中国の女性教育、この30年で何が変わった?ジェンダー平等の現在地
中国の女性教育、この30年の歩み
中国では、「女性は天の半分を支える」という言葉があります。その「半分の空」を支える力を育てる土台が、女性への教育です。本記事では、1995年の世界女性会議から30年の節目にあわせて、中国の女性教育がどのように変化してきたのかを、最新の白書と政策の流れから整理します。
1995年から30年:北京で再び女性が集う年に
中国は、1995年に北京で開かれた世界女性会議から30年を迎えるタイミングに合わせて、北京で世界の女性が集うサミットを開催する予定です。このグローバルサミットでは、女性の教育機会の拡大やジェンダー平等の推進に向けて、中国がこれまで積み上げてきた成果を紹介し、今後の課題について議論する場となることが想定されています。
白書が示す成果:基礎教育のジェンダーギャップはほぼ解消
最新の白書『新時代における中国女性の全面的発展の成果』は、女性の教育分野での進展を具体的な数字で示しています。ポイントは次の通りです。
- 基礎教育(初等教育)における男女格差は「基本的に解消」されたとされています。
- 小学校就学年齢の女子の就学率は99.9%を超え、多くの女の子が学校に通えるようになりました。
- 高等教育では、女子学生の割合が50.76%に達し、1995年から14ポイント増加しました。
特に高等教育で女性が全体の半数を超えている点は、この30年間で大学や専門学校への門戸が大きく開かれたことを示しています。かつては学びの機会を得にくかった分野にも、女性が進学しやすくなっていると読み取ることができます。
政策の積み重ね:義務教育から生涯学習へ
こうした数字の裏には、長年にわたる教育政策の積み重ねがあります。中国は九年制義務教育の整備や大学進学の拡大を進めてきましたが、近年は「女性にとって平等な教育の権利」をより明確な政策目標として位置づけています。
- 2016〜2020年の第13次五カ年計画では、女性と子どもの平等な教育権の保障が重要な目標の一つとされました。
- 2021年には『中国女性発展綱要』が策定され、就学前から高等教育まで、あらゆる段階で女性の学びを支える方針が打ち出されました。
- 2022年に改正された『女性の権益保障法』では、初めて女性の生涯学習制度が明記され、社会に出た後も学び続けられる仕組みづくりが進められています。
かつては「学校に通えるかどうか」が大きなハードルでしたが、現在は「どのレベルまで学べるか」「社会に出た後も学びを続けられるか」という段階に議論が移りつつあると言えます。
女子教育は「正しい」だけでなく「賢い」投資
女の子の教育への投資は、人権やジェンダー平等の観点から重要であるだけでなく、経済的にも大きなリターンを生み出すと指摘されています。
世界銀行は、すべての女の子に12年間の教育を保障できれば、世界全体の生涯所得は15兆〜30兆ドル増えると試算しています。教育を受けた女性は、労働市場への参加率が高まり、賃金も上昇しやすくなり、家庭の所得を押し上げます。その結果として、消費や投資が拡大し、経済成長を後押しする効果が期待されます。
中国で女性の高等教育への進学が進んできたことは、国内だけでなく、世界経済全体にとってもポジティブなインパクトを持ちうる動きだと考えられます。
これからの焦点:量から質、教育から社会へ
この30年で、女の子が学校に通う「量」の面では大きな前進が見られました。今後の焦点は、次のような問いに移っていきそうです。
- どの地域や家庭の出身であっても、質の高い教育を受けられるか。
- 理工系など、これまで女性が少なかった分野への進学の道がどこまで開かれていくか。
- 教育で得た知識やスキルが、実際の職場や社会参加の場でどのように生かされるか。
「女性は天の半分を支える」という言葉が、単なるスローガンではなく具体的な教育機会として形になってきたのが、この30年の変化だと言えます。中国で進む女性教育の拡大は、他の国と地域がジェンダー平等や人材育成を考えるうえでも、一つの重要なケーススタディとなるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








