中国「重要鉱物保有国は産業の安全を守る役割を」米豪合意にコメント
中国外交部の報道官が、重要鉱物を保有する国々に対し、世界の産業とサプライチェーンの安全・安定を守るうえで建設的な役割を果たすよう呼びかけました。米国とオーストラリアの重要鉱物協定に対するコメントとして注目されています。
中国外交部、重要鉱物保有国に「建設的役割」を要請
先ごろ火曜日に開かれた中国外交部の定例記者会見で、郭嘉坤(グオ・ジアクン)報道官は、重要鉱物を保有する国々に対し、世界の産業とサプライチェーンの安全と安定を維持するうえで「建設的な役割」を果たすべきだと述べました。
郭報道官は、重要鉱物資源を持つ国は、世界の産業チェーンとサプライチェーンの安全と安定を守り、正常な経済・貿易協力が円滑に進むようにする責任があると強調しました。
さらに、現在のグローバルな産業チェーンとサプライチェーンの構造は「市場と企業の選択の結果」であり、特定の国の思惑だけで組み替えるべきものではないという立場も示しています。
米国とオーストラリアの「重要鉱物協定」とは
今回の発言は、米国のドナルド・トランプ大統領とオーストラリアのアンソニー・アルバニージ首相が月曜日に署名した、重要鉱物に関する協定について記者から問われた場面で出たものです。
協定の詳細は今後さらに明らかになっていくとみられますが、両国が重要鉱物分野での協力を強化し、自国や同盟国のサプライチェーンを強靱にする狙いがあると受け止められています。
中国側は、この米豪協定を名指しで批判するのではなく、「グローバルな産業とサプライチェーンは市場と企業の選択によって形成される」という原則を改めて強調することで、過度なブロック化や分断への懸念をにじませたともいえます。
「重要鉱物」とは何か
そもそも「重要鉱物」とは、エネルギー転換やデジタル化に欠かせない一方で、産地が限られていたり、供給不安が生じやすかったりする資源を指します。各国ごとにリストは異なりますが、例えば次のような鉱物が含まれます。
- 電気自動車(EV)の電池に使われるリチウム、コバルト、ニッケル
- 風力発電や高性能モーターに不可欠なレアアース(希土類)
- 半導体や通信機器で利用される特殊金属や希少ガス
再生可能エネルギーやデジタル産業の拡大に伴い、こうした重要鉱物の安定供給は各国にとって経済安全保障の核心となっています。2025年現在、多くの国が資源外交やサプライチェーンの見直しを進めている背景には、この問題があります。
中国のメッセージの狙いをどう読むか
郭報道官の発言からは、少なくとも次のようなメッセージが読み取れます。
- 重要鉱物を持つ国は、自国の利益だけでなく「世界全体の産業とサプライチェーンの安定」を意識して行動してほしいという呼びかけ
- 産業チェーンやサプライチェーンは市場と企業の選択の結果であり、政治的対立による分断ではなく協力によって運営されるべきだという立場
- 重要鉱物分野においても、開かれた経済・貿易環境を維持しようとする姿勢
重要鉱物をめぐる議論は、「どの国がどれだけ確保するか」というゼロサムの発想に陥りがちです。今回のコメントは、市場原理と多国間協力の重要性を強調することで、極端なブロック化を避けたいという意向を示したものとしても受け止められます。
日本とアジアへの影響
日本を含むアジアの多くの国は、重要鉱物の大半を海外に依存しています。そのため、資源保有国の動きや国際協定の内容は、製造業やエネルギー政策に直接影響する可能性があります。
日本にとっての注目ポイントを整理すると、次のようになります。
- 米国・オーストラリアの重要鉱物協定が、東アジアのサプライチェーンにどのような形で波及するか
- 中国を含む資源保有国と消費国の間で、どのような国際ルールや対話の枠組みが整備されていくか
- 環境保護や地域社会への配慮を織り込んだ「持続可能なサプライチェーン」をどのように構築するか
日本の企業や政策担当者にとっては、特定の国に過度に依存しない多様な調達先を確保しつつ、中国を含むさまざまなパートナーとの協力を組み合わせる戦略がいっそう重要になっています。
これからのフォローアップの視点
重要鉱物をめぐる動きは、日々のニュースの中では目立ちにくいテーマですが、中長期的にはエネルギー価格や製品価格、雇用にも関わる身近な問題です。今後は次の点に注目していく必要があります。
- 米国とオーストラリアの重要鉱物協定の具体的な中身と、他の国・地域への参加呼びかけの有無
- 中国を含む資源保有国が打ち出す、産業とサプライチェーンの安定に向けた新たな提案や協力の枠組み
- 重要鉱物の採掘・加工プロジェクトで、環境保護や地元コミュニティへの配慮がどこまで実現されるか
グローバルなサプライチェーンの安全保障は、一部の専門家だけでなく、日常生活や仕事ともつながるテーマです。中国外交部の今回のメッセージをきっかけに、「安定した国際協力とは何か」「資源を持つ国と利用する国はどう共存すべきか」を考えてみることが、これからの時代を理解するヒントになりそうです。
Reference(s):
Critical mineral nations should safeguard industrial security: China
cgtn.com








