トランプ大統領、中国への関税100%とソフト輸出規制を表明
米国のドナルド・トランプ大統領が、中国から米国への輸入品に対する関税を100%に引き上げる方針と、「重要ソフト」に対する包括的な輸出規制を打ち出しました。米中貿易の「休戦」から一転、両国関係と世界経済に新たな緊張が走っています。
関税100%とソフト輸出規制、トランプ氏がSNSで表明
トランプ大統領は金曜日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、中国から米国へ輸出される品目に対し、関税を100%まで引き上げると表明しました。発動時期としては、2025年11月1日から(中国側の追加措置次第ではそれ以前から)実施するとしています。
投稿によると、この100%関税は「現在すでに課されている関税の上乗せ」とされており、対象は中国からの輸入全般を広く含むものと受け止められています。
さらに同じ投稿の中で、トランプ大統領は、いわゆる「重要ソフト」に分類されるあらゆるソフトウェアについて、米国から中国への輸出を規制すると宣言しました。「any and all critical software(あらゆる重要ソフト)」を対象とするという表現からも、その範囲の広さがうかがえます。
米中「貿易休戦」からの再エスカレーション
今回の措置の背景には、この数年続いてきた米中貿易摩擦と、その一時的な「休戦」の流れがあります。
これまでの経緯は次のように整理できます。
- 米中は互いに高関税をかけ合い、米国の対中国関税は最大145%、中国の対米関税は最大125%に達していた。
- その後、両国は90日間の「休戦」に合意し、米国の対中関税は30%、中国の対米関税は10%へと大幅に引き下げられた。
- この休戦は2度延長され、最新の延長合意は2025年8月11日に成立している。
一方で、今回のトランプ大統領の表明は、この休戦状態を事実上覆し、再び関税合戦を激化させかねない動きとみられています。投稿が伝わると、市場は敏感に反応し、世界最大級の経済同士の関係悪化懸念が広がりました。
焦点はAIと半導体 「重要ソフト」とは何か
今回の輸出規制で鍵を握るのが、「重要ソフト」と位置づけられるソフトウェアの範囲です。トランプ大統領の投稿では具体例は示されていませんが、人工知能(AI)や先端半導体に関連するソフトウェアが想定されていると見る向きが多いです。
米国はすでに、中国の先端半導体へのアクセスを制限する方向に動いてきました。最近では、米下院の「対中特別委員会」が、特定の企業だけでなく、中国向けの半導体製造装置全般の輸出をより広く制限するよう、米国および同盟国に求めています。
AIの開発や運用には、高性能な半導体チップと、それを制御するための高度なソフトウェアが欠かせません。チップ製造装置から設計ツール、シミュレーションソフトまでが規制対象になれば、中国だけでなく、世界の半導体サプライチェーン全体に影響が及ぶ可能性があります。
中国側は一貫して「一方的な制限」に反対
北京はこれまでも、米国による一方的な貿易・投資制限に反対してきました。こうした措置は世界貿易を歪め、グローバルな商取引を損なうと主張しています。
今回、トランプ大統領が打ち出した100%関税と広範な輸出規制は、中国側が「前例のない措置」とみなす輸出管理への対抗措置という位置づけです。米国側は「対抗」の姿勢を強調し、中国側は「一方的な圧力」に反発するという構図が続いており、対立が長期化する懸念もあります。
日本と世界経済への影響は
米中の貿易と技術をめぐる対立は、日本を含むアジア・世界経済にも波及します。とくに次のような点が注目されます。
- 関税の引き上げにより、米国市場で中国製品の価格が上昇すれば、サプライチェーン全体でコスト転嫁が進み、最終製品の価格や企業収益に影響する可能性がある。
- 半導体製造装置やAI関連ソフトが広く規制対象になれば、日本や欧州などの関連企業も、輸出の見直しを迫られる可能性がある。
- 市場の不透明感が高まることで、株式・為替市場の変動が大きくなり、投資や設備計画が慎重になるリスクがある。
一方で、企業側が調達先の多様化や、研究開発の協力関係の再構築を進める動きも想定されます。米中の対立が長期化した場合、どの地域・企業が新たな供給拠点や技術パートナーとして浮上するかも、今後の重要な論点です。
これからの注目ポイント
今回の発表をめぐっては、今後、次のような点が焦点となりそうです。
- 2025年11月1日からとされた100%関税や輸出規制が、どのようなスケジュールと手続きで運用されるのか。
- 「重要ソフト」の定義や対象となる具体的な製品・サービスが、どの程度広く設定されるのか。
- 中国側が追加的な対抗措置をとるのか、それとも対話や協議の余地を探るのか。
- 米国の同盟国やパートナーが、半導体製造装置などの輸出制限でどこまで歩調を合わせるのか。
米中という世界最大級の経済が、貿易と技術をめぐってどのようなルールを築いていくのかは、日本を含む多くの国や地域にとって、自国の産業戦略を考えるうえで避けて通れないテーマです。短期的な市場の動きだけでなく、中長期の構造変化にも目を向けておく必要がありそうです。
Reference(s):
Trump turns up heat on China with fresh tariffs, export curbs
cgtn.com







