観光・カルチャー・IPOがけん引する中国消費市場 2025年の新トレンド video poster
観光ブームとカルチャー、そしてIPO(新規株式公開)が、中国の消費市場の回復をどのように支えているのか――マッキンゼーの最新レポートと専門家の分析を手がかりに、2025年の中国消費を読み解きます。
マッキンゼーが見る2025年の中国消費市場
国際コンサルティング会社マッキンゼーは、2025年の中国の消費市場を分析した最新レポートを公表しました。中国の国際メディアとのインタビューで、マッキンゼーのシニアパートナーであるダニエル・ツィプサー氏は、中国本土の消費を動かしている主な要因として、次の4つを挙げています。
- 記録的な猛暑が生んだ「クール経済」の拡大
- 過去最高水準となっているインバウンド観光
- 中国カルチャーIP(知的財産)のグローバルな台頭
- IPOを含む資本市場の強化による企業成長の後押し
これらが重なり合うことで、2025年の中国の消費セクターは、回復基調を維持しつつ、新しい需要パターンを生み出していると分析されています。
猛暑が生んだ「クール経済」と消費のシフト
ツィプサー氏がまず注目するのは、2025年の夏の厳しい暑さがもたらした「クール経済」です。暑さ対策のための消費が急拡大し、以下のような分野で需要が高まったとされています。
- 冷房家電や高効率エアコンなど、省エネ性能に優れた製品
- 冷たい飲料、アイスクリームなどの清涼関連商品
- 避暑地への旅行やショッピングモールなど、屋内・涼しい場所でのレジャー
単に「暑いからよく売れた」というだけでなく、高付加価値・高性能な製品へのシフトが起きた点が重要だといいます。消費者は価格だけでなく、省エネ性や快適さ、デザインといった要素を重視する傾向を強めており、メーカー側には商品開発の高度化が求められています。
記録的なインバウンド観光が支えるサービス消費
次の大きな柱が、インバウンド観光の回復です。ツィプサー氏によれば、海外から中国を訪れる人の数は記録的な水準に達しており、観光・サービスを中心に消費を底上げしているといいます。
インバウンド観光の拡大は、次のような分野に波及しています。
- ホテル、飲食、交通といった観光インフラ
- 博物館や歴史的名所、テーマパークなどの文化・エンタメ施設
- 都市部でのショッピングや、地方都市での体験型ツアー
観光客は、物を買うだけでなく、「中国ならではの体験」に価値を見いだしているとされます。そのため、地域の文化やストーリーを前面に押し出したサービスづくりが、今後の成長のカギになると指摘されています。
中国カルチャーIPの世界進出と内需拡大
2025年の中国の消費を語る上で、カルチャーIPの存在感も無視できません。ここでいうカルチャーIPとは、ドラマ、映画、アニメ、ゲーム、オンライン小説、キャラクターなど、中国発のコンテンツや世界観のことを指します。
ツィプサー氏は、こうした中国カルチャーIPがグローバルに人気を高めていることが、国内外の消費を同時に刺激していると分析します。
- 海外で人気を得たコンテンツが、中国本土でのファン層をさらに広げる
- 関連グッズ、ファッション、コラボカフェなど、二次消費が拡大する
- オンライン・オフラインを横断したイベントやライブ体験が増える
カルチャーIPは、単なる「エンタメ商品」ではなく、ブランドや観光、ライフスタイルにまで影響を及ぼす存在になってきています。ツィプサー氏は、消費者が作品の世界観に共感し、その世界観を日常生活に取り入れることで、新たな市場が生まれていると指摘します。
IPOと資本市場が支える消費企業の成長
マッキンゼーのレポートとツィプサー氏の分析では、資本市場の役割も重要なポイントとして挙げられています。2025年は、中国本土や周辺市場でのIPO(新規株式公開)が活発で、消費関連企業が成長資金を得やすい環境が続いているとされています。
このようなIPOと資本市場の強化は、消費セクターに次のような効果をもたらします。
- 新興ブランドやスタートアップ企業が、研究開発やマーケティングに投資しやすくなる
- デジタルプラットフォーム企業が、サービスの高度化や海外展開を加速できる
- 投資家の目が、より長期的な成長ストーリーを持つ消費企業に向きやすくなる
ツィプサー氏は、資本市場を通じた資金供給が、消費の多様化と質の向上を後押ししていると見ています。
消費回復を持続させるためのカギ
では、この回復基調を今後も続けていくには何が必要なのでしょうか。ツィプサー氏の示唆を踏まえると、少なくとも次のポイントが重要になりそうです。
1. 体験価値の重視
観光やカルチャーIPの例が示すように、物だけでなく「体験」にお金を使う動きが強まっています。ショッピングセンターや飲食店、オンラインサービスにおいても、ストーリー性や参加型の仕掛けが求められます。
2. デジタルとリアルの統合
中国の消費者は、商品の情報収集から購入、レビューまでをスマートフォン上で完結させることに慣れています。ツィプサー氏は、オンラインとオフラインをまたぐ一貫した顧客体験を設計できる企業ほど、成長余地が大きいと見ています。
3. 地域ごとの多様性への対応
中国本土は地域差が大きく、都市ごとに所得水準やライフスタイルが異なります。猛暑への対応や観光のトレンドも地域によって姿が違います。画一的な商品ではなく、地域や顧客層に合わせたサービス設計が、今後の競争力を左右しそうです。
日本やアジアの企業にとっての意味
今回のマッキンゼーの分析は、日本を含むアジアの企業にとっても示唆に富んでいます。
- インバウンド観光の広がりは、中国本土と周辺地域を結ぶ観光ルートや共同プロモーションの可能性を示している
- 中国カルチャーIPとのコラボレーションは、若年層に向けた新しいブランド戦略になりうる
- 消費関連企業のIPO動向を追うことは、中長期的なビジネスパートナーや取引先を見極めるヒントになる
2025年の中国消費市場は、単に「回復したかどうか」を測る対象ではなく、観光・カルチャー・資本市場が連動する新しい消費モデルの実験場としても注目されています。こうした動きを継続的にウォッチすることが、アジア全体のビジネスチャンスをとらえるうえでも重要になってきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








