米FRBが0.25%利下げ 約1年ぶりの政策転換とその狙い
米FRBが25ベーシスポイント利下げ 政策金利は4.00〜4.25%に
アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は現地時間水曜日、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25%(25ベーシスポイント)引き下げ、4.00〜4.25%とすることを決めました。利下げは2024年12月以来、約1年ぶりです。
景気の減速感が強まる一方で、インフレはなおやや高止まりしているという難しい環境のなかで、FRBがどのようなメッセージを発したのかが今回の国際ニュースの焦点となっています。
なぜ今、利下げなのか──景気は減速、インフレはなお高め
FRBの金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)は、声明の中で、2025年上半期のアメリカ経済を次のように評価しました。
- 経済活動の成長は上半期にかけて減速した
- 雇用の増加ペースは鈍化した
- 失業率はやや上昇したものの、依然として低い水準にとどまっている
- インフレ率は上昇しており、幾分高止まりした状態が続いている
こうした中で、FOMCはリスクのバランスが変化したと判断し、景気を下支えするために0.25%の利下げに踏み切ったと説明しています。
FOMCの決定内容と今後のスタンス
FOMCは、今回の決定について「委員会の目標を支えるため、そしてリスクのバランスの変化を踏まえ、フェデラルファンド金利の目標レンジを0.25ポイント引き下げ、4.00〜4.25%とする」としました。
また今後の金融政策運営について、次のような基本姿勢を示しています。
- 追加の金利調整を検討する際には、
- 新たな経済データ
- 経済見通しの変化
- リスクのバランス
- を慎重に評価していく
FOMCは改めて、「最大限の雇用」と「インフレ率2%」という2つの目標を追求し続ける姿勢を確認しました。今回の利下げは、インフレとの戦いをやめたというよりも、景気の減速と物価の高止まりという両方のリスクを見ながら、バランスを取り直した動きと受け止められます。
賛成11・反対1 ミラン理事は0.5%利下げを主張
今回の会合には、リサ・クック理事とスティーブン・ミラン理事を含むFOMCメンバー12人全員が出席しました。決定は11人が0.25%利下げに賛成し、1人が反対するという結果でした。
反対票を投じたのはミラン理事で、彼は0.25%ではなく0.5%の利下げを主張しました。景気の減速リスクをより重く見て、より積極的な下支え策を求めた形です。一方で、過半のメンバーはインフレの高止まりも意識し、より小幅の0.25%にとどめる判断を支持しました。
クック理事をめぐる訴訟とミラン理事就任 政治の緊張も背景に
今回のFOMC会合の直前には、FRB人事をめぐる動きも相次ぎました。
- 会合開始前の月曜日、アメリカの連邦控訴裁判所が、ドナルド・トランプ大統領によるリサ・クック理事の解任を求める訴えを退けた
- 同じ月曜日、上院はトランプ大統領に近い経済顧問の一人であるスティーブン・ミラン氏を、連邦準備制度理事会の理事として僅差で承認
- ミラン氏は火曜日に就任宣誓を行い、8月初めに辞任したアドリアナ・クーグラー氏の残り任期(2026年1月31日まで)を務める見通し
こうした流れのなかで初めて参加したFOMC会合で、ミラン理事はより大きな利下げを主張し、反対票を投じました。FRBは独立性を重視する機関ですが、大統領や議会との関係、人事をめぐる政治的な緊張が、金融政策の議論に影を落とす場面もあります。
FRBの新たな経済見通し:成長率は小幅上方修正
今回の会合では、政策決定とあわせてアメリカ経済の最新見通しも公表されました。実質GDP(国内総生産)の成長率見通しは次のとおりです。
- 2025年:1.6%
- 2026年:1.8%
- 2027年:1.9%
- 2028年:1.8%
いずれも、6月時点の見通し(2025〜2027年がそれぞれ1.4%、1.6%、1.8%)よりわずかに上方修正されています。高金利の影響で景気は減速しつつも、急激な落ち込みではなく、緩やかな成長を維持できるというシナリオをFOMCが想定していることがうかがえます。
失業率は4%台半ばで安定を見込む
労働市場についての見通しは次のように示されています。
- 2025年:失業率4.5%
- 2026年:4.4%
- 2027年:4.3%
今後数年にわたり、失業率は4%台半ばで推移し、徐々に低下していくと見込んでいることになります。FRBは、雇用の「過熱」でも「急冷」でもない、比較的安定した状態を目指しているとみられます。
日本と世界の投資家にとっての意味
米FRBの利下げは、日本を含む世界の金融市場に大きな影響を与えます。アメリカの金利動向は、為替相場、株式市場、債券市場など、さまざまな資産価格の前提になるからです。
今回の0.25%利下げは、
- 高金利環境からの段階的な「出口」に向かい始めたシグナル
- 一方で、インフレがなお高めで、急激な利下げには踏み切れないという慎重姿勢の表れ
という二つのメッセージを同時に含んでいます。
今後、投資家や企業が注目すべきポイントは次の通りです。
- 今後のFOMC会合で、利下げが継続するのか、それとも一時停止するのか
- 雇用統計や物価指標など、インフレと景気のバランスを示すデータの動き
- クック理事やミラン理事を含むFRB高官の発言が示す政策スタンス
アメリカの金融政策は、日本の金利や為替、さらには企業の資金調達コストにも間接的に影響します。短いニュースとして押さえるだけでなく、どのような前提に基づいて今回の判断がなされたのかを理解しておくことが、これからの投資判断やビジネス戦略を考えるうえで重要になってきます。
Reference(s):
cgtn.com








