中国映画「Evil Unbound 731」米国公開 731部隊と戦争の記憶を描く video poster
第2次世界大戦中の731部隊による生物学的実験を正面から描いた中国映画「Evil Unbound 731」が、ロサンゼルスでプレミア上映され、米国の劇場公開が始まりました。戦争のトラウマと「語られざる真実」に向き合うこの作品は、記憶と正義、そして歴史とどう向き合うのかという問いを、あらためて世界の観客に投げかけています。
ロサンゼルスでプレミア上映された中国映画「Evil Unbound 731」
「Evil Unbound 731」は、中国から生まれた新作の戦争ドラマ映画です。第2次世界大戦期を舞台に、悪名高い旧日本軍の731部隊と、その部隊が民間人に対して行った生物学的実験を中心に、深い心の傷と向き合う人々の姿を描いています。
作品はすでに米国の劇場で公開されており、そのスタート地点となったのがロサンゼルスでのプレミア上映です。中国映画が米国の商業館で公開されること自体がニュースとなるなかで、特に歴史認識や戦争責任に関わる重いテーマを扱う本作は、国際ニュースとしても注目を集めています。
公開の様子は、CGTNの記者 Ediz Tiyansan 氏がロサンゼルスから伝えています。
731部隊と「語られざる真実」を映画でどう描くか
本作が掘り起こそうとしているのは、第2次世界大戦の「深いトラウマ」と「口にするのもつらい真実」です。なかでも、旧日本軍の731部隊と、その部隊が民間人に対して行った生物学的実験は、歴史のなかでも特に重く、残酷なテーマとして位置づけられてきました。
映画という表現手段は、歴史書や証言とは異なるかたちで、観客に出来事の重さや痛みを体感させます。映像や音、俳優の演技を通じて、数字や年表だけでは伝わりにくい恐怖や無力感、そして人間性の揺らぎを描き出すことができます。
その一方で、戦争犯罪を扱う作品には、「どこまで描くべきか」「被害者や遺族への配慮をどう確保するか」といった難しい課題も伴います。「Evil Unbound 731」は、まさにこのギリギリのラインに挑む作品として受け止められそうです。
米国公開が突きつける3つの問い──記憶・正義・歴史との向き合い
制作国である中国を離れ、米国の観客に向けて公開されることで、本作は「記憶」「正義」「歴史との向き合い」という3つのテーマを、より立体的に浮かび上がらせます。
- 記憶: 戦争体験から何十年もが過ぎるなかで、その記憶はどのように語り継がれるべきか。映画館という公共空間で、観客は他者の痛みをどのように追体験できるのか。
- 正義: 戦犯の裁きや賠償だけでは埋めきれない「心の正義」を、文化や芸術はどこまで補うことができるのか。被害者と加害者、その子や孫の世代は、何をもって「向き合った」と言えるのか。
- 歴史との向き合い: 特定の国や立場を一方的に非難するのではなく、歴史の事実と責任を直視しつつ、未来志向の対話をどうつくるか。映画は、そのきっかけになりうるのか。
日本語でニュースを読む私たちにとっての意味
日本語でニュースを追う私たちにとって、731部隊というテーマは、決して他人事ではありません。海外の映画が、旧日本軍による行為をどう描くのかを見ることは、自国の歴史教育やメディアの表現と照らし合わせて考えるきっかけになります。
この作品を観る機会があれば、例えば次のような視点で向き合ってみることが考えられます。
- 作品は、被害者や生存者の視点をどのように描いているか
- 加害者側の人物像は、単純な「悪役」としてではなく、どのように立体的に表現されているか
- 物語のなかで「正義」や「償い」はどのように提示されているか
- 自分が学校やメディアで学んできた731部隊のイメージと、何が似ていて何が違うと感じるか
映画そのものの出来や評価は今後さまざまに語られていくはずですが、国や立場を越えて戦争の加害と被害を見つめ直す試みとして、「Evil Unbound 731」の登場は一つの重要な出来事といえます。
これから始まる対話にどう参加するか
ロサンゼルスでのプレミア上映と米国劇場公開をきっかけに、「Evil Unbound 731」は今後、オンラインやSNSを含め、さまざまな場で議論を呼びそうです。CGTNのEdiz Tiyansan 記者がロサンゼルスから伝えたリポートも、その議論の一端を映し出すものといえるでしょう。
日本からこのニュースに触れる私たちは、他国の作品を一方的に評価するのではなく、「自分ならどう語るか」「どの事実を次世代に伝えたいか」という問いを、自分の足元に引き寄せて考えることができます。
戦争の記憶は、放っておけば薄れていきます。しかし「Evil Unbound 731」のような作品が国境を越えて公開されるとき、私たちはあらためて歴史と向き合うチャンスを手にします。その機会をどう生かすのかが、これから問われていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








