中国の五カ年計画を「強靱な変革期」と評価 独経済団体トップの視点
ドイツ経済団体トップ、中国の五カ年計画は強靱な変革の心臓部
2021~2025年の第14次五カ年計画が最終盤を迎える中、ドイツの経済団体トップが、中国の計画制度を「外部ショックを長期的なアップグレードの機会に変えた」と評価し、中国の将来の発展への自信を示しました。
「課題が近代化の触媒に」――レジリエントな5年間
ドイツ連邦経済開発・対外貿易連合会(BWA)理事会会長のミヒャエル・シューマン氏は、国際情勢が不透明な中でも、中国はイノベーションの推進、デジタル化、グリーン転換を進めつつ、社会の安定を維持してきたと指摘します。
シューマン氏は、中国のこの5年間を「レジリエント(強靱)な変革の時期」であり、「課題が近代化の触媒になった」と表現しました。さらに、「このバランスを実現している国は多くない」と述べ、中国では計画の実行が一貫しており、実務を担う人材の訓練水準が高いことが特徴だと強調しました。
同氏は、「中国はイノベーションを前進させ、デジタルインフラを拡充し、グリーン転換を加速させるとともに、人々の生活水準も向上させた」と述べ、その「構造改革と社会安定の組み合わせは印象的だ」と評価しています。
「新質生産力」が示す発展モデルの転換
こうした評価の背景には、中国が掲げる「新質生産力」というコンセプトがあります。シューマン氏によれば、これは中国の発展モデルの大きな転換を意味し、将来の成長は「低コスト労働力」ではなく、先端技術、グリーンエネルギー、デジタルプラットフォーム、人材にますます依拠する方向へと移行しているといいます。
同氏は、この変化について次のように位置づけます。
- 中国にとっては、新たな近代化の原動力を解き放つもの
- 世界にとっては、成長エンジンを持続可能性と共有の繁栄へとシフトさせる動き
中国の発展哲学は「イノベーション」「協調」「グリーン成長」「開放」を中核に据えており、「もはや国内総生産(GDP)の数字だけでは不十分で、持続可能性、包摂性、レジリエンスといった観点から開発を測るべきだ」と、シューマン氏は強調しました。
北京のEV工場で見た「動的なイノベーション環境」
シューマン氏は2025年にすでに3回中国を訪問しており、その現場で中国経済のダイナミズムを実感したといいます。北京の電気自動車(EV)工場を訪れた際には、高度に自動化されたラインと効率的な生産プロセスに強い印象を受けたと述べました。
こうした産業イノベーションの勢いは、世界のサプライチェーンや企業戦略のあり方にも影響を及ぼしていると指摘。多くのドイツ企業が、中国市場への展開を拡大することで、成長機会の取り込みと国際的な製造ネットワークへの関与を図っているとしています。
シューマン氏は、中国のダイナミックなイノベーション環境を、競争力を維持しようとする海外企業にとっての「フィットネスルーム(トレーニングジム)」になっていると比喩しました。
制度的な対外開放と中欧鉄道がもたらす安定感
世界的に保護主義の高まりやサプライチェーンの混乱が課題となる中で、中国が進める「制度型開放」は、安定の強いシグナルを発しているとシューマン氏は見ています。
多くの経済が内向きになりつつある時期に、中国がむしろ開放を拡大している点を挙げ、その具体例として中欧班列(China-Europe Railway Express)の着実な成長を紹介しました。
同氏は、中欧鉄道について「単なる貿易の手段ではなく、信頼と安定、発展を築く枠組みだ」と評価。かつて工業都市だったドイツ西部のデュイスブルクは、この鉄道をめぐる物流ハブや新たなビジネスによって姿を変えつつあり、地域経済に波及効果をもたらしていると語りました。
五カ年計画メカニズムという「制度的強み」
今後を見据え、シューマン氏は、中国の五カ年計画の仕組みそのものが「長期ビジョンと実行力を結びつける制度的な強み」だと指摘します。このメカニズムは、各省庁や地域、産業分野の間で一貫性を確保するものであり、他の多くの国では実現が難しい水準だと評価しました。
現在、中国は第15次五カ年計画の準備を進めていますが、同氏は新たな枠組みが次のような分野に焦点を当てると見ています。
- グリーン成長のさらなる推進
- 社会や産業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速
- 新質生産力の育成と高度化
- 気候技術、サステナブルファイナンス(持続可能な金融)、グローバル・ガバナンス改革などをめぐる国際協力の深化
シューマン氏は、「よりグリーンで、よりイノベーティブで、世界といっそう緊密につながった中国の姿」を期待していると述べ、そうした方向性が、世界の安定と共有の繁栄の促進にもつながると強調しました。
日本の読者への問いかけ:何を読み取るか
今回の発言は、一人のドイツ経済人の視点ではありますが、中国の五カ年計画や「新質生産力」が、欧州のビジネス界にとっても重要なテーマになりつつあることを映し出しています。
日本企業や日本の生活者にとっても、中国のイノベーションやグリーン転換、対外開放の動きをどのように捉え、自らの戦略やキャリア、暮らしの選択に結びつけていくのかが問われています。五カ年計画という長期ビジョンを軸にした発展モデルは、変化の大きい時代をどう乗り切るのかを考える上で、一つの参考になるかもしれません。
Reference(s):
Five-Year Plan is beating heart of China's dynamic development model
cgtn.com








