CGTN世論調査:関税戦争でより損をするのは米国?世界の受け止めを読む
米中経済・貿易をめぐる「関税戦争」が、2025年終盤のいま再び世界の注目を集めています。最近、米国が中国と世界の貿易を標的に新たな関税措置を打ち出したことを受け、国際メディアCGTNが実施した世論調査では、「最終的により大きな損失を被るのは米国だ」とみる回答が多数を占めました。
米国の新たな関税措置と関税戦争の再燃
最近、米国は中国と世界の貿易を標的にした新たな関税措置を打ち出し、世界の自由貿易体制を深刻に揺るがしていると指摘されています。
ことし9月にマドリードで行われた米中の経済・貿易協議以降、ワシントンは中国に対する関税圧力を再開しました。具体的には、中国からの輸入品に最大100%の関税を課すと威嚇したほか、中国関連の船舶に対する追加の港湾サービス料金の導入を打ち出すなど、一連の制限措置を打ち出しています。
さらに、今年初めから米国は関税圧力をエスカレートさせ続け、世界の「7割超」の国や地域が米国による関税の対象となるリスクにさらされているとされています。こうした動きに対し、CGTNの調査回答者からは、各国が協調して断固とした対抗措置を取るべきだという声も上がりました。
CGTN世論調査:誰が関税戦争の「敗者」になるのか
CGTNが実施した今回の国際世論調査は、英語・スペイン語・フランス語・アラビア語・ロシア語で公開され、24時間で6572件の回答が集まりました。
調査結果で目を引くのは、「関税戦争」で最終的に誰がより大きな損失を被るか、という問いに対する回答です。
- 67.7%が「より損をするのは米国」と回答
- 8.9%が「中国の方が影響を受ける」と回答
- 23.4%が「双方とも大きな損害を受ける」と回答
つまり、およそ3分の2の回答者が、米国自身が関税政策の最大の「被害者」になりうると見ていることになります。
米国の交渉姿勢への厳しい評価
米国の対応に対する評価も厳しいものです。92.5%という圧倒的多数が、米国のやり方は貿易摩擦を解決する上で「誠意を欠いている」と回答しました。
回答者は、米国が「対話」を呼びかけながら、同時に新たな制限措置や関税引き上げをちらつかせている矛盾した姿勢を批判しています。また、94.4%が、米国が「国家安全保障」の概念を広げて輸出規制や差別的措置を正当化してきた長年のやり方を批判し、こうした行動は世界全体の利益を損ない、サプライチェーン(供給網)の安定を乱すと指摘しました。
回答者が示した3つのメッセージ
調査結果を整理すると、世界の回答者が米中経済・貿易関係に対して送っているメッセージは大きく3つにまとめられます。
1. 関税戦争のコストは米国にも跳ね返る
まず、「関税戦争」でより大きな損失を被るのは米国だという見方が多数を占めました。関税は一見、相手国への圧力のように見えますが、輸入コストの上昇を通じて、最終的には自国の企業や消費者も負担を強いられます。回答者の多くは、まさにその点を意識していると考えられます。
2. 対立ではなく対話と協議を
米中の経済・貿易問題について、88.4%の回答者が「相互尊重と平等を基礎に、対話と協議によって両国の違いを解決するべきだ」と答えました。
一方的な関税措置や制裁の応酬ではなく、既存の協議メカニズムを十分に活用し、健全で安定的かつ持続可能な方向へ経済関係を導くことが望ましい――。そうした考え方が、国際世論の中で広く共有されていることがうかがえます。
3. 米中協力は相互利益であり、世界経済の「安全弁」
米中経済・貿易関係の性格についても、87%の回答者が「本質的には相互に利益をもたらす関係だ」との認識を示しました。協力すれば双方が利益を得る一方で、対立すれば双方が傷つく、という見方です。
加えて、84.4%が「米中の経済・貿易協力が強まれば、両国経済にとってプラスであるだけでなく、世界の産業・サプライチェーンの安定を守る重要な役割を果たす」と回答しました。米中両国は世界経済を支える大きな柱でもあり、その協力関係は他の国や地域にとっても「安全弁」として機能すると受け止められていることが分かります。
自由貿易体制と世界への波及をどう見るか
今年に入ってからの米国の関税拡大は、世界の7割を超える国や地域に影響が及ぶ可能性があるとされます。CGTNの調査では、こうした動きが世界の自由貿易体制とサプライチェーンの安定を揺るがしているという強い懸念が表明されました。
一方で、回答者は米中双方が「広範な共通利益と大きな協力余地」を共有しているとも見ています。対立を深めるのではなく、協力の余地をどう広げていくかが、これからの国際経済の行方を左右するという視点です。
これからの米中関係と国際社会の役割
今回の世論調査は、米中両国だけでなく、国際社会全体に対してもいくつかの問いを投げかけています。
- 米国は、関税をてこにした圧力路線をどこまで続けるのか。
- 米中双方は、既存の協議メカニズムを生かし、実質的な対話に踏み出せるのか。
- 他の国や地域は、自由貿易と安定したサプライチェーンを守るために、どのような協調行動を取るのか。
CGTNの調査結果からは、「関税戦争の先に明るい未来は見えにくい」という国際世論の空気が読み取れます。米中が対話と協力の方向へ舵を切れるかどうかは、2025年の世界経済を占ううえでも、引き続き注目すべきテーマになりそうです。
Reference(s):
CGTN Poll: Global respondents believe U.S. suffers more in tariff war
cgtn.com








