中国の工業利益減少が2カ月連続で縮小 ハイテク製造がけん引
中国の工業部門で、企業利益の減少幅が2カ月連続で縮小しました。2025年7月の統計によると、ハイテク製造業を中心に回復の動きが鮮明になっており、中国経済と国際サプライチェーンを注視する日本の読者にとっても見逃せないニュースです。
7月の工業利益は前年比1.5%減 減少幅は2.8ポイント縮小
国家統計局(NBS)が公表したデータによると、2025年7月の中国の主要工業企業の利益は前年同月比1.5%減となりました。ただし減少幅は6月に比べて2.8ポイント縮小しており、工業部門の回復基調が続いていることを示しています。
今年1〜7月の累計では、一定規模以上の工業企業の利益は前年同期比1.7%減でした。上半期(1〜6月)と比べると減少幅は0.1ポイント縮小しており、緩やかながら持ち直しが進んでいます。
同じ期間の売上高は78兆700億元(約10.9兆ドル)で、前年同期比2.3%増加しました。利益総額は4兆200億元となっており、売上の伸びとともに収益面の改善もじわりと進んでいます。
ハイテク製造業が急回復 利益は7月に18.9%増
今回の統計で特に目を引くのが、ハイテク製造業の力強い回復です。7月のハイテク製造業の利益は前年同月比18.9%増と大きく伸び、6月の0.9%減から鮮やかな反転となりました。
製造業全体でも、7月の利益は前年比6.8%増とプラス成長を達成していますが、そのけん引役となっているのが政策的にも重視される分野です。
- 半導体分野の強化に伴い、集積回路(IC)製造の利益は前年同月比176.1%増という急拡大
- 電子・電気機械向けの専用設備製造の利益は87.9%増
- コンピューター製造の利益は124.2%増
ハイテク分野の利益改善は、中国の産業高度化やデジタル経済の拡大が企業収益に具体的な形で表れ始めていることを示していると言えます。
政策の後押しと物価の安定が企業収益を支える
国家統計局の統計官である于偉寧(Yu Weining)氏は、利益減少幅の縮小について、工業生産の安定した成長に加え、「物価水準の妥当な上昇を促す政策」が徐々に効果を発揮していると分析しています。
これは、デフレや急激なインフレを避けつつ、企業が価格転嫁しやすい環境を整えることで、収益基盤を強化する狙いがあるとみられます。価格が極端に下がると企業利益は圧迫されますが、適度な需要と価格水準が保たれれば、売上と利益の両方が改善しやすくなります。
設備更新と消費財買い替え促進策の効果
政府が進める「大規模な設備更新」と「消費財の買い替え促進」政策も、今回の統計に明確に表れています。7月には、電子・電気機械向けの専用設備製造で87.9%もの利益増が確認されました。
設備投資の更新需要は、機械・装置メーカーにとって重要な収益源です。老朽化設備の入れ替えが進めば、生産効率の改善だけでなく、新技術の導入を通じて省エネや自動化も加速します。
同様に、コンピューター製造の利益が124.2%増と大きく伸びた背景には、消費者向け・企業向けの買い替え需要の高まりがあるとみられます。パソコンや関連機器の更新は、リモートワークやデジタル化の進展とも連動し、さらなる需要を生みやすい分野です。
日本と世界にとっての意味は
中国の工業利益の動向は、日本を含むアジアや世界のサプライチェーンにも影響します。特に、半導体や電子機器といったハイテク分野は、日本企業も密接に関わる領域です。
- 中国の工業部門が安定的に回復すれば、部品・素材の需要や物流の動きにもプラスの影響が期待される
- 一方で、特定分野での競争激化や価格変動が、日本企業の収益構造に影響を与える可能性もある
利益減少幅の縮小がこのまま続き、工業利益が本格的なプラス成長へと転じるのか。それとも国内外の不確実性によって再び減速するのか。2025年後半に向けて、中国の統計データは引き続き注目すべき指標となりそうです。
Reference(s):
China's industrial profits decline narrows for 2nd consecutive month
cgtn.com








