EUの対米輸出が6月に10%超減少 関税引き上げが直撃
2025年6月、欧州連合(EU)の対米輸出が前年同月比で10%以上落ち込みました。米国による関税引き上げが続くなか、貿易黒字の縮小や港湾物流への影響が鮮明になっています。
6月の対米輸出が1割超減 貿易黒字も急縮小
EUの統計局ユーロスタットが2025年6月のデータを公表し、EUから米国への輸出が前年同月比で10%超減少したことが明らかになりました。米国市場向け輸出が大きく落ち込んだ背景には、今年に入ってから相次いだ米国の関税引き上げがあります。
ユーロ圏全体(ユーロ導入諸国)の輸出は、前月比で2.4%減少しました。一方で輸入は3%超の増加となり、その結果、季節調整後の貿易黒字は6月に28億ユーロ(約33億ドル)まで縮小しました。5月の黒字は156億ユーロだったため、1カ月で黒字幅が大きく削られた形です。
相次ぐ米国の関税引き上げ どこにどれだけかかっているのか
米国は2025年初めから、EU製品に対する関税を段階的に引き上げてきました。6月時点では、多くの欧州企業が次のような追加関税に直面していました。
- 多くのEU輸出品に対し、10%のいわゆる「相互関税」(リプロカル関税)が適用
- 自動車メーカーには25%の関税
- 鉄鋼・アルミニウムには最大50%の関税
さらに8月には、新たな関税が発動され、多くのEUからの輸出品に一律15%の関税が課されました。これは、それまで平均5%未満だった関税水準から大きく引き上げられたことを意味します。今年の貿易環境は、EU企業にとって急速に厳しさを増していると言えます。
前倒し出荷と急減速 揺れる欧州の生産と輸出
欧州の産業データは、ここ数カ月で大きく振れています。その一因は、米国の関税発動を前にした企業の「駆け込み出荷」です。多くの企業が関税が上がる前に米国向け出荷を前倒しした結果、その後の月に輸出が急減する動きが出ています。
INGリサーチでグローバル・ヘッド・オブ・マクロを務めるカーステン・ブレツェスキ氏は、ユーロ高、米国の高関税、世界貿易の不透明感、そして競争激化が、今後数カ月にわたり欧州の輸出に重くのしかかる可能性があると指摘しています。2025年12月現在も、こうした要因はなお解消しておらず、輸出企業の先行きには慎重な見方が広がりそうです。
ハンブルク港に表れる貿易ルートの変化
関税の影響は、港湾の取扱量にも現れ始めています。専門誌ワールドカーゴニュースによると、ドイツ北部の主要港であるハンブルク港では、2025年上半期の対米取扱量が前年同期比で約20%減少しました。
一方で、極東地域やバルト海地域との航路では取扱量が増加しており、ハンブルク港と米国を結ぶ航路だけが目立って落ち込んでいます。これは、EUと米国の貿易の一部が、他の地域との取引や別ルートへシフトしつつある可能性を示唆しています。
日本の読者が押さえておきたいポイント
日本やアジアの企業は、欧州のサプライチェーン(供給網)に深く組み込まれているケースが少なくありません。EUの対米輸出が減速すれば、次のような波及が起きる可能性があります。
- 欧州向け部品や素材を扱う企業の受注の変動
- 海運・物流のルート変更や運賃の変動
- ユーロ・ドル相場の変動を通じた為替リスクの高まり
日本の投資家やビジネスパーソンにとっては、EU輸出企業の決算動向や、米国の追加関税に関する発表、欧州の港湾取扱量のデータなどが、今後の重要なチェックポイントになりそうです。
SNSで議論するときの視点とハッシュタグ例
今回のEUと米国の貿易動向は、「関税が変わると企業行動や物流はどう変わるのか」「地域ごとの貿易ルートはどうシフトするのか」といった問いを投げかけています。家族や職場、オンラインコミュニティで話題にするときは、関税だけでなく為替や競争環境など、複数の要因が重なっている点を意識すると、より立体的な議論がしやすくなります。
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Reference(s):
cgtn.com








