CIFTIS 2025、サービス貿易で中国の高品質成長をけん引
中国・北京で開催中の2025年中国国際サービス貿易交易会(CIFTIS)で、サービス貿易と人工知能(AI)が中国経済の高品質な発展を支える新たなエンジンとして改めて浮き彫りになっています。本記事では、国際機関や専門家の発言をもとに、その背景と今後の焦点を整理します。
北京で開かれるCIFTIS 2025、何が議論されているのか
サービス貿易に特化した国際見本市であるCIFTISは、政府関係者や産業界のリーダー、海外の専門家が集まり、サービス貿易の今後について議論するハイレベルなフォーラムを特徴としています。今回の会期も、水曜日に開幕し日曜日までの日程で、各分野のセッションや展示が行われています。
サービス業の成長余地と「第2の成長エンジン」
国際通貨基金(IMF)中国常駐代表のマーシャル・ミルズ氏は、フォーラムで「サービスは中国にとって大きな成長機会だ」と指摘しました。現在、中国ではサービス産業の規模が、同程度の経済規模を持つ国々と比べてまだ小さいとされており、伸びしろが大きいと見られています。
ミルズ氏によると、中国のサービス部門では全要素生産性(生産性を総合的に示す指標)の伸びが加速しており、とくに金融サービスや商業分野で顕著です。これは、中国経済の成長を支えるうえで、サービスがますます重要な役割を果たしていることを意味します。
中国対外経済貿易大学の世界貿易機関研究院院長、屠新泉(Tu Xinquan)氏も、中国のサービス部門はすでに国内総生産(GDP)の5割超を占めているものの、先進国で一般的な7~8割にはまだ達していないと説明します。そのうえで「サービス産業が拡大すれば、サービス貿易の拡大は自然な流れだ」と述べました。
屠氏は、サービス産業の成長とサービス貿易の拡大は相互に促し合う関係にあると指摘します。貿易はサービス産業の発展を後押しし、産業の拡大は貿易需要を生み出します。その結果、国内のサービス供給が厚みを増し、消費の活性化につながるといいます。中国では、この消費の拡大が今後の成長のカギと位置づけられています。
1兆ドル突破、サービス貿易は「質の高い発展」段階へ
こうした産業構造の変化を背景に、中国のサービス貿易は近年急速に拡大しています。中国商務省が木曜日に公表した報告書によると、2024年のサービス貿易総額は初めて1兆ドルを突破し、世界第2位の規模となりました。
中国の盛秋平・商務部副部長は「中国のサービス貿易は質の高い発展の段階に入った」と述べ、2012年以降、サービス貿易が年平均6.7%の成長を維持していると紹介しました。これは、同期間の貨物貿易の約1.7倍のペースにあたります。持続的な対外開放政策が、この成長を支えてきたとされています。
デジタル化が「越境できなかったサービス」を変える
サービス貿易の拡大を加速している要因として、各スピーカーが強調したのがデジタル化です。国務院発展研究センターの龍国強(Long Guoqiang)副主任は、デジタル技術によって、これまで国境を越えて提供することが難しかった多くのサービスが、オンラインを通じて取引可能になっていると指摘しました。
例えば、教育、医療、コンサルティング、ソフトウェア開発、クリエイティブ産業などは、デジタル化によって物理的な距離の制約が小さくなり、国境をまたいだ提供がしやすくなっています。龍氏は、こうした変化が、伝統的なサービス産業と新興分野の双方でサービス貿易の発展を加速していると分析します。
AIが切り開く新たなサービス貿易のフロンティア
なかでも、急速に進化するAIは、サービス貿易に新しい章を開く存在として注目されています。龍氏は、AI分野で中国が競争力を有しているとし、この優位性が今後のサービス貿易拡大に生かされるとの見方を示しました。
CIFTISの会場では、教育、観光、医療、スポーツなど複数の分野でAIを活用したソリューションが披露されています。中国製の人型ロボットが、会場で配膳を行ったり、コーヒーを淹れたり、サッカーをしたり、ボクシングに挑戦したりする姿も紹介され、サービス提供のあり方を大きく変えうる技術として来場者の関心を集めています。
中小企業と知識集約型サービスに広がるチャンス
AIの発展は、大企業だけでなく中小企業にも新たな機会をもたらしています。盛副部長は、中国で急速に発展するAI関連産業が、中小企業の国際競争への参加を後押ししていると説明しました。高度な分析や自動化ツールを活用することで、規模の小さな企業でも海外向けのサービス提供に参入しやすくなっているためです。
盛氏によれば、近年、中国のサービス輸出全体に占める知識集約型サービスの割合が急速に高まっています。知識集約型サービスとは、研究開発、情報サービス、金融や専門サービスなど、人材やノウハウへの依存度が高い分野を指します。こうした分野の拡大は、経済の付加価値を高めるうえでも重要とされています。
開放拡大とグローバル経済への波及効果
今後について、盛副部長は、中国がハイレベルな対外開放を一段と進める方針を示しました。とくに、通信や医療の分野で試験的な開放プログラムを進めるほか、教育や文化分野での開放も着実に拡大していくとしています。
同氏は「世界市場への統合をいっそう深め、各国との産業協調を高めることで、サービス貿易における開放と協力を通じて世界経済の繁栄により大きな原動力を提供していきたい」と強調しました。
サービス貿易の拡大、デジタル化・AIの活用、そして一層の開放路線。CIFTIS 2025で示されたこれらの方向性は、中国経済の行方だけでなく、グローバルなビジネスと貿易のあり方を考えるうえでも、今後注視すべきテーマと言えそうです。
Reference(s):
CIFTIS emerges as key engine for China's high-quality development
cgtn.com








