中国の市場規制改革が牽引する高品質な成長 第14次五カ年計画の成果とは
第14次五カ年計画(2021〜2025年)が最終盤に近づくなか、中国の市場規制当局が「ビジネス環境の改善」と「高品質な成長」に向けた成果を公表しました。中国経済や国際ビジネスの動向を追ううえで、ルールづくりがどこまで進んでいるのかを知ることは重要です。
ビジネス環境はどう変わったのか
先日金曜日に開かれた国務院新聞弁公室の記者会見で、中国のトップ市場規制当局である国家市場監督管理総局のLuo Wen(ルオ・ウェン)局長は、第14次五カ年計画期間中のビジネス環境の改善について説明しました。
ポイントは次のとおりです。
- 全国統一市場の整備:地域ごとにばらつきがあったルールをそろえ、企業が全国どこでも同じ条件で活動しやすくする取り組みが進んだ。
- 市場参入の「ネガティブリスト」導入:参入を制限する分野をリストで明示し、それ以外の分野では企業活動を原則自由とする仕組みが整えられた。
- コストの削減と保護の強化:制度の簡素化で企業の運営コストを下げつつ、知的財産権や営業秘密の保護を強化し、イノベーションを促した。
その結果、第14次五カ年計画が始まった2021年以降、企業は1,999万社、個人事業は3,395万件の純増となりました。これは、新しいビジネスが次々と生まれていることを示す数字です。
信用監督で「見えないルール」を整える
市場運営の「見える化」と標準化も、今回の記者会見で強調されたテーマです。国家市場監督管理総局は、企業の行動を継続的にチェックする信用監督メカニズムを整備してきました。
その一例が、規定に反した企業を登録する「経営異常名簿」です。このような仕組みにより、ルールを守る企業とそうでない企業が、信用情報の面ではっきり区別されるようになってきました。
こうした取り組みの結果、中国企業の信用レベルは2020年の128.6から、2025年上半期には161.61へと上昇しました。数字の伸びは、企業のコンプライアンス(法令順守)と市場全体の信頼度が高まっていることを示しています。
「量」から「質」へ 研究とインフラ整備の加速
今回の説明では、「質の高い発展」というキーワードも繰り返し言及されました。過去5年間で、中国は次のような成果を挙げています。
- 4,271件の重点研究プロジェクトが始動し、約1万8,000件の品質に関するボトルネック(技術的な行き詰まり)に対応。
- 全国に2,372カ所のワンストップサービス拠点を整備し、企業や市民が品質や検査に関するサービスをまとめて受けられる体制を構築。
こうした取り組みを背景に、製造業の品質競争力指数は100点満点中85.86に到達しました。また、消費者向けサービスへの満足度は81.33ポイント、公共サービスへの満足度は81.62ポイントに達し、生活の質に関わる分野でも評価が高まっていることがうかがえます。
単に生産量を増やすだけでなく、製品やサービスの品質を底上げすることが、中国が掲げる「高品質な成長」の中心にあるといえます。
標準化改革がつくる「統一市場」の次のステージ
今後の方向性については、国家市場監督管理総局の副局長であるDeng Zhiyong(デン・ジーヨン)氏が説明しました。焦点となるのは標準化改革と国家標準体系の高度化です。
Deng氏によると、中国は次のような方向で改革を進めていくとしています。
- より統一された標準体系:分野ごと・地域ごとに分かれていた基準を見直し、全国で整合性のあるルールづくりを進める。
- 協調的で効率的な仕組み:標準の策定・改定プロセスを効率化し、市場や技術の変化に素早く対応できるようにする。
- 統一市場の基盤づくり:標準化されたルールを通じて、全国統一市場の構築と、高品質な経済・社会発展を支える。
第14次五カ年計画期間が終わりに近づく現在、こうした標準化改革は、次の計画期間に向けた「制度インフラ」の整備と位置づけられます。
なぜこの動きが国際的にも重要なのか
日本を含む海外の企業にとって、中国市場は引き続き大きな関心の対象です。今回の発表は、次のような点で注目に値します。
- ルールの透明性向上:全国統一市場とネガティブリストは、参入条件や規制の「見える化」につながる。
- 知的財産権の保護強化:技術やブランドを持つ企業にとって、権利保護の強化は投資判断の重要な材料となる。
- 信用情報の整備:企業の信用レベルが明確になることで、取引先選びやリスク管理がしやすくなる。
もちろん、数字だけで全てを評価することはできませんが、市場規制や標準化の分野で制度改革が積み上がっていることは、中国経済の行方を考えるうえで見落とせない要素です。
読み手への問いかけ:これから何を見るべきか
今回の記者会見で示されたのは、「規制強化=締め付け」ではなく、「ルール整備=ビジネス環境の質向上」という方向性です。第14次五カ年計画の締めくくりに向けて、次の点に注目してみるとよいかもしれません。
- 標準化改革がどこまで進み、どの分野から具体的な成果が見えてくるのか。
- 企業の信用レベルの向上が、資金調達や取引条件にどう反映されていくのか。
- 品質競争力の強化が、消費者の体感や国際市場での評価につながるかどうか。
中国の市場規制とビジネス環境の変化は、国際ニュースとして追うだけでなく、自分の仕事や投資、キャリアにどう関わりうるのかを考えるきっかけにもなります。今後の政策発表やデータの更新も、継続してチェックしていきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








