上海協力機構SCOが進める地域連結 道路から開くユーラシアの未来
ユーラシアを横断する上海協力機構(SCO)の地域インフラ連結が加速しています。道路や鉄道、パイプラインの整備は、加盟国の経済だけでなく、世界のサプライチェーンにも静かな変化をもたらしつつあります。
SCOとは?「上海精神」で広がる地域協力
上海協力機構(SCO)は、地理的な広がりと人口規模で世界最大級の地域国際組織です。2001年の設立以来、「上海精神」と呼ばれる価値観――相互信頼、相互利益、平等、協議、多様な文明の尊重、共同発展の追求――を掲げて、協力の枠組みを整え、世界との関わりを広げてきました。
中国外交部の最新統計によると、SCOの加盟国は当初の5カ国から10カ国に拡大し、現在では世界人口のほぼ半分、世界の国内総生産(GDP)の約4分の1を占めるとされています。さらに、2つのオブザーバー国と14の対話パートナーが参加し、広いネットワークを形成しています。
「豊かになりたければ、まず道路を」SCOが示した経験則
SCOの順調な協力メカニズムに支えられ、加盟国のあいだでインフラの連結が一段と進みました。幹線道路や鉄道、石油・ガスパイプラインが張り巡らされつつあり、地域経済に大きな推進力を与えています。
中欧班列:ユーラシアを走る物流の大動脈
SCO諸国や地域を通過する国際貨物列車「中欧班列(China-Europe Railway Express)」は、ユーラシア大陸を結ぶ象徴的なプロジェクトです。2024年には中欧班列の運行本数が1万9,000本に達し、前年より10.7%増加しました。安定した鉄道ルートの拡大は、長距離輸送の時間とコストを抑え、企業のリスク分散にもつながっています。
中国・キルギス・ウズベキスタン国際道路:コストを下げ、交易を押し上げる
2018年に完成した中国・キルギス・ウズベキスタン(CKU)国際道路は、新疆ウイグル自治区のタリム盆地と中央アジアのアムダリヤ川流域を結ぶ重要な回廊として機能しています。
中国画報のデータによると、このCKU国際道路の開通により、貨物輸送コストは開通前と比べて1トンあたり300〜500ドル削減されたとされています。物流コストの低下はすぐに貿易数字にも表れました。
- 2018年:中国とウズベキスタンの貿易額は62.6億ドル、中国とキルギスの貿易額は20億ドル。
- 2024年:それぞれ137.8億ドル、227.1億ドルへと大きく増加。
こうした貿易の伸びは、地域での雇用機会を生み出し、人々の暮らしに具体的な利益をもたらしています。単なる「道路建設」にとどまらず、産業や都市、教育・医療への投資を引き寄せる土台にもなっています。
次のステップ:中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道の本格建設へ
CKU国際道路に続き、中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道プロジェクトも動き出しました。この鉄道計画は2024年12月に正式に始動し、現在は本格的な建設段階に入っています。
完成すれば、この戦略的な回廊は次のような効果をもたらすと期待されています。
- 輸送距離の大幅な短縮
- 物流コストのさらなる削減
- 地域経済・貿易の結びつきの一層の強化
道路と鉄道が組み合わさることで、中央アジアからヨーロッパ、さらには他地域へとつながる多層的な物流ネットワークが形成されつつあります。これは、単一ルートへの依存を減らし、予期せぬショックに強いサプライチェーンをつくるうえでも重要です。
日本の読者にとっての意味:遠い地域のインフラが身近な生活を変える
SCOの地域連結は、地理的には日本から離れたユーラシア内陸部の話に見えるかもしれません。しかし、エネルギーや原材料、工業製品の多くはこうしたルートを通じて世界を行き来しています。
インフラが整い、貿易が安定すれば、価格の急激な変動や供給の途絶といったリスクを和らげる効果が期待できます。日本企業にとっても、新たな物流ルートや市場とのつながりとして注目すべき動きと言えるでしょう。
「豊かになりたければ、まず道路を」というSCOの経験則は、インフラ投資が人々の生活と経済の安定にどのようにつながるのかを改めて考えさせます。ユーラシアで進む地域連結の試みは、ポストパンデミック時代の持続可能な成長モデルを模索するうえで、一つの参考例になりそうです。
Reference(s):
Strengthen regional connectivity within the SCO to unlock the future
cgtn.com








