中国、米国製光ファイバーに反ダンピング関税拡大 初の反回避措置
中国、米国製光ファイバーに反ダンピング関税拡大 初の反回避措置
中国商務省は木曜日、米国から輸入される特定の光ファイバー製品に対し、反回避措置として反ダンピング関税の適用範囲を拡大すると発表しました。今回の決定は、国内企業の要請を受けて2025年3月4日に始まった中国初の反回避調査の結果に基づくもので、関税は同年9月4日から適用されています。2025年12月現在も、これらの措置は継続中です。
中国初の「反回避調査」で何が分かったのか
商務省によると、この反回避調査は中国の関連法令に基づき、公開かつ透明な手続きで進められました。調査の過程では、関係する全ての当事者の権利が十分に保障されたと説明しています。調査開始のきっかけは、中国国内企業からの申し立てでした。
焦点となったのは、米国の輸出業者が既存の反ダンピング措置をどのように回避していたかという点です。商務省の調査では、米国側が、すでに反ダンピング関税の対象となっている「分散非シフト単一モード光ファイバー(dispersion unshifted single-mode optical fiber)」ではなく、別の規格である「カットオフシフト単一モード光ファイバー(cut-off shifted single-mode optical fiber)」を中国市場向けに出荷していたことが確認されたとしています。
対象となる光ファイバー製品と新たな関税の範囲
従来、中国の反ダンピング措置の対象となっていたのは、分散非シフト単一モード光ファイバーでした。今回の調査で、中国商務省は次のように判断しています。
- 分散非シフト単一モード光ファイバーに対する既存の反ダンピング関税が回避されていた
- カットオフシフト単一モード光ファイバーは、実質的に同様の用途で使用され、既存措置の効果を弱めていた
このため、中国は現在課している分散非シフト単一モード光ファイバーへの反ダンピング関税を、カットオフシフト単一モード光ファイバーにもそのまま適用することを決定しました。つまり、米国産のこれら光ファイバー製品については、同じ税率の反ダンピング関税が広くかかることになります。
「反ダンピング」と「反回避措置」とは何か
今回のニュースは、国際通商ルールの中でよく聞く「反ダンピング」と「反回避措置」という二つの仕組みを理解するうえでも重要です。
- 反ダンピング措置:ある国の企業が、他国の市場で不当に安い価格(ダンピング)で商品を販売していると判断された場合に、その影響から国内産業を守るため課される追加関税のことです。
- 反回避措置:既に導入されている反ダンピング措置などを迂回するための取引形態や製品変更が確認されたときに、その抜け道をふさぐ目的で取られる対策です。
中国商務省は、今回の決定について、まさにこの「反回避措置」に該当するものだと説明しています。既存の反ダンピング関税の実効性を保つため、適用対象を拡大するという位置づけです。
米中通商関係の中で見えるポイント
米国と中国の間では、近年、ハイテク製品や素材をめぐる通商摩擦が続いています。光ファイバーは通信インフラやデータセンターなど、デジタル化を支える重要な部材であり、両国にとって戦略的な意味を持つ分野です。
今回の決定は、米中間の通商関係の一コマとして、次のような点で注目されます。
- 中国が通商防衛手段として、反ダンピングに加え反回避措置を積極的に活用し始めていること
- 光ファイバーのような基幹部品でも、価格や輸出経路をめぐる細かなルール運用が重要になっていること
- 調査手続きについて、中国側が「公開性」「透明性」「当事者の権利保護」を強調していること
こうした動きは、他の分野や他国との取引にも波及する可能性があり、国際的なサプライチェーンをどう設計するかという大きなテーマともつながってきます。
日本やアジア企業にとっての示唆
日本を含むアジアの企業にとっても、中国市場や米国市場で事業を展開する際には、反ダンピングや反回避措置の動きを丁寧にウォッチしておく必要があります。特に次のような点がポイントになりそうです。
- 製品仕様を変えた場合でも、実質的に同じ用途と見なされれば、既存の関税措置の対象に含まれる可能性がある
- 輸出経路や委託生産のスキームが、各国当局から「措置の回避」と判断されないよう、法令順守を徹底すること
- 中国商務省をはじめ各国当局の調査手法や判断基準が、今後さらに整備・明確化されていく可能性があること
国際ニュースとしての動きを追うだけでなく、自社のビジネスや将来のキャリアに照らして「もし自分が関係者だったら、どこにリスクとチャンスがあるか」を考えてみると、今回のニュースもより立体的に見えてきます。
これからの通商ルールをどう読むか
今回の中国の決定は、個別の光ファイバー製品に関する通商措置であると同時に、各国がどのように通商ルールを運用していくのかを示す事例でもあります。反ダンピングや反回避措置は、一方では国内産業を守る手段であり、他方では国際取引のコストや不確実性を高める要因にもなり得ます。
2025年の今、世界の貿易は、単に「自由化」か「保護」かという二択では語れなくなっています。法令に基づく措置を尊重しつつ、いかに予見可能性と透明性を高め、公平な競争環境を維持していくのか。今回の中国商務省の発表は、その問いをあらためて投げかけるニュースと言えそうです。
Reference(s):
China imposes anti-dumping duties on certain U.S. optical fiber goods
cgtn.com








