インドネシアとEUが包括的経済連携協定CEPAに署名 9年越しの合意
インドネシアと欧州連合(EU)が、9年にわたる交渉の末に包括的経済連携協定(CEPA)に署名しました。貿易自由化と重要鉱物の安定供給を柱とする今回の合意は、インド太平洋と欧州を結ぶ経済関係を一段と深める動きとして注目されています。
バリで正式署名、2016年からの「9年の旅路」
今週、インドネシアとEUはバリで包括的経済連携協定(CEPA)に正式に署名しました。交渉は2016年にブリュッセルで始まり、今回の合意に至るまで9年を要しました。
インドネシアの経済担当調整大臣エアランガ・ハルタルト氏は、EUの貿易・経済安全保障担当欧州委員マロシュ・シェフチョビチ氏との共同声明で、交渉の経緯を次のように振り返りました。
「2016年のブリュッセルでの第1回交渉から、今日のバリに至るまで、この9年の旅路は、CEPAを通じて開かれた、公正で持続可能な経済への共同コミットメントを反映する歴史的な節目となりました」と述べています。
モノ・サービス・投資を網羅 関税の約98%で優遇
今回のインドネシア・EU経済連携協定は、モノの貿易だけでなく、サービス、投資も含む幅広い内容となっています。協定のもとでは、およそ98%の関税品目が優遇措置の対象となる見通しです。
インドネシア側では、次のような主要輸出品目が恩恵を受けると期待されています。
- パーム油
- 繊維製品
- 履物
- 加工農産品
さらに、エレクトロニクスやハイテク製品、デジタル取引など、新たなビジネス機会が広がるとされています。モノの輸出だけでなく、デジタルサービスや高付加価値産業をめぐる協力も進む可能性があります。
「重要鉱物」とサプライチェーン多様化への期待
EU側は、今回の経済連携協定を通じて、インドネシアへの投資拡大とサプライチェーン(供給網)の多様化を図りたい考えです。シェフチョビチ欧州委員は、インドネシアが豊富に有している重要鉱物、とりわけクリティカル・ミネラルに注目していると述べました。
欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長も、別の声明で、今回の合意によって、特にニッケルやコバルトといった重要鉱物について、安定的で予見可能な供給の確保に役立つと強調しています。
ニッケルやコバルトは、電池や電子機器などさまざまな製品に使われる素材であり、その確保は各国にとって戦略的な課題となっています。インドネシアとEUの連携強化は、世界全体の資源調達や生産ネットワークにも影響を与える可能性があります。
2024年の貿易額301億ドル 「5年で倍増」見込み
インドネシア政府によると、インドネシアとEUの2024年の貿易額は301億ドルでした。協定発効後の最初の5年間で、この貿易額がほぼ2倍に増えると見込まれています。
今回の経済連携協定は、東南アジアの国としてはシンガポール、ベトナムに続き、インドネシアが3番目の締結例となります。協定は2027年初頭の発効が見込まれており、今後は各当事者による手続きが進められることになります。
日本の読者にとってのポイント
今回のインドネシア・EU経済連携協定は、日本にとっても無関係ではありません。インド太平洋と欧州をつなぐ新たな経済ルートが整備されることで、グローバルな競争環境やサプライチェーンの構図が変化する可能性があるからです。
特に注目したいポイントは次の3つです。
- 資源調達の新たな枠組み:ニッケルやコバルトなど、重要鉱物の長期安定供給をめぐるルール作りが進むことで、世界市場全体の価格や調達戦略にも影響が及ぶ可能性があります。
- デジタル・サービス分野のルール形成:デジタル取引を含む協定は、データ流通やオンラインサービスの扱いをめぐる国際ルールづくりにも関わってきます。
- 東南アジアの存在感の高まり:シンガポール、ベトナムに続きインドネシアがEUとの経済連携を結んだことで、東南アジアと欧州を結ぶ経済ネットワークが一層緊密になりつつあります。
アジアと欧州の関係が多層的になることで、日本企業や日本の政策決定にも間接的な影響が出てくる可能性があります。どのようなルールや基準が今後具体化していくのか、継続的に注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
Indonesia, EU sign economic partnership deal after 9 years of talks
cgtn.com








