米国の新学期シーズンで物価高深刻化 親たちが迫られる厳しい選択 video poster
2025年のアメリカでは、新学期シーズンを迎えるにあたり、子どもを持つ多くの保護者が「何を買い、何をあきらめるか」という厳しい選択を迫られました。関税と再燃するインフレ(物価が全体的に上がること)が重なり、学用品や機器などの基本的な準備さえ慎重に見直さざるを得ない状況が広がっています。
新学期が家計の大きなプレッシャーに
アメリカの新学期シーズンは、ノートや筆記用具、リュックサック、制服や衣類、さらにはタブレット端末やノートパソコンなど、多くの支出が一度に集中する時期です。2025年は物価高が続くなかで、こうした出費が家計に重くのしかかりました。
とくに子どもの人数が多い家庭や、収入に余裕がない家庭では、これまで当たり前のように用意してきた品を「本当に必要か」を一つひとつ吟味する場面が増えています。「子どもには必要なものをそろえてあげたい」という思いと、「家計は限界に近い」という現実の板挟みになっている保護者が少なくありません。
関税とインフレの二重の打撃
今回の新学期シーズンで親たちを悩ませた背景には、大きく二つの要因があると伝えられています。それが、関税の影響と、インフレの再燃です。
- 関税の影響:海外で生産される文房具や電子機器、衣類などにかかる関税がコストを押し上げ、その分が店頭価格に反映されやすくなっています。
- インフレの再燃:インフレによって、学用品に限らず、食料品やガソリン、家賃など日常生活の幅広い品目が値上がりし、家計の「余力」を奪っています。
その結果、多くの家庭で「必要最低限のものだけを買う」「買い替えを先延ばしする」といった対応が避けられなくなっているといいます。新学期の準備は、単なる買い物ではなく、家計全体のバランスを見直す作業になりつつあります。
何を優先し、何をあきらめるのか
物価高と関税の影響が重くのしかかるなか、保護者たちは次のような「優先順位づくり」を迫られています。
- 絶対に必要なものを先にそろえる:授業で必須となる教科書や基本的な文房具、体育に必要な靴などを優先し、デザイン性の高いグッズや予備のアイテムは後回しにする。
- 中古やお下がりの活用:兄弟姉妹や友人、地域コミュニティでの「お下がり」を活用したり、中古のノートパソコンや端末を探したりする家庭も増えています。
- 購入時期をずらす:新学期直前の一括購入を避け、必要になったタイミングで少しずつ買い足すことで、家計への一時的な負担を軽減しようとする動きも見られます。
こうした対応は、子どもの学びの環境を守りたいという思いから生まれた工夫ですが、「他の子と比べて見劣りしないか」「必要な機器がないことで授業についていけなくなるのでは」といった不安も同時に抱えています。
アメリカ発の物価高、世界の保護者にも波及
今回の新学期シーズンの負担増は、アメリカ国内だけの話ではありません。報道によると、より遠く離れた地域の保護者たちも、同じように物価高の影響を感じています。
グローバルなサプライチェーンの中で、アメリカ市場の動きや関税政策は、他の国や地域の価格にも波及しやすい構造になっています。アメリカで学用品や電子機器が値上がりすれば、その影響は、時間差を伴いながらも他の国・地域の店頭価格にも反映される可能性があります。
物価高やインフレは、国ごとの事情が異なる一方で、「子どもの教育費が家計を圧迫する」という構図は、多くの国と地域で共通しつつあります。アメリカの新学期シーズンで見られた保護者の苦悩は、世界の保護者が共有しうるテーマだといえます。
教育とコスト、私たちが考えたい視点
今回のアメリカの事例は、日本を含む他の国や地域にとっても、「教育に必要なもの」と「家計の現実」をどう両立させるかを考えるきっかけになります。
- 教育に必要な「最低限」とは何か:本当に学びに必要な環境とは何かを、家庭や学校、社会全体で議論する余地があります。
- デジタル化と格差:学習端末やインターネット環境が前提となる中で、そのコストを誰が、どのように支えるのかは、日本でも避けて通れない論点です。
- 子どもと一緒に家計を考える:厳しい状況だからこそ、子どもとお金の話をし、優先順位を一緒に決めていくことが、金融教育の一環にもなり得ます。
インフレや関税といったマクロな経済の動きは、一見すると遠い世界の話に見えます。しかし、その影響は、新学期の買い物リストという、ごく身近なレベルにまで及んでいます。ニュースを通じてそのつながりを意識することが、家計の戦略を考える上でも、社会全体の制度や政策を考える上でも、これまで以上に重要になっているのかもしれません。
この報道の出どころ
こうしたアメリカの新学期シーズンの様子は、国際メディアであるCGTNの記者、オーウェン・フェアクラフ氏のリポートとして伝えられています。現地の保護者の声や、物価高に直面する具体的な状況を通じて、教育と生活コストのバランスというグローバルな課題が浮き彫りになっています。
Reference(s):
Parents struggle with rising prices during back-to-school season
cgtn.com








