カナダ、非米国向け輸出を10年で倍増へ 対米依存脱却は進むか
カナダのマーク・カーニー首相が、今後10年で非米国市場向けの輸出を倍増させる新たな目標を打ち出しました。対米依存を見直すこの動きは、国際ニュースとして世界の貿易構造にも影響を与えそうです。
非米国向け輸出を「10年で倍増」 対米依存からの転換
カーニー首相は水曜日の演説で、来月公表予定の連邦予算の優先課題を示しつつ、今後10年間でカナダの非米国市場向け輸出を2倍にする目標を掲げました。狙いは、米国への経済的依存を弱めることです。
首相は、世界経済を「よりダイナミックで、競争的で、そして敵対的になりつつある」と表現し、その中で「より強い経済を築く」必要があると強調しました。
さらに、今すぐ行動しなければ圧力は一段と高まると警告し、経済構造の転換は数カ月で容易に達成できるものではなく、一定の犠牲と時間が必要だと国民に理解を求めました。
背景:今年初めから続く関税摩擦
今年(2025年)初めから、カナダと米国の間では関税をめぐる対立が繰り返されています。カーニー首相は3月、両国の関係について、長年の「経済統合の深化」を前提としてきた伝統的な関係は終わったと述べ、カナダ経済を根本から組み替える必要があると訴えていました。
今回の輸出多角化目標は、そうした認識を前提とした次の一手です。米国との結び付きは依然として強いものの、その一極集中を緩和しようとする試みと言えます。
インフラ大型投資で輸出多角化を後押し
カーニー政権は9月、エネルギー、鉱業、港湾拡張を柱とする大規模なインフラ計画を発表しました。国内経済の底上げに加え、新たな輸出先へのアクセスを広げることが狙いとされています。
- エネルギー関連施設の拡充により、資源輸出の供給力と信頼性を高める
- 鉱山開発や輸送インフラ整備で、資源輸出のコストを引き下げる
- 港湾の拡張によって、アジアや欧州など非米国市場との物流ルートを強化する
こうした投資は、非米国向け輸出を本当に増やしていくための「土台づくり」と位置づけられます。
それでも最大の相手は米国:輸出の約4分の3を占める
現在、米国はカナダにとって最も重要な貿易相手であり、カナダの財(モノ)輸出の約4分の3を占めています。数字だけを見れば、カナダ経済が米国市場と強く結び付いていることは明らかです。
そのため、今回の目標は「米国との関係を断ち切る」ものではなく、「他の市場とのパイプを太くすることでリスクを分散する」取り組みと見るのが現実的です。対米依存を緩やかに和らげつつ、新たな成長エンジンを育てる狙いがあります。
日本・アジアにとっての意味:資源とサプライチェーン再編の可能性
カナダが非米国市場への輸出拡大を目指す動きは、日本やアジアの企業にとっても無関係ではありません。国際ニュースとしても、いくつかのポイントが見えてきます。
- エネルギー・資源の調達先としてのカナダの存在感が高まる可能性
- 北米中心だったサプライチェーン(供給網)の一部が、アジアや欧州と結び付く形で再編される余地
- 環境技術やインフラ整備で、日本企業を含む海外企業がカナダのプロジェクトに参加する機会の拡大
地政学リスクが高まるなかで、特定の国への依存を減らし、取引先を分散させることは、多くの国や企業に共通するテーマになっています。カナダの政策転換も、その一つの表れと捉えられます。
これから10年で問われる「実行力」
非米国向け輸出を10年で倍増させるという目標が実現すれば、カナダ経済の体質は大きく変わる可能性があります。一方で、企業の投資判断、インフラ整備のスピード、各国との通商交渉など、多くの要素が絡む長期的な挑戦でもあります。
カーニー首相が示したのは大胆な方向性ですが、これからの連邦予算や個別政策がどこまで具体策を伴うのかが、国内外の注目点となりそうです。日本を含むアジアの読者にとっても、今後のカナダの動きは、資源調達やビジネス戦略を考えるうえで押さえておきたい国際ニュースと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








