中国の国内旅行と観光消費が過去最高に 2025年上半期の動きを読み解く
中国で国内旅行と観光消費が記録的な伸びを見せています。2025年上半期(1〜6月)の統計から、コロナ後の観光回復と生活スタイルの変化を読み解きます。
2025年上半期、国内旅行は約32億9,000回に
中国のスン・イェリ文化・観光相(Sun Yeli)によると、2025年上半期に中国国内で行われた旅行は延べ約32億9,000万回に達し、過去最高を更新しました。これは、中国国内の観光需要が力強く戻ってきていることを示しています。
観光消費は3.15兆元、1回あたり約1,000元前後
同じ期間の観光関連支出は合計3.15兆元(約4,430億ドル)に上りました。単純計算すると、1回の旅行あたりの支出はおよそ1,000元前後となり、国内旅行が「日常のぜいたく」として定着しつつある様子もうかがえます。
スン氏は会見で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による打撃を経て、中国の観光産業は「力強い回復」を遂げていると強調しました。2025年12月現在、この回復基調は中国経済全体の安定にもつながる重要な要素となっています。
第14次五カ年計画で進む観光地の質向上
中国のワン・ジエンフア文化・観光次官(Wang Jianhua)は、第14次五カ年計画(2021〜2025年)の期間中、観光客向けの「質の高い観光商品」の整備を進めてきたと説明しました。
この期間に、新たに2,600か所のA級景区(品質ランクの高い観光地)が追加され、A級景区の総数は1万6,500か所に達しました。現在、中国の県級地域の97%がA級景区を少なくとも1か所は持っていることになり、地方部まで観光資源の整備が広がっていることが分かります。
高齢者向け「観光列車」が急成長
観光需要の「多様化・パーソナライズ化」も進んでいます。その一例として、王次官は高齢者にやさしい観光列車サービスの急速な発展を挙げました。
2025年1〜8月の間に、中国では高齢者向け観光列車が計1,551本運行され、93万人が利用しました。そのうち約8割が高齢者だったとされています。移動や宿泊に不安を抱えやすい世代に合わせた商品が、具体的な数字として成果を上げ始めていると言えます。
日本の読者が押さえたい3つの視点
今回の統計は、日本から中国を見るうえでもいくつかの示唆を与えてくれます。ポイントを3つに整理します。
- 内需とサービス消費の重視:国内旅行や観光消費の拡大は、輸出だけに頼らない成長モデルを支える柱になりつつあります。
- 地方・中小都市の存在感:県級地域の97%にA級景区が整備されていることは、大都市だけでなく地方部の観光ポテンシャルが高まっていることを示します。
- 高齢社会への対応:高齢者向け観光列車のように、年齢やニーズに合わせたきめ細かいサービスづくりは、日本の観光・交通分野にとっても参考になる動きです。
中国の観光統計は、単なる旅行ブームの話にとどまらず、ポストコロナ時代の経済構造や社会の変化を映し出す鏡でもあります。2025年下半期以降のデータが出そろえば、こうした傾向が一時的なものか、より長期的な流れなのかも見えてくるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








