米農業を直撃 政府閉鎖と関税が招く二重の打撃【国際ニュース】
米農業を直撃する政府閉鎖と関税 収穫期に重なった二重の打撃
2025年10月1日に始まった米連邦政府の一部閉鎖は、すでに関税と価格下落に苦しんでいたアメリカ農家に、収穫期の最中に新たな打撃を与えました。本記事では、この政府閉鎖が農業現場にどのような影響を及ぼしているのかを、国際ニュースとして整理します。
連邦政府閉鎖で止まる支払いと融資
今回の政府閉鎖により、連邦職員の多くが一時帰休となり、多数の行政サービスが停止しています。農業政策を担う米農務省(USDA)でも、約8万5,000人の職員のうちほぼ半数が休職となり、業務が大幅に縮小しました。
その結果、本来であれば農家に支払われるはずだった災害補償金や各種支払いの処理が止まり、すでに承認されていた数十億ドル規模の支援金の支給にも遅れが生じています。新たな連邦農業ローン(政府系融資)の申請や審査も停止し、多くの農家が資金繰りの不安に直面しています。
現場から聞こえる危機感
アーカンソー州で羊を飼育する農家のティム・ウェルズさんは、最近の異常気象で被害を受け、今月中に災害支援を申請する予定でした。しかし政府閉鎖の影響で新規申請はすべて保留となり、支援を受けられるめどが立っていません。
ウェルズさんはロイターの取材に対し、農業経済の厳しさを踏まえ「今の農業経営の状態を考えると、誰も待たされる余裕はない。日々の運営だけでも大変だ」と危機感を語りました。
関税と価格下落が続く中での追い打ち
今回の政府閉鎖が重なったのは、近年でも特に厳しい秋の収穫期です。既にアメリカの農家は、以下のような要因にさらされています。
- 貿易摩擦による関税の応酬で、海外の買い手が他の供給国へと切り替えつつある
- トウモロコシの記録的な豊作が見込まれ、作物価格のさらなる下落要因になっている
- 種子や肥料など必需品のコストは上昇を続けている
こうした中で、政府による支払い停止や融資の遅れは、農家のキャッシュフロー(現金の出入り)を直撃します。収穫期は機械の稼働や人件費などで支出が膨らむタイミングであり、支援の遅れは経営そのものの存続に関わりかねません。
ミネソタ州で増える仲裁 見え始めた金融ストレス
CBSのインタビューで、ミネソタ農民組合の会長を務めるゲイリー・ワーティッシュ氏は、政府閉鎖と関税による影響を「農家にとって二重のパンチだ」と表現しました。
同氏によると、ミネソタ州では独自の仲裁制度があり、金融機関が農家の担保を差し押さえる前に、第三者を交えた仲裁を農家に申し出ることが義務づけられています。この仲裁の申請件数が、2025年はまだ3分の2が過ぎた時点で、すでに2023年と2024年の年間件数を上回ったといいます。
仲裁件数の増加は、表面化していない金融ストレスが農村部で急速に高まっているサインとも受け取れます。ワーティッシュ氏の発言は、農家の厳しい資金状況が全国的にも進んでいる可能性を示しています。
日本の読者にとっての意味 食料と経済のつながりを考える
アメリカの農業は、世界の穀物市場を支える存在であり、日本にとっても重要な輸入先です。米国農家の経営悪化が長期化すれば、
- 穀物価格の変動を通じて日本の食料価格に影響する
- サプライチェーンの見直しが進み、輸入先の構成が変わる
- 農業と政治・外交の関係がさらに強まり、国際交渉の焦点が変化する
といった波及効果も考えられます。
政府閉鎖や関税といった政策的な動きが、遠く離れた農村の現場と、私たちの食卓や物価にどのようにつながっているのか。2025年のアメリカ農業が直面する二重の打撃は、国際ニュースとしてだけでなく、グローバル経済と食料安全保障を考える手がかりにもなりそうです。
(ロイターの報道内容などに基づき作成)
Reference(s):
US agriculture takes a double punch from shutdown and tariffs
cgtn.com








