「どの株を買えばいい?」AIチャットボット投資が広げるロボアドバイザー市場
2025年12月現在、チャットボットに「どの株を買えばいい?」と問いかける個人投資家が世界で増えています。AIを使ったロボアドバイザー市場は急成長する一方で、そのリスクにも注目が集まっています。
チャットボットに株を聞く個人投資家が増加
少なくとも個人投資家の10人に1人が、株式の銘柄選びにチャットボットを使っているとされ、AI投資はすでに一部の先進的な投資家だけのものではなくなっています。
人工知能(AI)の進歩により、誰でもチャットボットを通じて銘柄を探し、ポートフォリオ(資産の組み合わせ)をモニタリングし、かつては大手銀行や機関投資家だけが利用していた高度な投資分析にアクセスできるようになりました。
ロボアドバイザー市場、2029年に約4,700億ドル規模へ
ロボアドバイザリー市場とは、フィンテック企業や銀行、資産運用会社などが提供する、自動化されたアルゴリズム駆動型の投資助言サービス全般を指します。チャットボットによる株式アドバイスも、この領域の一部です。
データ分析会社Research and Marketsによると、このロボアドバイザリー市場の収益は、昨年(2024年)の617.5億ドルから、2029年には470.91億ドルに達する見通しで、およそ600%の増加が見込まれています。AIを活用した投資サービスは、今後数年で一大ビジネス分野になると予測されています。
元UBSアナリストもチャットボット投資にシフト
こうした潮流は、プロの世界にも及んでいます。スイスの金融大手UBSで約20年間、企業分析を担当してきたジェレミー・リョン氏は、今年スイスの銀行での職を失ってから、株や債券などを組み合わせたマルチアセット(複数資産)ポートフォリオの運用にチャットボットを活用しています。
リョン氏は「今はBloomberg端末や、あの種の市場データサービスを利用するぜいたくはありません。どれも非常に高価だからです」と語ります。高額な専門ツールに頼らずとも、AIチャットボットを使えば市場分析に必要な情報をある程度までカバーできる、というわけです。
半数が「AI利用に前向き」、すでに13%が活用
個人投資家の意識も変化しています。オンライン証券会社eToroが世界の個人投資家1万1000人を対象に行った調査によると、およそ半数が「AIツールを使って、自分のポートフォリオの銘柄を選んだり入れ替えたりしてもよい」と回答しました。
さらに、そのうち13%はすでにAIツールを利用しているとされ、チャットボットやAIプラットフォームが投資の現場に広く入り込みつつあることがうかがえます。ユーザー数3,000万人規模とされる同社の利用者層を背景にした調査結果だけに、AI投資への関心の高さを示すものと言えます。
AIモデルの「過信」が最大のリスク
一方で、AIチャットボットへの期待が高まるほど、その使い方を誤るリスクも指摘されています。eToroの英国マネージングディレクター、ダン・モチュルスキ氏は「AIモデルは極めて優秀になり得るが、汎用的なモデルを市場の『水晶玉』のように扱うと危険だ」と警鐘を鳴らします。
モチュルスキ氏によれば、株式市場の分析に特化して学習させたプラットフォームを使う方が望ましく、汎用のAIモデルは数字や日付を誤って引用したり、あらかじめ存在するストーリーに引きずられ過ぎたり、過去の価格推移に過度に依存して将来を予測しようとする傾向があるといいます。
こうした性質を理解せずに、チャットボットの答えをそのまま鵜呑みにしてしまうと、想定外のリスクを抱え込むことになりかねません。
チャットボット投資と付き合う3つのポイント
それでも、AIチャットボットは個人投資家にとって強力な道具になり得ます。重要なのは「任せきり」にせず、どう付き合うかです。ポイントを3つに整理します。
- 前提条件を自分で確認する:チャットボットに投げた質問の条件(投資期間、リスク許容度、通貨など)を明確にし、出てきた回答がその前提に合っているかを必ずチェックする。
- 情報源を複数持つ:AIの回答だけに依存せず、証券会社のレポートや企業の決算資料、人間のアドバイザーなど、別の情報源と突き合わせて検証する。
- 最終判断は自分で下す:AIはあくまで分析を手助けするツールであり、最終的な投資判断と損益の責任は自分にある、という意識を持つ。
人間のアドバイザーは、複雑なライフプランや税務、家族構成、投資家の心理状態など、数値化しにくい要素を踏まえた助言ができる点で、依然として重要な役割を担っています。2025年時点では、AIチャットボットと人間の専門家、それぞれの強みをどう組み合わせるかが、個人投資家にとっての新しい課題になりつつあります。
本記事は、AI投資やロボアドバイザーの現状を紹介するものであり、特定の銘柄やサービスの利用を推奨するものではありません。
Reference(s):
'Chatbot, what stocks should I buy?' AI fuels boom in advisory bots
cgtn.com








