット」を通じ、産業構造の高度化を後押し
- 農村を含む全国各地で、スマートフォンを通じた所得向上の機会が広がっている
- 半導体、OS、AI特許、データ産業など、基盤技術とデータ経済の分野でも裾野が拡大
劉局長は、こうした成果は中国がデジタル経済を本格的に推進する決意と能力を示すものであり、今後の「質の高い発展」に向けた土台になっていると強調しました。
日本や世界の読者にとっての意味
日本を含む海外の読者にとって、このニュースは次のような問いを投げかけます。
- 5Gやデータセンターなどのデジタルインフラが、どこまで経済成長と直結しうるのか
- AI特許やOSエコシステムの拡大が、今後のグローバルな技術競争にどう影響するのか
- 農村や地方での「デジタル活用」に、どのような応用可能性があるのか
中国の事例は、単に規模の大きさを示すだけでなく、「インフラ投資」と「新しいビジネス」「社会課題の解決」をどう結びつけるかを考える上で、一つの具体的なケーススタディになっています。国際ニュースを追う上でも、今後の動きを継続的に見ていく価値がありそうです。
Reference(s):
China's digital infra makes strides during 14th Five-Year Plan period
cgtn.com








