米国の消費者マインドが9月に悪化 インフレと雇用不安が重しに
2025年も年末に差し掛かるなか、米国の消費者マインドは秋口にかけて弱さを見せていました。ミシガン大学の調査によると、2025年9月の米国消費者マインド指数はインフレと雇用不安を背景に低下し、前年同月を大きく下回りました。個人消費の先行きに注意が必要だとの見方が強まりそうです。
消費者マインド指数、8月から低下・前年同月を大きく下回る
ミシガン大学の消費者調査(University of Michigan Surveys of Consumers)が金曜日に公表した2025年9月の「消費者マインド指数(Consumer Sentiment Index)」は55.1となり、8月の58.2から低下しました。2024年9月の70.3も大きく下回っています。
調査では、現状判断と先行き期待を示す2つの指数もそろって悪化しました。
- 現状を示す「現在の景気状況指数」:60.4(8月61.7、2024年9月63.8)
- 先行きを示す「消費者期待指数」:51.7(8月55.9、2024年9月74.5)
いずれの指数も1年前と比べて明確な悪化を示しており、米国の家計が景気をやや悲観的に見始めていることがうかがえます。
44%が「物価高で家計が傷んでいる」と回答
今回の米国消費者調査では、高止まりする物価へのいら立ちが改めて浮き彫りになりました。回答者の44%が、高い物価が自分の家計を侵食していると答えています。これは2024年11月以来もっとも高い水準です。
インフレ(物価上昇)は統計上は落ち着きつつある局面とされる場面でも、日々の買い物や生活費としての「体感物価」が重くのしかかっていることがうかがえます。
関税への関心も依然として高い
調査によると、関税も米国の消費者にとって重要なテーマであり続けています。関税に言及した人は約60%と、5月の65%からはやや低下したものの、1月の28%と比べると依然として大きく増えたままです。
関税は輸入品の価格や企業のコスト構造を通じて、最終的には消費者が支払う価格に影響しうる要因です。多くの人がその存在を意識し、日常の物価と結び付けて考え始めている可能性があります。
「所得よりインフレが上回る」とみる人が約7割に
将来のインフレについての見通しも、やや悲観的な方向に傾いています。今後1年間について、物価上昇率が自分の所得の伸びを上回るとみている人は、ほぼ70%に達しました。
これは2024年9月時点では6割未満だった水準からの悪化であり、多くの人が「名目の賃金が増えても、物価に追いつかないのではないか」と感じていることを示しています。家計が将来の実質所得(物価を差し引いた手取り感)に不安を抱けば、大きな買い物を控える動きにつながりやすくなります。
失業への不安も上昇、個人の「仕事リスク」を意識
物価だけでなく、雇用への不安も強まっています。今後1年で失業率が上昇すると予想する人は65%となり、7月の57%、1年前の35%から大きく増えました。
自分自身が仕事を失う「個人的な失業リスク」の確率についても、9月は3月以来もっとも高い水準まで上昇しました。調査結果は、多くの人がマクロの失業率だけでなく、「自分も影響を受けるかもしれない」と感じていることを示しています。
専門家「今後も旺盛な消費を維持するのは難しい」
ミシガン大学の消費者調査を率いるエコノミスト、ジョアン・スー氏は、複数の設問への回答を踏まえ、「多くの消費者にとって、今後も力強い支出を維持することは難しくなる」との見方を示しました。
物価が家計を圧迫する一方で、雇用や所得の先行きにも不安がある――。こうした状況では、消費者は支出を慎重に見直しやすくなります。住宅や自動車、耐久消費財など、金額の大きな支出が抑えられれば、米国経済全体の勢いにも影響が出る可能性があります。
日本や世界への波及をどう見るか
米国の消費者心理は、金融市場や企業業績、貿易を通じて、日本を含む世界経済にも波及します。特に米国市場への依存度が高い企業や産業にとっては、米国の個人消費のゆくえが重要なチェックポイントです。
今回の調査結果は、ただちに景気後退を意味するものではありませんが、家計が感じる「じわじわとした負担」の重さを示すシグナルといえます。日本の投資家やビジネスパーソン、政策担当者にとっても、公式統計に加えて、こうした消費者心理の指標に目を配ることが、世界経済を読み解くうえでより重要になっていきそうです。
Reference(s):
U.S. consumer sentiment drops in September on inflation, job worries
cgtn.com








