中国の国家発展改革委員会が消費拡大策を発表 市場活性化へ3本柱
中国の国家発展改革委員会(NDRC)は、国内の消費を一段と押し上げ、市場の活力を高めるための一連の新しい対策を発表しました。世界経済の不透明感が続くなか、中国経済の行方と消費の動きは、日本を含むアジア経済にも影響を与える重要なテーマです。
2025年の中国消費、伸びは維持
NDRCの報道官である李超氏は、金曜日に開かれた記者会見で、2025年7月の中国の社会消費品小売総額が前年同月比3.7%増となったことを明らかにしました。また、2025年1〜7月の財とサービスを合わせた小売売上高の伸び率はおよそ5%とされています。
李氏は、7月には一部の経済指標に振れが見られたものの、全体としては消費拡大と投資構造の高度化という大きな流れに変化はないと強調しました。そのうえで、中国はすでに「実物消費(モノの消費)の世界最大市場」だが、一人あたり消費、特にサービス分野にはなお大きな伸びしろがあると指摘しています。
NDRCが示した消費押し上げ策の3本柱
NDRCは、内需の底上げと市場の活力向上に向けて、主に次の3つの方向で政策を進める方針です。
1. 雇用力と所得の安定を強化
まずは、家計の所得と雇用の安定を通じて、消費の基盤を固める狙いがあります。
- 大規模な職業訓練プログラムを展開し、労働者のスキル向上を支援する。
- 特に、大学卒業生や農民工などの重点層が安定した仕事を得られるよう支援を強化する。
- 最低賃金水準の調整メカニズムを改善し、賃金の底上げを通じて購買力を高める。
持続的な個人消費には、雇用と所得の見通しに対する安心感が欠かせません。雇用支援と最低賃金制度の強化は、特に若者や移動労働者層の不安をやわらげ、消費マインドの安定につながるとみられます。
2. 高品質な供給を広げる
次に、消費者が魅力を感じる商品やサービスを増やすことで、新たな需要を掘り起こす方針です。
- 家電や自動車などの買い替えを促すトレードイン政策を着実に実施し、その適用期間を延長する。
- 新商品や新ブランドの市場投入などを軸とした「デビュー経済」に関する新たな政策を加速する。
- オンラインを含むデジタル消費を後押しし、AIと消費を組み合わせた新しい形のサービスや販売モデルを支援する。
- 文化観光、スポーツイベント、キャンプなどの新興サービス分野に対して、分野ごとに異なる支援策を講じる。
モノだけでなく、観光やスポーツ、アウトドアといった体験型のサービス消費を伸ばすことで、より多様な産業に需要が波及しやすくなります。AIやデジタル技術との組み合わせは、新しい消費スタイルの創出にもつながりそうです。
3. 消費しやすい環境づくり
最後に、安心してお金を使える環境づくりも重視されています。
- 信頼できるサービス消費ブランドを育成し、品質やサービス面での信頼感を高める。
- 地方政府を支援し、家族連れや高齢者が利用しやすい消費シーンや施設を整備する。
同じ所得水準でも、消費体験への信頼感や利便性が高まれば、財布のひもは緩みやすくなります。ブランド育成や高齢者フレンドリーな設計は、今後の人口構造の変化も見据えた対応といえます。
サービス消費の拡大が鍵に
李氏が指摘したように、中国ではすでにモノの消費が世界的に大きな規模に達している一方で、一人あたりのサービス消費にはなお余地があるとされています。所得水準が上がると、家電や自動車などの耐久財から、旅行、教育、医療、娯楽といったサービスへと支出の重心が移っていくのが一般的な流れです。
今回示された政策は、こうした構造変化を後押ししつつ、内需を安定させようとする動きとして位置づけられます。職業訓練によるスキル向上とサービス産業の拡大が両輪となれば、雇用機会の創出と消費拡大が相互に支え合う循環が期待されます。
日本やアジアにとっての意味
中国の消費拡大策は、日本を含むアジアの企業や市場にも波及する可能性があります。例えば、
- 中国でのサービス消費が拡大すれば、観光、スポーツ、エンターテインメント関連での協力やビジネス機会が増える可能性があります。
- デジタル消費やAIと連動した新しいビジネスモデルは、周辺国の企業にとっても連携や競争の重要な舞台となり得ます。
中国の内需政策の方向性を読み解くことは、アジアのサプライチェーンやサービス産業の戦略を考えるうえでも意味を持ちます。日本の読者にとっても、単なる海外ニュースではなく、自国の企業や生活にじわじわと影響しうる動きとして注視する価値があります。
今後の注目ポイント
今回の発表を受け、今後注目されるのは次のような点です。
- 職業訓練や最低賃金制度の見直しが、実際に雇用と所得の安定につながるか。
- トレードイン政策やデビュー経済、AIと結びついた消費分野で、どのような新しい商品・サービスが登場するか。
- 文化観光やスポーツイベント、キャンプといったサービス消費の拡大が、統計データにどのように表れてくるか。
2025年の後半から先にかけて、これらの政策がどこまで具体化し、消費データや企業活動にどのような形で現れてくるのかが、中国経済を読み解くうえでの一つの焦点となりそうです。
Reference(s):
China's top economic planner takes measures to boost consumption
cgtn.com








