中国がレアアース輸出管理を正当化 米国に対話を求める理由
中国商務省は2025年10月12日、レアアース(希土類)など関連品目に対する中国の輸出管理措置について「合法的な措置」であり、輸出禁止ではないと強調しました。同時に米国による追加関税や輸出規制を批判し、米中両国が対話と協議を通じて溝を管理すべきだと呼びかけています。
中国が示したレアアース輸出管理のスタンス
商務省の報道官は、中国が「責任ある大国」として、関連法に基づき輸出管理を行っていると説明しました。その目的として、次の点が挙げられています。
- 世界の平和と地域の安定を守ること
- 大量破壊兵器などの拡散を防ぐ国際的な義務を履行すること(不拡散義務)
- 国際的な安全保障上の懸念に対応すること
報道官は、中国の輸出管理は「輸出禁止」ではなく、条件を満たす申請者にはライセンス(許可)を発給すると強調しました。つまり、全面的に止めるのではなく、管理の下で輸出を続けるという立場です。
レアアースはなぜ米中関係の争点になるのか
今回の中国のレアアース輸出管理が注目されるのは、レアアースが現代のハイテク産業に不可欠な資源だからです。レアアースは、次のような用途で使われています。
- 電気自動車(EV)のモーターやバッテリー
- 風力発電機など再生可能エネルギー関連設備
- スマートフォンやパソコンなどの電子機器
- レーダーなど一部の防衛関連装備
特定の国や地域に生産が集中している資源であるだけに、輸出管理や関税が強化されると、サプライチェーン(供給網)の安定性に大きな影響が出る可能性があります。
事前通報と「対話強化」のメッセージ
商務省によると、中国は今回の措置を発表する前に、既存の二国間の輸出管理対話の枠組みを通じて、関係する国や地域に事前に通知していたとしています。また、中国は各国と輸出管理に関する対話や意見交換を強化し、世界の産業・サプライチェーンの安全と安定を共に守りたいと表明しました。
輸出管理は各国が主権の範囲内で行う政策ですが、その影響はグローバルに及びます。そのため、事前の情報共有や対話がどこまで機能するかは、企業や投資家にとっても重要なポイントになります。
米国の100%関税とソフトウェア輸出規制に中国が反発
今回の声明は、米国が中国からの輸入品に対して100%の関税を課し、重要ソフトウェア全般を対象にした輸出管理を導入すると発表したことを受けたものです。商務省の報道官は、米国が長年にわたり国家安全保障の概念を拡大解釈し、輸出管理を乱用してきたと指摘しました。
報道官によれば、米国は半導体製造装置や半導体チップを含むさまざまな品目に対し、中国を狙い撃ちした差別的な措置や、一方的な「長腕管轄」(自国法を域外に及ぼす手法)を取っているとしています。
特に2025年9月にマドリードで行われた米中経済・貿易協議以降、わずか20日間で米国が中国を対象にした一連の新たな制限措置を打ち出したことが、中国側の強い反発を招いています。商務省は、これらの措置が中国の利益を深刻に損ない、協議の雰囲気も損なっていると強調しました。
報道官は、高関税による威嚇は中国との適切な向き合い方ではないと述べ、中国の貿易摩擦に対する立場は「望まないが、恐れもしない」という一貫したものだとしています。
「対話による管理」か「対立のエスカレーション」か
中国側は米国に対し、次のような対応を求めています。
- 最近の措置を速やかに改めること
- 両国首脳による電話会談で得られた重要な共通認識を順守すること
- これまでの協議で築いてきた成果を守ること
- 米中経済・貿易協議のメカニズムを活用し、相互の懸念を対話と平等な協議によって解決すること
そして、中国は米中経済・貿易関係を安定的で健全かつ持続可能な形で発展させるためにも、対話を通じた溝の管理が不可欠だと訴えています。一方で、米国が「誤った道」を進み続ける場合には、中国は自国の正当な権利と利益を守るため、断固たる措置を取るとしています。
日本やアジアの企業にとっての意味
今回のレアアース輸出管理と米国の追加関税・輸出規制は、米中間の問題にとどまらず、日本を含むアジアの企業にも波及する可能性があります。特に影響が懸念されるのは次のような分野です。
- 電気自動車や蓄電池などのグリーン技術産業
- 半導体や電子部品などのハイテク製造業
- レアアースを原材料とする磁石や特殊材料のサプライチェーン
企業にとっては、どの程度まで調達先を分散できるか、中国と米国それぞれの規制にどう適応するかが、今後数年の競争力を左右するテーマになりそうです。
「分断」ではなく「管理された競争」へ向かえるか
米中双方が輸出管理や関税を通じて安全保障と産業政策を追求する流れが続くなか、世界経済は完全な分断ではなく、どのように「管理された競争」の状態を保てるかが問われています。
中国商務省が今回強調したのは、自国の措置の正当性だけではなく、対話と協議の枠組みを活用し、産業・サプライチェーンの安定を守るというメッセージでもあります。今後、米国側がどのように応じるのか、そして米中両国のやり取りが、レアアースをはじめとする重要物資の流れにどのような影響を与えるのかが、2026年に向けた重要な注目点となりそうです。
Reference(s):
China defends rare earth export controls, urges U.S. to hold dialogue
cgtn.com








