天津発スマート革新と技能アップ ルーハン工坊とSCOサミット video poster
2025年も終盤に入り、2025年の上海協力機構(SCO)サミット開催に向けた準備が続く中国北部の天津市。北京への海の玄関口であり、国際的な貿易拠点でもあるこの都市は、デジタル化とグリーン開発(環境に配慮した持続可能な成長)を組み合わせた都市づくりを加速させています。同時に、中国発の職業訓練プログラム「ルーハン工坊(Luban Workshop)」を通じて、SCO諸国の若者の技能アップにも力を入れています。
天津がめざす「スマートでグリーンな」都市像
天津は、長年にわたり北京を支える海上交通と物流の拠点として発展してきました。2025年のSCOサミットを控える今、都市の競争力を高めるキーワードとして前面に出ているのが「デジタル化」と「グリーン開発」です。
デジタル技術を活用して、エネルギーや物流、行政サービスをより効率的にすることは、環境負荷を減らしながら経済成長を続けるための重要な手段になりつつあります。天津では、こうした流れを一体的に進めることで、国際会議を迎える都市としての「ショーケース」づくりが意識されているとみられます。
デジタル化とグリーン開発の「掛け算」
天津の取り組みの核にあるのは、「デジタル」と「グリーン」を別々に進めるのではなく、両者を掛け合わせる発想です。例えば、次のような方向性が考えられます。
- 港湾や物流でのデータ活用により、船舶やトラックの待ち時間を減らし、燃料消費と排出ガスを同時に削減する。
- 工業団地やオフィスビルのエネルギー使用量をセンサーで可視化し、AIによる最適制御で電力使用を抑える。
- 行政手続きのオンライン化で紙の使用や移動を減らし、市民や企業の「時間コスト」と環境負荷を同時に下げる。
こうしたスマートな仕組みは、一見すると技術の話に聞こえますが、その背景には「限られた資源で、より豊かで持続可能な暮らしをどう実現するか」という共通の課題があります。国際会議を通じて、SCO諸国との間でこうした経験やノウハウを共有していくことも期待されています。
ルーハン工坊とは何か
天津を語るうえで、もう一つ欠かせないキーワードが「ルーハン工坊(Luban Workshop)」です。ルーハン工坊は、中国が展開する職業訓練プログラムで、SCO諸国を含むパートナー国の若者に、実践的な技能と最新の技術教育の機会を提供することをめざしています。
「職業訓練」と聞くと、特定の技術を身につける場だと考えられがちですが、ルーハン工坊の狙いはそれだけではありません。現地の産業ニーズに合わせたカリキュラムを通じて、若者が自分のキャリアを主体的にデザインし、国境を越えた協力の担い手として育っていくことも重視されています。
SCO諸国の若者を支える「アップスキリング」
「アップスキリング」とは、既に持っている知識や経験に、新しい技能やデジタルリテラシーを積み重ねることを指します。ルーハン工坊は、このアップスキリングを実現する場として機能しています。
具体的には、次のような効果が期待できます。
- 若者が産業現場で即戦力として活躍できる実践的な技能を身につける。
- スマート製造やグリーン開発など、新しい産業分野に対応した技術を学ぶことで、将来の雇用機会を広げる。
- 中国とSCO諸国の学生や教員が交流することで、相互理解と信頼を深める。
デジタル化とグリーン開発が進むなかで、必要とされる技能は急速に変化しています。そうした変化に対応できる人材を育てることは、どの国にとっても重要な課題です。ルーハン工坊は、その一つのモデルケースといえるでしょう。
「国境を越えた家」としての天津と学びの場
天津とルーハン工坊をめぐる動きは、「国境を越えた家」というイメージにもつながります。言語や文化、国境の違いを超えて、若者が集まり、学び合い、将来のキャリアや社会のあり方を考える場が生まれているからです。
SCOサミットという国際舞台で交わされる議論と、教室や実習室で行われる日々の学び。一見、別々の世界の出来事のようですが、実際にはどちらも「より良い未来をつくる」という一点でつながっています。
日本の読者にとっての意味
日本でも、デジタル化や脱炭素、リスキリング(学び直し)といったキーワードが日常的に語られるようになりました。天津の取り組みやルーハン工坊のような試みは、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 都市レベルでデジタル化とグリーン開発をどう組み合わせるのか。
- 若者が国境を越えて学び合う仕組みを、どのように支えていくのか。
- 技術だけでなく、「共に暮らし、共に働く」感覚を育てる教育は可能か。
2025年のSCOサミットを控えた天津の動きは、アジアの一都市のニュースにとどまらず、これからの国際協力と人材育成のあり方を考えるヒントを与えてくれます。スキマ時間にニュースを追う私たち一人ひとりにとっても、「国境を越える学び」とは何かを考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
A Home Across Borders: Smart innovation and upskilling in Tianjin
cgtn.com








