国際ニュース:中国・浙江省徳清の淡水真珠養殖が世界農業遺産に
国際ニュースを日本語で。国連食糧農業機関(FAO)の世界重要農業遺産システムに、2025年、中国・浙江省徳清の淡水真珠養殖が新たに加わりました。水面からジュエリーボックスまで、真珠が生まれる旅路をたどります。
中国・浙江省徳清は淡水真珠の早期産地
中国東部に位置する浙江省徳清(Deqing)は、中国で最も早く淡水真珠の養殖が記録された地域とされています。長い年月をかけて培われた養殖技術により、徳清の真珠は透明感、真円度(丸さ)、なめらかな表面で知られています。
いわば、徳清は中国の淡水真珠文化を語るうえで欠かせない土地です。固い貝殻の中で育まれた小さな結晶が、世界のジュエリー市場でも評価される存在へと育ってきました。
FAOの世界重要農業遺産に2025年版として登録
2025年、国連食糧農業機関(FAO)は、徳清淡水真珠複合生産システムを、2025年の世界重要農業遺産システム(Globally Important Agricultural Heritage Systems)のリストに正式に追加しました。
世界重要農業遺産システムは、地域ごとに受け継がれてきた伝統的な農業や漁業の知恵、生態系との共生、地域文化などを包括的に評価し、次世代につなげていくための国際的な枠組みです。徳清の淡水真珠養殖がこのリストに入ったことは、単なる特産品としてではなく、地域の暮らしや環境と結びついた複合的なシステムとして認められたことを意味します。
2025年12月現在、この登録は徳清にとって大きな追い風となっており、地域のブランド力や観光資源としての価値も一層高まりつつあります。
貝殻からジュエリーボックスへ:OSMパールミュージアムの体験
徳清には、淡水真珠の世界を体感できるOSMパールミュージアムがあります。ここでは、養殖の現場からジュエリーとして身に着けられるまでのプロセスを、一つの物語として学ぶことができます。
中国の国際メディアであるCGTNの記者、He Jingyiさんも、このミュージアムで体験取材を行いました。彼女がたどったのは、水の中からジュエリーボックスに収まるまでの、真珠の長い旅です。
来館者は、淡水で育つ貝と真珠の関係や、時間をかけて丁寧に育てる養殖の工程、そして選別や加工を経てアクセサリーへと姿を変えていく過程を、ストーリー仕立てで追いかけることができます。普段は完成したネックレスやピアスしか目にしない人にとって、真珠がどれだけ多くの手間と時間を経て生まれているのかを実感できる場になっています。
なぜ徳清の真珠ニュースが今、私たちに関係あるのか
一見すると、徳清の淡水真珠養殖と日本で暮らす私たちの生活は遠い話に感じられるかもしれません。しかし、国際ニュースとしてこの出来事を捉えると、いくつかのポイントが見えてきます。
- 地域の伝統産業が、国際機関によって評価されることで、新たな価値が生まれる
- 農業や水産業と観光、文化体験を組み合わせた「複合システム」が地方活性化のヒントになる
- 日常的に身に着けるジュエリーの裏側に、環境や地域社会との関係があると意識するきっかけになる
グローバル志向の読者にとって、徳清のケースは、世界の地域がどのように自らの強みを再発見し、国際社会とつながっているのかを示す具体例といえます。日本各地の伝統的な農林水産業と照らし合わせて考えてみると、新たな視点も生まれてきそうです。
これからの真珠と地域の物語
徳清の淡水真珠養殖は、長い歴史を持つ産業でありながら、2025年に世界重要農業遺産システムに登録されたことで、今まさに世界から改めて注目を集めています。
固い貝殻の中で、時間をかけて少しずつ光を増していく真珠のように、地域に根ざした産業や文化も、丁寧に受け継ぎながら磨き続けることで、新しい輝きを放つようになります。徳清の淡水真珠の物語は、その一つの象徴的な例だといえるでしょう。
ニュースを追うとき、価格やトレンドだけでなく、その背景にある土地や人々の営みまで思いを巡らせる。そんな読み方をすると、国際ニュースはもっと立体的で、自分ごととして感じられるはずです。
Reference(s):
From tough shell to shimmering pearl — How many steps does it take?
cgtn.com








