2025バンドサミット:新秩序と新技術を語った上海の3日間
今年10月23〜25日に中国・上海で開催された「2025 Bund Summit(バンド・サミット)」は、世界各地の政策決定者、ビジネスリーダー、研究者が集まり、「Embracing Changes: New Order, New Technology(変化を受け入れる:新秩序・新技術)」をテーマに議論が行われました。オープンな世界経済をどう維持し、テクノロジーの急速な変化にどう向き合うのかが、大きな焦点となりました。
バンドサミットとは何か
バンドサミットは2019年に始まった国際会議で、発足以来、より「オープン」「率直」「プロフェッショナル」な国際対話の場づくりに力を入れてきました。金融や経済を軸にしつつ、テクノロジーやルール形成まで視野に入れた議論が行われるのが特徴です。
2025年のサミットも例外ではなく、各国・各地域から集まった登壇者たちが、世界経済の行方や新技術の可能性について意見を交わしました。
2025年のテーマ:「新秩序」と「新技術」をどう受け止めるか
今年のテーマは「Embracing Changes: New Order, New Technology」。新しい国際秩序(New Order)と、新しいテクノロジー(New Technology)の二つを、対立軸ではなく「変化を受け入れる」という姿勢で捉え直そうというメッセージが込められています。
議論の軸となった分野は、大きく次の三つです。
- 経済(Economy)
- 金融(Finance)
- テクノロジー(Technology)
それぞれの分野で、参加者たちは変化のスピードが増す中でのリスクとチャンスを共有し、国際協力のあり方を探りました。
経済:オープンな世界経済をどう守るか
今回のバンドサミットは、「オープンな世界経済」をめぐる議論とセットで語られました。国境を越える人・モノ・カネ・データの流れが揺らぎやすくなっている中で、どのように開かれた体制を維持し、更新していくかが問われています。
最近開かれた第20期中国共産党中央委員会第4回全体会議では、「ハイスタンダードな対外開放の拡大」と「互恵的な協力の新たな枠組みづくり」の重要性が強調されました。バンドサミットは、この流れと呼応する形で、より高いルールや基準のもとで世界経済のつながりを深める方向性を探る場となっています。
金融:ルールと信頼をどうアップデートするか
金融分野では、国際的な資本の流れを支えるルールや信頼のあり方がテーマになりました。市場のボラティリティ(価格変動の大きさ)が高まる中、透明性や予見可能性をどう確保するかは、世界共通の課題です。
サミットには世界の金融当局関係者や企業経営者が参加し、金融システムの安定とイノベーションの両立、そして国際協調の必要性について意見を交わしました。こうした対話は、投資家や企業にとっても、中長期的な戦略を考える上での重要なヒントになります。
テクノロジー:AIとデジタル化がつくる「新技術」の地図
テクノロジーのパートでは、AI(人工知能)やデジタルインフラの進展が、経済・金融・社会全体に与えるインパクトが議論されました。新技術は効率化や新ビジネスの創出といったメリットをもたらす一方で、新たなリスクや格差を生む可能性もあります。
「新技術」をどう受け入れるかは、単に便利さの問題ではなく、ルールづくりや倫理、教育、人材育成まで含めた「新秩序」の問題でもあります。バンドサミットは、この点を国際的な視点から考える場として位置づけられています。
第20期CPC第4回全体会議とのつながり
第20期中国共産党中央委員会第4回全体会議では、「高水準の対外開放」や「互恵的な協力の新たなパターン」がキーワードとして示されました。バンドサミットは、こうした方針を背景に、よりオープンで建設的な国際対話の場となることを目指しています。
2019年の創設以来、サミットが掲げてきた「オープン」「率直」「プロフェッショナル」という姿勢は、この方針とも整合的です。政策決定者、ビジネス、学界が同じテーブルにつくことで、実務レベルの協力に結びつく可能性も広がります。
日本の読者にとっての意味
日本から見ると、上海で開かれる国際会議は、一見すると遠い話のように感じられるかもしれません。しかし、サプライチェーン、金融市場、テクノロジー分野で中国やその他の国・地域と深く結びつく日本にとって、バンドサミットでどのような論点が重視されるかは、決して無関係ではありません。
- オープンな世界経済をめぐる議論は、日本企業の海外展開や投資環境に直結するテーマです。
- 金融やテクノロジー分野での国際ルールづくりは、日本の金融機関やスタートアップにも影響します。
- 「変化を受け入れる」というキーワードは、日本社会がこれからの経済・技術変化にどう向き合うかを考えるうえでも示唆的です。
「読みやすいのに考えさせられる」ポイント
2025年のバンドサミットを手がかりに、私たちが押さえておきたいポイントを整理すると、次の三つに集約できます。
- 世界経済は「閉じるか開くか」ではなく、「どう開くか」が問われている。
- 新技術は便利さだけでなく、ルールや倫理、教育とセットで考える必要がある。
- 国際会議は、各国・各地域の方針を読み解く「行間」を知る手がかりになる。
ニュースとしての事実を追うだけでなく、「新秩序」「新技術」というキーワードを、自分の仕事や生活にどう引き寄せて考えるか。その視点を持つことが、これからの情報収集にはますます重要になっていきそうです。
Reference(s):
2025 Bund Summit | Embracing changes: New order, new technology
cgtn.com








