米国が鉄鋼・アルミ関税を大幅拡大 世界のサプライチェーンに新たなリスク
米商務省が鉄鋼・アルミ製品への50%関税を派生製品にまで拡大しました。自動車や建設など幅広い産業に影響し、世界のサプライチェーンと貿易リスクが高まっています。
米国の鉄鋼・アルミ関税、派生製品にも拡大
米商務省は先週、これまで鉄鋼とアルミの素材そのものにかけていた50%の輸入関税を、数百種類の派生製品にも広げると発表しました。この拡大措置は今週月曜日から発効し、国際ニュースとして注目されています。
今回の措置では、通関で使われるハーモナイズド・タリフ・スケジュールに新たに407の品目コードが追加され、鉄鋼やアルミが含まれる部品や加工品が対象になります。製品に含まれる鉄鋼・アルミの割合に基づいて関税がかかる仕組みで、製品に使われている他の材料についても、原産国ごとに定められた関税率が適用されます。
米国はすでに6月に、鉄鋼とアルミへの関税率を25%から50%へ引き上げており、今回の拡大はそれに続く一方的な通商政策の見直しと位置づけられています。中国国際貿易経済合作研究院(Chinese Academy of International Trade and Economic Cooperation)の上級研究員である周密(Zhou Mi)氏は、中国紙グローバル・タイムズに対し、こうした動きが世界市場の不安定さを一段と高めていると述べました。
米国内産業への影響:コスト増が連鎖
今回の関税拡大は、米国内の自動車、建設、製造業など、多くの産業に波及すると見込まれています。輸入された鉄鋼・アルミ部品に依存している企業はコスト増に直面し、その一部は最終製品の価格に転嫁される可能性があります。
自動車・製造業で数百万ドル規模の負担
自動車セクターでは、6月の関税引き上げ以降、すでに顕著なコスト増が起きています。フォードや飲料メーカーのモルソン・クアーズなどは、アルミ価格の上昇に伴い、数百万ドル規模のコスト増を報告しています。
農業機械メーカーのディア・アンド・カンパニーも、当該年度の関税関連コスト見通しを5億ドルから6億ドルへと引き上げました。今回の対象拡大により、こうした企業の負担はさらに重くなる可能性があります。
99セントの缶飲料も危機に
消費財分野でも影響は広がっています。アイスティーで知られるアリゾナ・ビバレッジは、長年維持してきた1本99セントの価格を引き上げざるを得ない可能性があるとしています。
同社は使用する缶用シートの約80%を米国内でリサイクルされた飲料缶から調達していますが、使用するアルミニウムの100%が関税の対象になっており、年間で4万5千トン超のアルミを消費しています。そのうち2割はカナダからの輸入です。国内での代替が限られるなか、関税は企業の利益を圧迫し、最終的には消費者価格に跳ね返る構図です。
カナダ・韓国など貿易相手国の対応
米国の関税措置は、主要な貿易相手国にも波紋を広げています。各国は、自国産業の防衛と米国との関係維持のあいだで難しい対応を迫られています。
カナダは対抗関税、緊張も長期化
カナダは、米国の鉄鋼・アルミ関税に対抗し、3月に210億ドル相当の米国製品に25%の報復関税を導入しました。カナダは前年、米国のアルミ輸入の約7割を占めており、米国の措置による影響は大きいとされています。カナダ側はさらなる対抗措置の可能性にも言及しており、両国の貿易摩擦は長期化の様相を強めています。
韓国は中小企業支援で備え
韓国では、拡大した関税の影響を受ける中小企業を支援するための対策が発表されました。韓国産業通商資源省は、鉄鋼・アルミ含有量の確認や原産地証明書の発行などに関するコンサルティング支援を大幅に拡充し、企業側の費用負担を大きく減らす方針を示しています。
専門家が指摘する信頼性とインフレリスク
周密氏は、米国が頻繁に関税政策を変更することで、貿易相手国から見た米国の信用が損なわれるリスクを強調しています。たとえ米国内の購入企業が高いコストを受け入れたとしても、海外の供給者は今後の政策変更を警戒し、取引を抑制する可能性があります。
米国では鉄鋼・アルミの代替供給源が限られており、企業や消費者は輸入に依存し続けています。そのなかで関税が一段と引き上げられれば、
- 企業の調達コストが上昇する
- 利益率が圧迫され、投資や雇用に影響が出る
- 輸入価格の上昇を通じてインフレ圧力が高まる
といった悪循環に陥るおそれがあります。これらは、世界のサプライチェーン全体に波及しうるリスクとして捉えられています。
世界貿易の先行き不透明感が常態化
今回の鉄鋼・アルミ関税の拡大は、一国の通商政策の変更が、製造業から日常の飲み物の値段にまで影響しうることを改めて示しました。各国の報復措置や企業の対応が重なれば、世界の貿易環境はさらに読みづらくなります。
関税は一度導入されると、対象品目や税率が短期間で何度も見直されることがあります。国際ニュースとしてこうした動きを追いながら、自分たちの身近な物価やビジネスにどのように波及しうるのかを考えていくことが求められています。
Reference(s):
U.S. tariff increase on metals raises global trade risks, expert warns
cgtn.com








