国連で初の持続可能なグローバル経済サミット 資金と制度改革が焦点
リード:ニューヨークの国連本部で、持続可能で包摂的かつレジリエントな世界経済を目指す初の隔年サミットが開かれ、SDGs(持続可能な開発目標)の資金確保と国際金融システム改革が議論されました。
国連本部で初の「持続可能な世界経済」サミット
ニューヨークの国連本部で開かれた「Biennial Summit for a Sustainable, Inclusive and Resilient Global Economy(持続可能で包摂的かつレジリエントなグローバル経済に関する隔年サミット)」には、各国の代表や国際機関の幹部が参加しました。主要なテーマは、SDGs達成に必要な資金をどう確保するか、そして国際金融システムをどう改革するかという点です。
参加者からは、グローバルな資金調達の枠組みを見直し、多国間主義を実践するとともに、開発途上国の声を国際金融の場でより強く反映させるべきだという声が相次ぎました。
国連事務総長「国際金融アーキテクチャの改革が不可欠」
開会あいさつで国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、気候変動や格差、紛争など世界が直面する複合的な危機に対応するには、現在の国際金融アーキテクチャ(制度やルールの枠組み)そのものを改革する必要があると強調しました。
SDGs資金ギャップは4兆ドル超 第80回国連総会議長の危機感
第80回国連総会議長のアナレーナ・ベーアボック氏は、SDGsを達成するための資金ギャップが4兆ドルを上回る規模に達していると指摘しました。そのうえで、国連は国際金融改革に関して明確な提言をまとめており、その中には開発途上国に国際金融機関でより大きな発言権と代表権を与えることが含まれると述べました。
資金不足とガバナンスの偏りを同時に是正しなければ、SDGs達成は難しいという認識が共有されつつあることがうかがえます。
貿易摩擦で揺らぐ多国間主義への信頼
国連経済社会理事会(ECOSOC)のロク・バハドゥル・タパ議長は、このサミットの狙いは、国連と国際金融機関との制度的なつながりを強めることにあると説明しました。
同氏はまた、世界的な貿易紛争が多国間貿易体制への信頼をむしばんでいると警鐘を鳴らしました。各国が自国優先の政策を強める中で、国際的なルールに基づく協力の枠組みをどう立て直すかが、大きな課題になっていると言えます。
IMF専務理事「2030年までに公的債務はGDPの約100%に」
国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエワ専務理事は、世界の経済システムが大きな再編の途上にあるとの認識を示しました。そのうえで、2030年までに世界全体の公的債務が国内総生産(GDP)比でほぼ100%に近づき、多くの国が財政の余地を失うと予測しています。
こうした状況を踏まえ、同氏は、民間セクターの投資力を引き出すための構造改革が必要だと指摘しました。公的資金だけではSDGsや気候変動対策に必要な資金を賄いきれないため、民間資本をどう呼び込むかがカギになります。
ラマポーザ大統領「ルールはすべての加盟国で決めるべき」
南アフリカのマタメラ・シリル・ラマポーザ大統領は、アフリカ連合(AU)やG20、国際金融機関などの間で、より積極的な連携と調整を行うよう呼びかけました。
同氏は、世界のルールは一部の国だけでなく、すべての加盟国が共に策定すべきだと述べ、「誰一人取り残さない、どの国も取り残さない」というコミットメントを実際の行動で示す必要があると訴えました。これは、開発途上国の視点を国際経済ガバナンスに組み込む重要性を浮き彫りにしています。
日本やアジアの読者にとっての意味
今回の国連サミットで議論されたのは、単なる金融テクニカルな話ではありません。SDGsの資金ギャップ、貿易摩擦、債務の増加といったテーマは、世界経済に深く組み込まれている日本やアジアの国々にとっても無関係ではないからです。
- 国際金融機関のルールが変われば、インフラや気候変動対策への資金の流れも変わる可能性があります。
- 多国間貿易体制への信頼が揺らげば、日本企業を含むグローバル企業のビジネス環境にも影響します。
- 公的債務が膨らむ中で、民間資本をどう活用するかは、日本の政策議論とも重なるテーマです。
「誰一人取り残さない」という約束を、世界がどこまで具体的な制度改革と資金の流れに落とし込めるのか。今回のサミットは、その試金石となる取り組みの一つと言えます。今後の国連や国際金融機関の議論の行方を、引き続き注視する必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








