UNDP「澄んだ水と豊かな山々」が持続可能な開発のカギと強調 video poster
国連開発計画(UNDP)の駐中国副代表補を務めるMa Chaode氏は、中国のメディアCGTNのXu Yi氏とのインタビューで、"Lucid waters, lush mountains"(澄んだ水と豊かな山々)は生態文明と持続可能な開発の基盤であり、国連の2030年持続可能な開発目標(SDGs)と密接に結び付いていると語りました。2030年まで残り5年となった2025年現在、このメッセージは世界の持続可能な発展を考えるうえで重要な示唆を与えます。
自然環境は「生態文明」の土台
Ma氏によれば、"Lucid waters, lush mountains"は単なる美しい風景の描写ではありません。きれいな水、豊かな森林、健全な土壌、多様な生き物など、社会と経済を支える自然環境そのものを象徴する言葉だと位置付けています。こうした自然の恵みなしには、人々の暮らしも経済活動も成り立たないという発想です。
また、Ma氏はこの考え方を「生態文明」の基礎と表現しています。生態文明とは、環境保全と経済発展を対立させるのではなく、長期的な豊かさを実現するために両者を調和させていく社会のあり方を指します。自然環境を単なる「コスト」ではなく、守るべき資産として捉え直す視点とも言えます。
一次から四次産業まで、すべてが自然に依存
Ma氏が特に強調したのは、どの産業分野も「澄んだ水と豊かな山々」という生態資本なしには成長できないという点です。インタビューでは、一次、二次、三次、四次産業のいずれにおいても、この自然の資産が欠かせないと指摘しました。
- 一次産業:農業や林業、漁業などは、水や土壌、森林といった自然条件に直接依存しています。
- 二次産業:製造業や建設業も、水資源やエネルギー、原材料としての自然資源がなくては成り立ちません。
- 三次産業:観光やサービス業も、快適な環境や安全な生活基盤があってこそ信頼が生まれます。
- 四次産業:デジタル産業や知識産業も、データセンターのエネルギーや人材の健康など、間接的に自然環境に支えられています。
つまり、産業構造が高度化し、経済がデジタル化しても、「環境から切り離された経済」は存在しないというメッセージです。環境を犠牲にして一時的な成長を追い求めるモデルは、長期的には持続しないという警鐘とも受け取れます。
2030年SDGsとのつながり
Ma氏は、このビジョンが国連の2030年持続可能な開発目標(SDGs)と「密接に一致している」と述べています。SDGsは、貧困の削減、健康、教育、気候変動への対応、海や陸の豊かさの保全などを包括的に掲げた目標です。
"Lucid waters, lush mountains"という考え方は、とくに以下のようなSDGsの柱と重なっています。
- 環境の保全と再生を通じて、人々の健康と福祉を守ること
- 資源を持続可能なかたちで利用しながら、経済成長と雇用を生み出すこと
- 現在だけでなく将来の世代のニーズも満たせるよう、長期的な視点で開発を進めること
2030年までの残り期間が限られるなかで、環境と経済を一体として捉えるビジョンは、各国や地域が政策や投資の優先順位を考えるうえで参考になる視点と言えます。
日本の読者にとっての意味
Ma氏の発言は、特定の国だけでなく、日本を含む世界の人々に問いを投げかけています。それは「自分たちの暮らしやビジネスは、どれだけ自然環境に支えられているのか」という問いです。
私たちの日常生活で使うエネルギーや水、食べ物、インターネットやデジタルサービスも、その根っこをたどれば自然の恵みに行き着きます。もし、その基盤が失われれば、生活の便利さや経済活動も維持できません。
2025年の今、企業や自治体、市民が「環境を守ることはコストではなく、未来への投資である」という発想をどこまで共有できるかが、SDGsの達成度合いを左右していきます。UNDPのメッセージは、環境と経済をめぐる議論をアップデートするきっかけとして、これからも注目されそうです。
Reference(s):
UNDP: 'Lucid waters, lush mountains' key to sustainable development
cgtn.com








