韓国が中国団体観光客にビザ免除試行 経済効果に期待
韓国は2025年9月29日、中国の団体旅行客を対象にビザなしで入国できる試行制度を開始しました。3人以上のグループなら最長15日間滞在でき、この「ビザ免除プログラム」は2026年6月30日まで続く予定です。
中国からの観光客はこれまでも韓国観光を支える存在でした。今回の国際ニュースは、観光と経済をどう結びつけていくのかという点で、アジア全体にとっても示唆的です。
試行ビザ免除の中身:グループで最大15日滞在
今回の政策では、中国からの旅行者が次の条件を満たす場合、韓国への入国がビザなしで認められます。
- 対象は中国からの「3人以上」の団体旅行客
- ビザなしで滞在できる期間は「最大15日間」
- 試行期間は2025年9月29日から2026年6月30日まで
一方、済州(チェジュ)特別自治道については、これまでの仕組みが維持されます。中国からの個人旅行客・団体旅行客ともに、ビザなしで最大30日間まで滞在することができます。
中国からの観光客は韓国観光の「柱」
韓国観光公社によると、韓国を訪れた2024年の外国人観光客は合計1637万人でした。このうち中国からの旅行者は460万人で、全体の28.1%を占め、出身国別で最も多いグループとなっています。
数字だけを見ると、韓国のインバウンド需要において、中国からの観光客がどれだけ重要な位置を占めているかがわかります。航空路線、免税店、飲食、エンターテインメントなど、多くの分野が中国からの旅行需要に支えられてきました。
観光とGDP:100万人で0.08ポイント押し上げ
韓国政府は、中国からの団体観光客が100万人増えるごとに、韓国の国内総生産(GDP)が0.08ポイント押し上げられると試算しています。観光がサービス産業だけでなく、物流や小売、地域経済にも波及することを前提とした見立てです。
ビザ免除によって団体ツアーのハードルが下がれば、次のような分野で需要拡大が見込まれます。
- ホテル・ゲストハウスなど宿泊施設
- 飲食店、カフェ、屋台などの外食産業
- 百貨店や免税店、ドラッグストアなどの小売
- 観光地への交通、ガイド、エンターテインメント
こうした消費が積み重なることで、統計上のGDPにも効果が表れる、というのが韓国政府の見方です。
なぜいまビザ免除なのか
韓国が今回のビザ免除プログラムに踏み切った背景には、観光を通じて経済全体の活力を高めたいという狙いがあります。とくに、中国からの団体旅行客は支出額が比較的大きく、短期間で目に見える経済効果が期待しやすい層といえます。
また、アジア各国・地域が観光需要を取り込もうとするなかで、入国手続きの簡素化は競争力の一つになっています。ビザ免除は、安全保障や治安管理とのバランスを取りながら、どこまで観光客を受け入れるかという政策判断でもあります。
日本やアジアへの含意
今回の韓国の動きは、日本を含むアジアの観光立国をめざす国・地域にとっても、いくつかの示唆を与えています。
- どのような条件でビザ免除や緩和を行うのか
- 観光客の増加を、地域社会の負担とどうバランスさせるか
- 観光を短期の景気対策にとどめず、中長期の成長戦略にどう位置づけるか
中国からの観光客は、東アジアの多くの国・地域にとって重要な存在です。韓国のビザ免除プログラムがどのような成果を上げるのかは、今後のアジアの観光政策を考えるうえでも注目されます。
これからの注目ポイント
試行期間中、次のような点が焦点となりそうです。
- 中国からの団体観光客数がどの程度増加するか
- 韓国政府の試算どおり、GDP押し上げ効果が確認できるか
- 試行期間終了後の2026年7月以降、制度が延長・恒久化されるかどうか
観光と経済をめぐる韓国の今回の選択は、単なる入国手続きの変更にとどまらず、アジアの国際ニュースとしても今後の動きが注目されます。
Reference(s):
South Korea starts trial visa-free entry for Chinese group tourists
cgtn.com








