中国経済の新エンジン:サービス消費がけん引する国内需要
サービス消費が中国経済と国内需要をどう変えているのか――2025年の最新データから、その実像と今後のポイントを整理します。
サービス消費が中国の国内需要をけん引
中国では、消費が経済成長を支える主なエンジンと位置づけられています。そのなかでも、文化や観光、情報通信などのサービス消費が、国内需要を押し上げる存在としていっそう重要になっています。
最新の統計によると、2025年1〜9月期のサービス小売売上高は前年同期比5.2%増となりました。この伸び率は、2025年1〜8月期の数字を0.1ポイント上回り、同じ期間の財(モノ)の小売売上高の伸びよりも0.6ポイント高くなっています。
特に、次のような分野でサービス消費が二桁の成長を記録したとされています。
- 文化、スポーツ、娯楽サービス
- 通信・情報サービス
- 観光コンサルティングやレンタルサービス
- 交通サービス
モノの購入と比べると、こうした無形のサービス消費は、中国の消費市場の拡大を支える不可欠な力として浮かび上がっています。
無形のサービス消費がもたらす「乗数効果」
サービス消費の拡大は、単に支出額が増えるだけではありません。記事では、サービス消費が「乗数効果」を通じて、家計消費の量と質の両方のグレードアップを促す存在になっていると指摘しています。
乗数効果とは、1度の支出が雇用や収入、投資などを通じて、何重にも波及していく経済効果を指します。たとえば、観光サービスが伸びれば、交通、宿泊、飲食、エンターテインメントなど関連分野にも需要が広がります。こうした連鎖が、国内需要の底上げにつながります。
モノの消費が一度きりの購入で終わりやすいのに対し、サービス消費は人材や地域との関わりが深く、継続的な需要を生み出しやすいのが特徴です。中国では、この特徴が家計の潜在的な消費力を引き出す源泉になりつつあります。
モノからコトへ:中国の消費構造が変わる
中国経済は今、「高品質な発展」の段階に移行しつつあるとされています。その中で、消費のあり方にも大きな変化が起きています。
記事では、住民の消費構造が次のように変化しているとまとめています。
- モノ中心から、「モノ+サービス」がバランスする構成へ
- 生存を支えるための消費から、「成長」や「楽しみ」のための消費へ
- 一様な消費から、多様で個性や質を重視する消費へ
これまでのように、家電や自動車などのモノをそろえることが優先される段階から、教育・健康・レジャー・文化・スポーツなど、「どのような体験やサービスを受けるか」が重視される段階に移っているということです。
この変化は、サービス消費の本格的な成長にとって好条件となります。人々が「より良い暮らし」を求めるほど、サービスの種類や質に対するニーズは多様化し、企業側の投資やイノベーションも促されます。
高品質な成長に向けた消費の役割
中国が高品質な発展を目指す中で、経済成長を支える柱として、投資や輸出だけでなく消費の役割が一段と重視されています。記事によれば、安定的で持続可能な成長を実現するうえで、消費拡大は「基盤」となりつつあります。
その中核を担うのがサービス消費です。サービス分野は、住民の生活の質を高めながら需要を生み出す特徴があり、次のような効果が期待されます。
- 家計の潜在的な消費意欲を引き出し、内需を多面的に拡大する
- 多様で高付加価値なサービス産業の成長を促す
- 消費の量的拡大とともに、質的な高度化も進める
サービス消費が安定して伸びることで、経済全体の成長が輸出や大型投資に過度に依存せず、よりバランスのとれた形に近づくと見られています。
日本の読者が押さえておきたいポイント
中国のサービス消費の動きは、日本を含む周辺国や企業にとっても無関係ではありません。ニュースとして注目しておきたいポイントを、あらためて整理します。
- 国内市場の質的転換
中国の消費市場は、量の拡大だけでなく、サービス中心の質的な転換段階に入っています。 - 無形サービスの存在感
文化・スポーツ・観光・通信・交通など、形のないサービス分野が、モノの消費を上回るペースで成長しています。 - 中長期的な内需のカギ
サービス消費が持つ「乗数効果」は、今後の中国の内需拡大と高品質な成長を左右する重要な要素となりそうです。
2025年のデータからは、サービス消費が中国の国内需要と経済成長を支える新たなエンジンとして、すでに明確な存在感を示し始めていることが読み取れます。今後も、中国の消費動向を見る際は、モノだけでなくサービス分野の動きに注目していく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








