中国レアアース輸出管理と米国の関税強化をめぐる最新動向
中国の商務部(MOFCOM)は、レアアース(希土類)関連品目への輸出管理措置と、それに対抗する形で米国が打ち出した高関税や追加的な輸出規制・港湾料金について、立場を説明しました。本記事では、その発言内容を日本語で整理し、中国と米国の経済・通商をめぐる最新の動きを追います。
レアアース輸出管理の狙い:「輸出禁止ではない」と強調
商務部によると、今年10月9日に商務部と税関総署が公表したレアアースおよび関連品目への輸出管理措置は、「法律と規則に基づき、輸出管理制度を改善するための正当な行為」と位置づけられています。
世界で軍事衝突が頻発する中で、中・重希土類などのレアアースが軍事分野で重要な用途を持つことを踏まえ、中国は「責任ある大国」として関連品目に輸出管理を適用し、世界平和と地域の安定を守り、拡散防止などの国際的な義務を履行する必要があると説明しました。
同時に、中国側は「輸出管理は輸出禁止ではない」と繰り返し強調しています。条件を満たす申請には許可証(ライセンス)を発給し、措置の公表前には二国間の輸出管理対話メカニズムを通じて、関係する国や地域にはすでに通知したとしています。今後も輸出管理に関する対話と交流を強化し、世界の産業・サプライチェーンの安全と安定を共に守る考えです。
実施段階での影響は「非常に限定的」との見方
実施面について商務部は、中国は常に国家安全と「国際共通の安全」を守る立場に立ち、「慎重かつ適度」に輸出管理措置を運用していると説明しました。事前に産業やサプライチェーンへの影響を綿密に評価しており、「関連の影響は非常に限定的だと確信している」としています。
今後は、中国政府が法令に基づき審査を行い、条件を満たす輸出申請には許可を与えるとともに、一般包括許可や許可免除などの円滑化措置の適用も積極的に検討するとしています。民生用途での適法な輸出申請は承認されるため、「関係企業は心配する必要はない」と中国側は述べています。
中国政府は引き続き各国と協力し、「世界の平和と近隣地域の安定」を守りつつ、グローバルな産業・サプライチェーンの安定維持に努める方針です。
米国の100%関税とソフトウェア輸出規制への反応
一方、米国は10月10日(米東部時間)、中国によるレアアース関連品目の輸出管理への対応として、中国からの輸入品に100%の関税を課すことや、すべての重要ソフトウェアへの輸出規制を導入する方針を発表しました。
これに対して商務部は、「中国の輸出管理は自国の制度を改善するための通常の措置」であり、米国側の発言は典型的な「ダブルスタンダード」だと指摘しています。商務部によれば、米国は長年にわたり国家安全保障の概念を拡大解釈し、半導体製造装置やチップを含むさまざまな製品に対して、一方的な輸出管理やロングアーム管轄(域外適用)を行ってきたと主張しています。
具体的には、米国の輸出管理対象リスト(Commerce Control List, CCL)には3,000品目以上が含まれる一方で、中国の「デュアルユース(軍民両用)品目輸出管理リスト」に含まれるのは約900品目にとどまると比較しました。また、米国の輸出管理で用いられる「デ・ミニミスルール(少額規則)」は閾値(スレッショルド)が0%とされており、中国側はこれらの措置が企業の合法的権益を損ない、国際的な経済貿易秩序を乱し、世界の産業・サプライチェーンの安全と安定を大きく損ねていると批判しています。
さらに、9月のマドリードでの中米経済貿易協議以降の約20日間で、米国は対中制限措置を相次いで打ち出したと指摘します。複数の中国企業をエンティティリスト(輸出規制対象)や特別指定国民リストに加え、数千の中国企業に影響が及ぶ「アフィリエイツ・ルール(関連会社にまで規制を広げるルール)」の適用範囲も拡大しました。さらに、中国の海運・物流・造船業界を対象とした通商法301条に基づく措置も継続しており、中国側は「重大な関心と善意を無視したものだ」として強く反対しています。
高関税をちらつかせるやり方について、中国側は「中国との正しい付き合い方ではない」とし、通商摩擦については「望まないが、恐れてもいない」との立場を改めて示しました。その上で、米国に対し、「首脳間の電話会談で得られた重要な共通認識を守り、中米経済貿易協議メカニズムを活用し、相互尊重と対等な協議に基づいて対話を通じて懸案を処理し、意見の相違を適切に管理するべきだ」と呼びかけています。もし米国が「誤った道」を歩み続けるなら、中国は自国の正当な権益を守るために断固たる措置を取るとしています。
港湾料金をめぐる応酬:海運・造船分野にも拡大
港湾政策をめぐる動きも強まっています。米国通商代表部(USTR)は4月17日、中国の海運・物流・造船分野に関する通商法301条調査の最終措置を発表し、10月14日から関連する中国船舶に港湾料金を課す方針を示しました。
商務部は、この米国の措置について、世界貿易機関(WTO)ルールに深刻に違反し、中米海上輸送協定が掲げる「平等と互恵」の原則にも反する「典型的な一方主義」だと批判しています。中国側はこれまでも強い不満と断固たる反対を表明してきたとしています。
ロンドンでの中米経済貿易協議以降、中国は米国と関連措置について協議と意思疎通を重ね、通商法301条調査報告書に含まれる中国への非難に対する文書での回答を行ったほか、関連産業での二国間協力の可能性についても提案を行ってきたと説明しました。しかし米国側は「消極的な態度」を示し、中国の懸念にもかかわらず、10月3日には中国船舶への料金賦課について具体的な要件を定めた通知を発出し、措置の実施を進めたとしています。
こうした状況を受けて、中国は自国の合法的権益を守るための対抗措置として、「中華人民共和国国際海上運送条例」などに基づき、米国に関連する船舶に特別港湾料金を課すことを決定しました。商務部は、これらの対抗措置を「中国の産業と企業の正当な権益、そして国際海運・造船市場における公平な競争環境を維持するための受動的な防御措置」だと説明し、米国が「自らの誤りを直視し、中国と同じ方向に向かい、対話と協議という正しい軌道に戻る」ことを期待すると述べています。
揺れる通商環境の中で問われる「安定」と「対話」
今回の商務部の説明からは、少なくとも三つのキーワードが浮かび上がります。
- 国家安全と「国際共通の安全」を同時に守るというスタンス
- 世界の産業・サプライチェーンの安全と安定を重視する姿勢
- 対話と協議による問題解決を重んじつつ、必要な対抗措置は辞さないという構え
レアアースの輸出管理、100%関税、ソフトウェア輸出規制、港湾料金――。これらはいずれも、単なる二国間のやり取りにとどまらず、世界のサプライチェーンや海上輸送、市場の予見可能性に影響し得るテーマです。
中国と米国の経済・通商をめぐる関係は、今後も世界経済の行方を左右する重要な要素であり続けます。商務部が強調するような「安定した、健全で、持続可能な」関係に向かうのか、それとも関税や規制がさらにエスカレートしていくのか。読者一人ひとりにとっても、自国や企業のサプライチェーン、そして日々の生活とのつながりを意識しながら、こうした国際ニュースを追っていくことが求められそうです。
Reference(s):
Full text: MOFCOM on China's export controls, other trade policies
cgtn.com








