米企業の対中国信頼感が上昇 上海アメリカ商工会議所報告 video poster
上海アメリカ商工会議所が今年9月に公表した『2025 China Business Report』によると、中国で事業を行う米国企業のあいだで、中国のさらなる対外開放に対する「自信」が大きく高まっています。依然として経済や地政学の不透明感が残るなかで、なぜ企業の見方は変わりつつあるのでしょうか。
上海アメリカ商工会議所の2025年報告とは
この報告書『2025 China Business Report』は、上海アメリカ商工会議所が2025年9月10日に発表したもので、中国ビジネス環境に関する企業の認識をまとめています。調査結果からは、ここ数年の変化を企業がどう受け止めているのかが見えてきます。
政策・規制は「改善した」と感じる企業が増加
まず目を引くのが、中国政府の外資系企業向けの政策や規制についての評価です。調査に回答した企業のうち、過去数年で政策や規制が改善したと考える企業は全体の3割超に達し、この割合は2024年から4ポイント増加しました。
企業側から見ると、ルールの見通しが立ちやすくなったり、手続きの運用がより安定してきたと感じられる場面が増えている可能性があります。数字だけを見ると急激な変化ではないものの、「改善傾向が続いている」と受け止める企業がじわじわ増えていることを示していると言えます。
中国のさらなる開放に「自信あり」41%
もう一つ重要なポイントが、中国のさらなる開放への期待感です。「中国が今後さらに開放を進めていくことに自信がある」と答えた企業は41%に達しました。これは、前年の22%からほぼ倍増となる大きな伸びです。
41%という数字は、まだ過半数には届いていませんが、1年でこれだけ企業心理が変化したことは注目に値します。事業環境を慎重に見極めながらも、「中国市場はまだ伸びしろがある」と判断する企業が増えている姿が浮かび上がります。
それでも残る3つの懸念要因
一方で、調査は明るい側面だけを示しているわけではありません。上海アメリカ商工会議所によると、次のような懸念は引き続き企業の大きな課題として残っています。
- 経済の不透明感
成長のテンポや需要の先行きが読みにくい状況は、投資や採用など中長期の判断を慎重にさせます。 - 地政学的な緊張
国際情勢の変化や各国の政策対応が、サプライチェーンや市場アクセスに影響する可能性が意識されています。 - 関税の負担
関税や貿易摩擦の行方は、輸出入やコスト構造に直接響くテーマとして、依然企業の頭を悩ませています。
こうした外部要因は、企業自身ではコントロールしにくいだけに、リスクとして強く意識されやすい側面があります。それでもなお、前向きな回答が増えているという点に、この報告書の特徴があります。
「改善」と「リスク」をどう読み解くか
今回の結果は、中国ビジネスをめぐる空気が「楽観一色」に変わったことを意味するわけではありません。むしろ、企業はリスクを認識しつつも、現地の制度整備や市場機会を冷静に評価し直しているとも読めます。
ポイントは、「ビジネス環境は改善している部分がある」と感じる企業が増える一方で、「不確実性への警戒感」は依然として強いという二面性です。この両方を同時に見ていく視点が、今後の戦略を考えるうえで重要になってきます。
日本のビジネスパーソンへの示唆
今回の調査対象は米国企業ですが、グローバルに中国市場を見ている日本のビジネスパーソンにとっても、参考になる示唆があります。
- ポジティブな変化とリスクを並行して見る
「改善か悪化か」といった二択ではなく、どの領域が改善し、どこにリスクが残っているのかを分けて考える視点が重要です。 - 短期ニュースより中期トレンドに注目
一年で企業心理が大きく動いたことからもわかるように、単発のニュースではなく、数年単位の傾向を追うことが求められます。 - 政策・規制のアップデートを継続的にフォロー
企業の認識は、政策や規制の変化に敏感に反応します。現地の制度面の動きを、継続的にチェックする体制づくりが鍵になります。
2025年も年末に近づき、各社が2026年以降の戦略を検討していく時期に入っています。上海アメリカ商工会議所の今回の調査結果は、中国ビジネスを「機会」と「リスク」の両面からどのように捉え直すかを考えるうえで、ひとつの重要な材料になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








