中国が生産要素の市場化改革へ 10地域で2年間のパイロット開始
中国は、生産に必要な土地や労働、資本からデータや計算能力、空域、周波数帯までを対象に、市場を通じた配分の仕組みを見直す2年間のパイロット改革を10地域で始めました。木曜日に開かれた中国国務院新聞弁公室の記者会見で、その計画が公表されています。
何が決まったのか
今回のパイロットは、生産に関わるさまざまな生産要素を、政府による個別の割り当てではなく、市場の仕組みを通じてより効率的に配分することをねらいとしています。国家発展改革委員会の李春臨(Li Chunlin)副主任によると、対象となる生産要素は、従来の土地・労働・資本だけでなく、データや計算能力、空域、電波の周波数帯といった新しい分野にも広がります。
各地域の実施計画には共通の枠組みがある一方で、地域ごとに得意分野や課題が異なることから、それぞれが重点的に取り組む生産要素の分野を選び、地域の実情に合わせた改革を進めるとしています。
対象となる10地域
パイロットの対象として選ばれたのは、首都圏から沿海部、内陸の主要都市までを含む次の10地域です。
- 北京市副都心
- 江蘇省南部の主要都市群
- 杭州・寧波・温州の回廊地域
- 合肥都市圏
- 福州・厦門・泉州の都市クラスター
- 鄭州
- 長沙・株洲・湘潭地域
- 広東・香港・マカオ大湾区の中国本土側9都市
- 重慶
- 成都
沿海部の都市圏と内陸の主要都市がバランスよく含まれており、さまざまなタイプの地域で改革を試行する狙いがうかがえます。
生産要素改革のねらい
李副主任は、このパイロットが次のような課題に対応することを目指していると述べています。
- 技術の商業化の促進
- 土地利用の効率化
- 人材の流動性の向上
- データの利活用の強化
- 実体経済を支えるための資本供給の仕組みづくり
- 環境・資源分野における市場メカニズムの整備
伝統的な「もの」「人」「お金」に加え、デジタル時代の鍵となるデータや計算能力、環境・資源といった要素も含めて一体的に捉え直すことで、経済全体の生産性を高めようとするアプローチだと言えます。
雇用・サービスと人材政策
人力資源・社会保障省の尹東来(Yun Donglai)氏によると、パイロット地域では次のような取り組みに力を入れる方針です。
- より質の高い雇用の創出
- サービス供給の拡大
- 労働市場の環境改善
- 職業スキルの強化を通じた人材ポテンシャルの引き出し
労働市場の条件整備とスキル向上を同時に進めることで、労働力の潜在力を引き出し、生産要素としての人の価値を高めようとする姿勢が読み取れます。
金融・データインフラの整備
資本の流れと金融リスク管理
中国人民銀行調査局の王信(Wang Xin)局長は、資本の流れを円滑にしつつリスクを管理するため、金融分野で次のような取り組みを進めると説明しました。
- 各種標準の整備
- 金融統計の改善
- 情報開示の充実
これにより、地域ごとの金融改革を支えながら、資本移動に伴うリスクを可視化し、管理しやすくする狙いがあります。
公共データの価値を引き出す
国家データ局の余穎(Yu Ying)副局長は、データを新たな生産要素として活用するため、次のような方針を示しました。
- 公共データの価値の掘り起こしを優先する
- データ活用の具体的な場面での協調的なイノベーションを促す
- データの安全で秩序だった流通メカニズムを整備する
公共部門が持つデータを、プライバシーや安全に配慮しながら活用できる仕組みを整え、企業や研究機関などによる新しいサービスやビジネスの創出につなげていくことが期待されています。
今後2年間で何が試されるのか
今回のパイロットには2年間という期限が設けられており、その間に各地域で異なるアプローチが試されます。土地や人材、資本だけでなく、データや空域、周波数帯といった要素を同時に扱う制度設計は、デジタル化や環境・資源の制約を意識した経済運営を模索している姿勢をうかがわせます。
生産要素の配分ルールは、企業の投資判断や人々の働き方、データの扱い方に直結するテーマです。今回のパイロットでどのような制度や仕組みが形になっていくのかは、今後の中国経済を理解するうえで一つの重要な材料となりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








