米国専門家「関税合戦に勝者なし」 トランプ政権の関税が招く負担 video poster
米国のトランプ大統領が主導する関税合戦について、「勝者は誰もおらず、最初に苦しむのはアメリカ人だ」と米国出身の国際政治専門家スコット・ルーカス教授が警鐘を鳴らしています。この国際ニュースは、関税が実際には誰の負担となっているのかを考えるうえで重要な示唆を与えます。本稿では、その指摘を手がかりに、アメリカの関税政策と国内への影響を整理します。
「誰も勝たない関税合戦」ルーカス教授の警告
アイルランドのユニバーシティ・カレッジ・ダブリン内のクリントン研究所で教鞭をとるスコット・ルーカス教授は、トランプ米大統領が仕掛けた関税戦をめぐり、「この争いに勝者はいない」と明言しています。教授によれば、関税は一見すると海外への圧力に見えますが、実際にはアメリカ国内のさまざまな主体に負担が広がる仕組みになっています。
関税は「輸入業者への課税」その負担の連鎖
ルーカス教授が強調するのは、関税とは外国企業ではなく、アメリカ側の輸入業者に課される追加コストだという点です。輸入業者は、次の二つの選択肢に迫られます。
- 自社でコストを吸収し、利益率を削る
- 価格に上乗せし、アメリカ国内の取引先や消費者に転嫁する
後者を選べば、輸入品を原材料や部品として使うアメリカの製造業者のコストが上昇し、その先にいる消費者や農業関係者にも影響が及びます。教授は、こうした構図から「最初に苦しむのはアメリカの製造業者、消費者、農家などのアメリカ人だ」と指摘しています。
アメリカ人が直面する具体的な影響
関税がアメリカ側のコストとして跳ね返ることで、国内では次のような影響が出やすくなります。
- 輸入品やそれを原料とする製品の価格上昇
- 企業の利益圧迫による投資や雇用の慎重化
- 農業分野などでの取引条件悪化や収入減への懸念
特に、海外からの資材や部品に依存する製造業、そして国際市場とのつながりが強い農業分野では、関税によるコスト増が競争力にも影響しやすくなります。
なぜ関税合戦に「勝者」が生まれにくいのか
関税は、相手国だけでなく自国にも痛みを伴う政策です。ルーカス教授の見方に立てば、関税合戦が長引けば長引くほど、アメリカ国内の企業や家計の負担が蓄積していきます。その結果として、
- 貿易相手との緊張の長期化
- 企業のサプライチェーン見直しに伴うコスト増
- 消費者心理の冷え込み
といった形で、アメリカの経済全体にも重しとなる可能性があります。教授が「誰も勝たない」と語る背景には、こうした相互に消耗する構図があります。
私たちが押さえておきたい視点
トランプ米大統領が進める関税政策は、外交や安全保障のカードとして語られることが多い一方で、そのコストはまずアメリカ国内の輸入業者、製造業者、消費者、農家にのしかかるとルーカス教授は指摘します。
関税をめぐる議論を見るときには、「誰にどのタイミングで負担が生じるのか」「そのコストはどこまで価格に転嫁されるのか」といった視点が欠かせません。教授の言う「関税合戦に勝者はいない」という言葉は、短期的な政治的メッセージだけでなく、長期的な経済の持続性を考えるうえでも、重い問いかけとなっています。
Reference(s):
cgtn.com








